コンテナガーデン「深谷ベース」
[blogcard url="http://www.city.fukaya.saitama.jp/fukaya_base/"]
埼玉県深谷市のコンテナガーデン「深谷ベース」を訪れた江口洋介さん。
迎えたのは綿半ホールディングス株式会社の野原勇社長。
ここはどんなスペース?
ここは市の休遊地だった。市からコミュニティーで使うガーデンプレイスをつくりたいと、弊社は建設業だが緑化から全てができるので、これを全てデザインして施工まで行った。
植栽もできるだけ地域のものを使うようにしている。在来している植物を植えることを意図して行っている。
この建物は?
5棟のコンテナを使っている。プレハブのコンテナだが他にも輸送用のコンテナなどを使っている。
中に入ると涼しく感じる。全部に断熱材を入れて、さらにエアコンまで付けている。
コンテナでできているので当然、持ち運びが可能。ボルトで留めている。
価格は?
安いものだと100万円くらいから。いろいろなものを付けていくと値段が上がる。
コンテナを売るというよりは庭とセットの暮らしを売りたい思いがある。
今の日本の建築は建物を建てて庭をつくるが、元来の日本の建築自体は庭があって、その中に建物があるつくり。そのイメージでデザインしたので、こういう形になっている。
コンテナガーデン「深谷ベース」
5月中旬、江口洋介さんが訪れたコンテナガーデンが賑わっていました。
行われていたのは小学生によるダンス発表会。
屋台も出る地域のお祭です。
コンテナの中にはキッチン付きのコンテナもあります。
冷蔵庫や洗い場、IHコンロなどの設備が整っていて本格的な調理も出来ます。
コンテナを2つ繋いだ約12畳のギャラリースペースもあります。
エアコンも完備しています。
この日は音楽鑑賞会が開かれていました。
お手洗いのコンテナもあります。
このコンテナガーデンは数年後には再開発されることになっています。
それまでの間、市民に活用してもらおうと深谷市がコンテナガーデンを庭付きで約2,000万円で購入しました。
深谷市産業振興部の吉田二郎さんは
区画整理中なので永久的には建物を置いておけない。何年後には他の土地が空くので、そちらにこれを持っていって、また新しい「深谷ベース」としてずっと活用していく。
綿半ホールディングス株式会社
[blogcard url="http://watahan.co.jp/index.html"]
東京・四谷にコンテナガーデンを作った会社があります。
綿半ホールディングス株式会社。
従業員は建築事業で約700人。
中堅の建設会社です。
大手ゼネコンの下請けとして商業施設の施工などを行っています。
創業は戦国時代の1598年。
元々は綿の栽培や流通を手掛けていました。
明治時代になると金物屋へ事業を転換します。
そして戦後の高度経済期の1966年には建設業に進出しました。
400年を生き抜いてきた綿半ホールディングス株式会社。
しかしリーマンショック以降、仕事が激減したため野原勇社長は自社製品の開発に乗り出しました。
「下請け」というのは頼まれたものをこなすということを、自分たちはこの分野が得意だから、そこを売り込んでいく体系に変えていった。ものを売るのではなく、価値を売りましょうと。
新たな戦略
この日、社員たちを集め野原勇社長が新たな戦略を発表しました。
建設事業はグリーンに力を入れる。緑化に力を入れて世界に発信する流れをつくっていく。
緑化製品の開発に力を入れ、海外に打って出ることを宣言したのです。
その第一歩がチェルシーフラワーショーに出展すること。
チェルシーフラワーショー
[blogcard url="https://www.rhs.org.uk/shows-events/rhs-chelsea-flower-show"]
チェルシーフラワーショーは毎年5月にロンドンで開催される世界最高峰のガーデニングコンテストです。
エリザベス女王も訪れる権威ある祭典。
そこでチャレンジできること、名前が売れること、それによって日本にもデザインを逆輸入できる。日本での価値も上がっていく。
ショーガーデン部門
綿半ホールディングス株式会社が挑戦するのはチェルシーフラワーショーの花形と呼ばれる「ショーガーデン部門」。
今年は世界中から約600社の応募がありました。
その中で事前審査を通過したのはわずか17社。
綿半ホールディングス株式会社も選ばれていました。
デザインを担当したのがデザイナーの柴山千穂里さん。
提案したのはコンテナを使ったガーデンです。
そこに斬新なアイデアを加えていました。
このショーはこちらが正面なので、重要視するのはこっち、重なって1つの庭に見える。
庭のコンセプトは東洋と西洋の融合。
横から見ると別々の庭ですが、正面から見ると2つの庭が重なります。
コンテナを額縁に見立て一枚の絵画のようにします。
この提案が評価されました。
不安が大きいけど、やるしかないと。できることはやろうと。
イングリッシュガーデン
イギリス・ロンドン。
住宅街を覗いてみると、どの家にもキレイに整えられた庭があります。
イングリッシュガーデンと呼ばれるものです。
植物の自然な成長を生かしながら生活空間に美しく溶け込ましています。
元々植物の少なかったイギリス。
16世紀、エリザベス1世の時代に国をあげて世界中から植物を集めてきました。
それを使い貴族が庭園を作ったのが始まりだといわれています。
