円安が進んだ背景には日本とアメリカの金利差が要因としてありますますが、日銀の黒田総裁はコロナから回復途上の日本経済を失速させることを懸念して金融緩和策を継続するという姿勢を明確にしています。つまり利上げはしないということです。
今週、日銀の金融政策決定会合も控えていますが、この日本とアメリカの金利差にどう対応するべきなのか経済の専門家の間でも意見が割れています。
アメリカ発"世界同時株安"!
利上げ為替介入 円安対策は
一橋大学
野口悠紀雄名誉教授

これは国難。
1ドル140円だって150円だって十分ありえる。
こう警鐘を鳴らすのは一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏。
日銀の金融政策は転換が急務だと主張します。
一橋大学
野口悠紀雄名誉教授

今の事態が起こっている基本的な理由は日米の金利差が開いていること。
アメリカが金利を上げているにもかかわらず日本が上げないということ。
この状況をなんとかしようと思ったら日本が金利を上げるしかない。
異次元金融緩和政策を方向転換するということ。
それしか方法はない。
金利差がある限り、円を売ってドルを買う円安が続くとして利上げに踏み切るべきだとする野口氏。
これに対して対象的な意見を主張するのが第一生命経済研究所の永濱利廣氏です。
第一生命経済研究所
主席エコノミスト
永濱利廣さん

日本も金利を上げて円高にすべきという話があるが、今コロナショックやウクライナ侵攻で特に中小企業が資金繰りに厳しいところがある。
金利を上げてしまうとより資金繰り、経営環境が厳しくなる。
日銀の金融政策は本来2%の物価目標達成のためにあり、円安対策のために金利を上げることは企業の資金繰りの悪化を招き、日本経済に悪影響を与えかねないと主張します。
また円安是正の方法として考えられるのがドルを売って円を買い戻す為替介入です。
日本では財務大臣が為替介入の権限を担っていますが…
鈴木財務大臣

為替政策については過度の変動、無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響を与えうるといったG7で合意された考え方を踏まえ、必要な場合には適切な対応を取りたい。
国による為替介入について専門家は…
一橋大学
野口悠紀雄名誉教授

円高の介入は難しい。
円安に導く為替介入は日本国内で国債を発行して資金を調達して、それでドルを買えばいい。
ただ円高にする介入というのはドルを売らなくてはいけない。
それは外貨準備の範囲でしかできない。
投機筋は政府が永遠にそういう介入を続けることはできないことを見透かすから非常に難しい。
第一生命経済研究所
主席エコノミスト
永濱利廣さん

為替介入も当然利上げもできないと思うし、すべきでない。円安に無理矢理歯止めをかけるくらいであれば、生活の負担が増える部分には財政で負担軽減をするのがいいと思う。
田中瞳キャスター
政府がとるべき財政出動にはどんな策がある?

第一生命経済研究所
主席エコノミスト
永濱利廣さん

減税が効果的。
具体的には輸入原材料の値上がりで生活必需品が値上がりしているから、生活必需品の消費税率である軽減税率を期間限定で0%にする。