毎年、岡山の夏を彩ってきた「おかやま桃太郎まつり」です。
まつりそのものは開催されましたが8月4日に開かれる予定だった納涼花火大会は中止ということになりました。

警備員が被災地の支援で出払っているなどとして十分な警備体制が取れないという判断でした。
続いては愛媛県大洲市の夏の風物詩である鵜飼い。
川の氾濫で船乗場などが大きな被害を受けました。
しかし仮設の船乗場を設けてコースを短縮することで8月7日からの再開にこぎつけました。

平成最悪の豪雨災害から1ヶ月です。
被災地では観光を始め、あらゆる産業の復興が急務となっています。

西日本豪雨

死者225人、行方不明者11人という甚大な被害を出した西日本豪雨。

1ヶ月経った現在も広島県や愛媛県の一部、1,453戸で断水が続いています。

岡山県倉敷市真備町
岡山県倉敷市真備町。
町中にはゴミの山が…

被害にあった家々は手つかずのまま残されています。

市内の二万小学校、体育館は避難所として使われ233人が身を寄せて生活をしています。


大人数だから朝早い人もいれば夜遅い人もいるので寝られない。

収入がないから避難所から断ち切られたらどうなるかわからない。

仮設住宅の建設はまだ本格化していなく現在も3,600人以上が避難所生活を送っています。

交通インフラ
被災地の交通インフラがどうなっているか。
まずは高速道路ですが広島呉道路、そして東九州自動車道の2区間が依然として通行止めとなっています。

続いては鉄道です。こちらはかなり深刻な状況です。
赤で記されている区間、これは2018年中の復旧が難しい区間です。
そして黄色の部分、これは10月までに。
そして緑色の区間、これは8月中の復旧を目指している区間です。

そして在来線の山陽本線ですがJR貨物が輸送に利用しています。
ここは九州への物流のまさに動脈ともいえる重要な区間ですが開通にはまだまだ時間がかかるのが現状となっています。

そして現在、トラック、そして船の代替輸送では足りないということで日本海側を迂回するルートでの運行を検討しています。

しかし、この日本海側の区間というのは大半が非電化、つまり電気が通っていないので数の少ないディーゼル機関車を用意する必要があるなど課題が多いという問題があります。
政府の対応
政府の対応がどうかというとこちらです。
被災者の生活の再建を支援するためにおよそ1,058億円の拠出を決めました。
そのうち中小企業には483億円かけます。工場や店舗の復旧費用の最大4分の3を支援することにしています。
このほか農林漁業に84億円、さらにがれきの処理への支援も盛り込まれました。
そして観光分野には44億円とありますが、これは直接的な被害だけではなく風評被害もいま出始めています。

その現場を取材しました。
倉敷美観地区
岡山県の倉敷美観地区。

江戸時代の町並みが残されたエリアで年間380万人以上が訪れる人気の観光地です。
大規模な浸水被害が出た真備町からは7kmほど離れていて豪雨の被害は殆どありませんでした。

大原美術館
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しかし美観地区にある大原美術館では…

森川政典副館長は、
来館者数は7月は昨年に比べ60%程度。非常に厳しい状況。

倉敷国際ホテル
[blogcard url="https://www.kurashiki-kokusai-hotel.co.jp/"]
同じエリアにある倉敷国際ホテルでも…

鳥生雅夫社長、
「消し」が予約の取り消し。7月6日、7日とずっと取り消しが入っている。

家族連れの観光客の予約キャンセルがおよそ1,000人に上りました。

さらに、
ホテルでは宴会の会場を提供している。7月だけで50%くらいキャンセル。

岡山県
岡山県では今回の豪雨災害による観光消費への影響額は24億円と試算。

そこで岡山県は観光客を呼び戻そうと県内の施設で使える5,000円分の宿泊クーポンを合計2,000枚発行することを決めました。

伊原木知事は、
全国のみなさんの足を岡山県に向けるきっかけを作らないといけない。

スピード重視で県の単独事業で始めることにした。

3日に受付が始まった旅行予約サイト「楽天トラベル」用のクーポンは申込みが殺到し、開始わずか40分で準備した1,000枚に到達。

残り1,000枚は9日から「じゃらん」で受付がスタートします。

みなさん遠慮していると思う。

被災地に来てもらうことが復興につながると伝えたい。

大原美術館
一方、倉敷美観地区でもお客様を呼び込む動きが…
8月4日の土曜日、大原美術館に続々とお客様が。

この日は通常1,300円する入館料を取らず無料で開放。

敷地内ではこんなサービスも。

倉敷国際ホテルが美術館に来たお客様にドリンク1,000杯分を無料で提供。

観光地が元気であることを近隣の施設が協力してアピールしました。
不謹慎かと思いキャンセルした方がいいか迷った。

大丈夫だということで応援に。

岡山でボランティアした帰りに倉敷に寄っていこうかと。

市内中心部にいる分には災害の形跡は全く感じられなかった。

ちょっと印象が変わった。

美観地区では今後も観光客を呼び込む取り組みを続ける考えです。
いろいろな施設との連携によりオール倉敷で全国に美観地区にもお越しいただけるよう取り組んでいくことが必要。

楽天株式会社
[blogcard url="https://www.rakuten.co.jp/"]
観光地にお客様を呼び戻すため独自の取り組みを始めたのが楽天です。

楽天トラベルによると今回の豪雨では2017年の九州北部豪雨と比べ2倍以上の宿泊キャンセルが出たといいます。

そこで楽天が始めたのが独自の割引クーポンです。

被災した府県のホテルや旅館に泊まるときに使える最大2,000円のクーポンを7月23日から発行しています。
楽天が負担したおよそ1,800億円分のクーポンは現在、ほとんどが売り切れています。

トラベル事業国内営業部の永冨文彦さんは、
われわれはインターネットの会社なので最もメリットを出せるのはスピード。

復旧に関してはスピードも大事。

特に被害が大きかった岡山、広島、愛媛の3つの県によると今回の豪雨による宿泊キャンセル数は8月3日までに少なくても35万人に上りました。

日本政府
こうした中、政府も支援に動きだしました。

観光業の風評被害への対策として44億円を盛り込むことを決定。

被災した府や県をまたがって2泊以上した場合、1人1泊あたり最大6,000円を補助します。

国、自治体、そして企業によって復興への努力が続けられています。