今ではイギリス人にとってガーデニングは生活の一部です。
暮らし中心に植物や庭がある。それがこの街の良さだよ。
コンテナ到着
そのロンドンに綿半ホールディングス株式会社のコンテナが到着しました。
柴山千穂里さんの姿もあります。
いよいよ世界最高峰のコンテストが始まります。
勝負の時。
チェルシーフラワーショー
ロンドン屈指の高級住宅地チェルシー地区。
そこで毎年フラワーショーが開催されます。
敷地は4万5,000平方メートル。東京ドームとほぼ同じ広さがあります。
ショーガーデン部門には世界中から選ばれた17社が出展。
20日間掛けて庭を作り、その出来を競い合います。
綿半ホールディングス株式会社のブース
5月6日、綿半ホールディングス株式会社のブースにコンテナが届きました。
長さ6メートル、中古の海上輸送コンテナを黒く塗装しました。
間口が大きく切り取られています。
綿半ホールディングス株式会社のデザイナー、柴山千穂里さんの姿もあります。
まずは東洋の庭の象徴となる竹を植えこんでいきます。
コンテナの中も日本風に改装していきます。
柴山千穂里さんにとって日本をアピールするこだわりの場所。
気になるところがあるようです。
長いのもったいないけど。
突然、柴山千穂里さんがコンテナの裏に植えた竹を切るように指示を出しました。
およそ3分の1にあたる20本もの竹を次々と切っていきます。
影の状態をもうちょっと大きく映したい。
柴山千穂里さん、竹の数が多すぎて影が重くなっていると感じていました。
竹を間引くことでシルエットをよりシャープに出そうというのです。
続いて柴山千穂里さんが向かった先には綿半ホールディングス株式会社が今回のために開発した秘密兵器が。
新しい壁面緑化のシステムです。
壁面緑化
これまで壁面緑化は横向きにはめ込むタイプが一般的でした。
使える植物の種類や重さが限られていました。
綿半ホールディングス株式会社が開発したのは大きな鉢を斜めに重ねていく仕組みです。
こうすることで大きな植物でも植えられるようになり立体的な表現が可能になります。
今までの壁面緑化と違って植物が生き生きと育つように、平面とは違う見せ方ができるから、これを新しく提案する。
他にはないアイデアをカタチにしたものです。
綿半ホールディングス株式会社は今回の出展をきっかけに、これを製品化しようと考えていました。
ライバルたちの庭
その頃、ライバルたちの庭が次々に完成していました。
地元の百貨店「ハロッズ」が作ったのは最近はやっているという機械仕掛けの庭です。
イングリッシュガーデンの発展形です。
韓国のLG電子が手掛けた庭にあったものは液晶画面。
デザインの一部として溶け込ましています。
また植物の生育状況をセンサーがキャッチ、スマートフォンを使って肥料や水を与えることができるそうです。
最後の仕上げ
綿半ホールディングス株式会社の庭も仕上げの段階です。
ここの間がセンターでしょ。あと5センチくらいかな。
柴山千穂里さんが今回、一番こだわった東洋と西洋の庭を一枚の絵画のように見せる演出。
最後まで微調整を繰り返します。
こっちから見れば絵のフレームのようになっている。とても美しい空間。
そして、ついに完成しました。
審査
そこに乗り込んできたのは審査員。
イギリス王立園芸協会のメンバーです。
果たして綿半ホールディングス株式会社の庭にどんな評価が下されるのか…
チェルシーフラワーショー
5月24日のロンドン。
世界最高峰のガーデンコンテスト「チェルシーフラワーショー」が開幕しました。
すごい賑わいです。
日本の建設会社、綿半ホールディングス株式会社が作ったコンテナガーデンにも多くの人が集まっていました。
素晴らしいわ、美しい庭園ね。
日本風に改装したコンテナと竹をメインにした庭。
中に入ってみると白を基調とした西洋の庭をひとつなぎに見渡すことが出来ます。
中でもイギリスの人たちの興味を引いたのは綿半ホールディングス株式会社が開発した新しい壁面緑化。
何が素晴らしいって、遠くからでも立体的に見えるところよ。
大きな植物が植え込まれスケール感のある壁面緑化が完成していました。
そして柴山千穂里さんが最もこだわった演出には
確かに合わさって見える、東洋の庭と西洋の庭。
素敵だわ。
人々のため息の向こうにはコンテナを額縁にした1枚の絵画のような風景が広がっていました。
すると、そこにやって来たのは審査員。
優秀な庭にはメダルが授与されます。
結果は
おめでとう。
獲得したのはシルバーメダル。
早速ブースに飾られます。
コンテナガーデンはいろいろな用途があるから、庭の中で過ごすとなるので、和のコンテナがヨーロッパ各地に広がれば面白いと思う。
イギリス人の母親と娘。
突然、この庭を買いたいと言い出しました。
このコンテナガーデン、まるごと船で運べないかしら?
実はこの親子、インド洋の島に別荘があり、その庭をコンテナガーデンにしたいというのです。
いくら?安くしてよ。気に入ったわ。
コンテナを上手く使っていてとってもエレガント。軽くて丈夫だし、どんな天気にも耐えられそうでいいわ。
この他にも購入を検討したいという問い合わせが3件ありました。
400年の歴史を持つ会社が作った、他にはない独自の庭。
本場、イギリスの人たちを魅了していました。
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