ヤフーは8月19日にインターネットで注文を受け付け、短時間で配達するサービス「ヤフーマート」の来店型店舗をオープンしました。これまでお客さんが直接訪れても商品を購入できなかった配送拠点、いわゆるダークストアを改装して日用品や食料品などを直接販売します。なぜ配達と来店型店舗の二刀流を始めたのでしょうか。
配達と来店型店舗の二刀流!ヤフーマートの狙いは?
東京・渋谷区の閑静な住宅街にあるヤフーマート 代々木上原店。なかはスーパーマーケットのような食料品から日用品まで揃え、その数はおよそ2,000種類。しかし、今までは一般客は入れないダークストアでした。
ダークストアとは配達専門の倉庫として使われる店舗のこと。お客さんから注文が入ると配達員が商品をピックアップ、10~30分程度でお客さんの自宅まで配達するクイックコマースの配達拠点として使われています。
ただ、住民からは…
近隣住民

近所にいて中に入れないという不安がある。
一体何が行われているんだろうかと。
こうした声を受けてヤフーマートはこちらのダークストアを改装し、来店もできる店舗としてオープン。配達との二刀流にしました。クイックコマースに参入してわずか方針転換した理由は…
ヤフーマートを運営
アスクル
村田恵亮さん

約90%のお客様はサービスを知らないのでここで新たな買い物体験をしてもらう。
クイックコマースの利便性やサービスを知ってもらう。
PR的な要素が非常に大きかった。
倉庫機能に特化した内装を来店客向けに改装。ただ、セルフレジの導入で人件費を節約するなどコストをかけずに売り上げアップを目指します。
来店をきっかけに配達サービスを配達サービスを利用し始めることを期待しています。
お客さん

一度見て雰囲気が分かれば買うなり頼むことも今後は考える。
お客さん

コンビニよりも日用品がそろっていて、他では売ってないものがあるのがすごくいい。
ヤフーマートを運営
アスクル
村田恵亮さん

来店型は今後近隣の皆さんの信頼をつくる上で非常に重要。
ダークストア先駆けも地域密着で差別化
一方、日本のクイックコマースの先駆け「オニゴー」。都内を中心に712店舗のダークストアを展開するスタートアップ企業です。
オニゴーは独自にシステムを開発。商品を最も早く集められる順路がアプリに表示されます。このシステムで最短10分で配達します。
スピード、効率を磨いてきたオニゴーがいま力を入れるのも…
オニゴー
梅下直也社長

地域密着は非常に重要な要素。
200人を超える配達員は全員自社で雇用。早く配達するためだけではありません。
オニゴーを50回以上利用しているという常連客。
利用客

一度使うと買い物に行く時間がもったいなく感じられてしまう。
週3回、日用品の買い物は全てオニゴーです。肉や野菜を注文後7分で配達員が到着しました。
利用客

地域密着で顔なじみの配達員が来ると娘も「オニゴーさん来た」というかんじで安心している。
この安心感がクイックコマースに重要だといいます。
オニゴー
梅下直也社長

「また使いたいと」と思ってもらえる。
瞬間的ホスピタリティ(おもてない)の実現が自社配達員を使うメリット。
さらに扱う商品にも地域密着を取り入れています。
オニゴーの社員が足を運んだのはダークストア近くの老舗の米店「大沢商店」。この米店から精米したばかりの新鮮な米を仕入れて販売しているのです。
オニゴー社員

地元のお客様に届けているので知っていて親しみのあるコメを届けられる。
われわれとして重要な商品。
オニゴーでの販売で米店は客層が広がったといいます。
大沢商店
大沢達弥さん

商品に10分で届く付加価値をつけてくれる。僕らにできないサービス。
また、配達エリアごとのニーズに合わせて品ぞろえをカスタマイズしています。
オニゴー
梅下直也社長

お客様は限られた地域に限定されるので地域のお客様に愛される品ぞろえやサービス継続がビジネスにおいて重要。
激化するクイックコマース市場、 専門家はオニゴーのような独立系企業が生き残るには ビジネスモデルの強化が必要だと指摘します。
流通経済に詳しい
分析広報研究所
小島一郎チーフアナリスト

単体のデリバリーだけの事業だと、配送料1回300円や500円のほかにさらに利益が企業に出るモデルにできてない。
複合技でビジネス全体の中で利益をつくる、そういうモデルになっていく。