ロシアのウクライナ侵攻は私たちの食卓にも大きな影響を及ぼしています。こちらはあるものの輸出額ですが上位を占めている5つの国を表しています。
1位 | ロシア | 17.6% |
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2位 | アメリカ | 14.1% |
3位 | カナダ | 14.0% |
4位 | フランス | 10.1% |
5位 | ウクライナ | 8.0% |
1位のロシアは17.6%とありますが実はこれ小麦の輸出額を表したものです。1位のロシアと5位のウクライナを合わせた輸出額というのは世界の4分の1を占めていて小麦価格の上昇がいま世界を揺るがしています。日本でもさらなる小麦の値上げというのはあるのでしょうか。
小麦価格が高騰 農家は悲鳴!日本でも値上げは続くのか
小麦の一大生産地として知られるアメリカ西部オレゴン州。
ここで収穫されたおよそ9割の小麦が州最大の都市ポートランドにある港から日本など海外向けに輸出されています。
しかし、小麦をめぐっては…
アメリカ
バイデン大統領

戦争によりウクライナの農民は小麦の作付け・収穫ができていない。
ロシアでもあまりうまくいっていないようだ。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響で小麦の先物価格が急上昇。供給への不安からいまだ高い価格で推移しています。
アメリカでも大きな影響が。
この地域では4月から5月上旬にかけて小麦の種まきが最盛期を迎えます。
ワシントン市局
中村寛人記者

私の後ろではこの秋に収穫する小麦の種の植え付けが行われていますが、今年はある問題が農家にとって悩みのタネになっているそうです。
こちらの小麦の種、害虫を防ぐためコーティングが施されています。その種が成長していく上で重要な肥料がいま問題となっているのです。
日本向けに小麦を栽培するトム・ダイクさんは…
小麦農家
トム・ダイクさん

肥料の価格はこの春、ロシアが侵攻してから最も高くなった。
いつもより肥料を減らしている。コストがかかるから。
肥料の輸出額でも世界トップシェアのロシア。ダイクさんが使う肥料はカナダ産ですが、ロシア産が激減した影響で価格は去年の2倍になったといいます。
さらに…
小麦農家
トム・ダイクさん

去年の夏から秋にかけて燃料価格は3倍になった。
農業機械や部品なども値上がりして追加の収入が必要だった。
人件費を含め全てが上がり続けている。
また夏にオレゴン州を襲った記録的な干ばつでダイクさんの農場では去年は2割ほど生産が減少。温暖化による影響をみられ、今年も不作になる可能性があります。
世界的に小麦に対する引き合いが強くなっているものの、不透明な先行きにダイクさんも危機感を募らせています。
小麦農家
トム・ダイクさん

小麦を買いたいという人が多くなるのは間違いないが、消費者の需要を満たすのは難しいのではないか。
小麦の輸入のおよそ50%をアメリカに頼る日本。今後、どのような影響が出るのか小麦の価格の動向に詳しい専門家は…
オレゴン大学
キートン・ミラー助教

アメリカから小麦が入らなくなる心配はしなくていい。
日本の消費者にとって最悪のシナリオはウクライナの小麦の生育期を完全に逃してしまうこと。
1年間全く生産されないと世界の小麦価格は20~30%以上上昇する。
ロシアによる攻撃が続き、小麦の種まきが難しい状況になっているウクライナ。日本はウクライナから小麦を輸入していませんが、ウクライナ一国の状況が世界の小麦市場に与える影響は大きいと専門家は言います。
さらに…
オレゴン大学
キートン・ミラー助教

ロシアとウクライナが外交的な解決に至っても今年の秋から冬にかけて価格上昇の圧力が続くと考える。
来年以降も価格はさらに高まる可能性がある。
今後、わたしたちの食卓にどのような影を落とすのでしょうか。