シリーズでお伝えしている「どう変わる?働き方」です。
コロナ禍で一気に浸透したリモートワークですが、ヤフーが4月から始めた新たな人事制度を活用し、最先端の働き方を実現させた男性を取材しました。
ヤフー社員のまま離島に移住
沖縄。八重山諸島のひとつ「西表島」。美しい海と手つかずの自然が残る国内有数のリゾート地です。
島にある一軒の宿泊施設「ヴィラ ヒルギ」。中に入るとノートパソコンを広げて仕事をする男性の姿が。
藤堂淑昭さん(58歳)。実はこの方…
番組スタッフ
お勤めはどちらに?

藤堂淑昭さん

ヤフー株式会社の名古屋オフィス。
藤堂さんは地図の会社を経てヤフーに入社。現在はアプリ開発に携わっています。
名刺には確かに名古屋の住所が…
ではなぜ西表島に?
藤堂淑昭さん

ヤフーの新人事制度。
日本国内であればどこでも居住していいという制度になった。
ヤフー
川邊健太郎前社長

2022年度は真の"どこでもオフィス"の展開に結びつけていきたい。
1月にヤフーは新しい人事制度を発表。目玉は社員が住む場所の制限を撤廃することです。
これまでのヤフーは8,000人の社員のうちおよそ9割がリモートで業務を行っていました。ただ居住地については当日の午前11時までに出社できる範囲に限定されていました。
これが4月からは国内であればどこに住んでも良いことになったのです。
南の島に住むことが長年の夢だった藤堂さん。すぐに制度を使い西表島に移住することを決めました。
本来のオフィスから遠く離れた離島からのリモートワーク。円滑にコミュニケーションを取るためには工夫も必要だといいます。
ヤフー
藤堂淑昭さん

リモート会議だとみんな硬い。
チーム関係を良くしようと思い始めた。
それが打ち合わせの終わりに必ず手を振り合うこと。たったこれだけのことですが…
ヤフー
藤堂淑昭さん

乗ってくる人もいて、手を振り始めて以降はチームワークもよく、いいコミュニケーションが取れるようになった。
ヤフー
藤堂淑昭さん

こちらが僕が生活する部屋。
6月から西表島に住民票を移す予定の藤堂さん。借りることにしたのは宿泊施設の使っていなかった事務所の一角です。簡単なキッチンがあり、そのほか宿のダイニングなどの設備も使うことができます。家賃は5万円。
気になるのはネット環境ですが、西表島にはほぼ全ての地域に光回線が引かれていて速度も問題ないということです。
仕事終わりで外に出れば、歩いて10分ほどで海に到着。
そして…藤堂さんの趣味はダイビング。仕事終わりや休日にすぐにダイビングを楽しめるのが西表島生活の最大の魅力だと話します。
ヤフー
藤堂淑昭さん

オンオフの切り替えがしっかりできる。仕事に集中できる。
5月上旬、藤堂さんが大きめの荷物を持って外に出ました。
ヤフー
藤堂淑昭さん

明日、名古屋のオフィスに行って仕事をしようと思っている。
出社の用事がある場合、休みを取りオフィスのある名古屋に向かいます。
まずは船で空港のある石垣島に向かいます。運賃は最安の航路で2,060円。ただ住民票を移した後に利用できる島民割で820円になります。
途中で昼食を済ませ、空港に到着。
名古屋までの空路で使うのは…
ヤフー
藤堂淑昭さん

LCCのピーチ。
名古屋までは格安航空のピーチが飛んでいて、値段は最安で6,390円。名古屋~東京間の新幹線より安い料金です。
ヤフーでは新幹線や飛行機による通勤もひと月15万円を上限に認められます。それがあれば月に数回名古屋に戻ることは十分できます。
名古屋市の自宅には妻と子どもたちが暮らしています。家族もこの決断を後押ししてくれました。
娘・瑶子さん(27歳)

昔から将来的には離島に行きたいと聞いていたので。
自分の好きなことなのでいいんじゃないかなと思った。
父の姿を見てか、娘の瑤子さんも居住地にとらわれないフリーのスポーツインストラクターをしていました。
居住の制限が撤廃されたことで藤堂さんだけでなく拠点を移す人が増えています。
なぜヤフーは社員たちの働き方をここまで自由にしたのか。
ヤフー
湯川高康執行役員

働き方の選択肢を増やすことで生産性やモチベーションの向上につながる。
これによって地方の人材の採用や地方創生にもつながる可能性がある。
ヤフーではリモートワークも働き方の一つの形態にすぎないとしています。
実際、オフィスには出社を希望する人たちのフリースペースが確保されています。
オフィス勤務の社員

単純にオフィスが好き。
集中できる。
オフィス勤務の社員

社員個々のやり方や思いは別なので。
それぞれの働き方の希望に合わせて働くことができる。
ヤフーの新たな人事制度によって地域にも変化が生まれ始めています。
西表島からのリモートワークを選んだ藤堂さんは地元の少年野球のコーチを務めるほどすでに地域に溶け込んでいました。
保護者

昔から知っている人のようなイメージ。
保護者

地元の優しいおじさん。
ダイビングのインストラクター

今は観光業などの働き口がないと島には移住できないが、元々別で仕事がある人が来てくれたらできることも増える。
すごくいいと思う。
リモートワークが当たり前となった中、こうした新たな働き方は一企業の枠を超えて広がっていくかもしれません。