アメリカ西海岸、シアトル。
アメリカでは格差が広がり低賃金労働者が増えています。
中には正規の給料を貰っていてもとても生活できないと訴える人も多くいます。
そういった人の労働組合がありますので話を聞いてます。
労働組合「UFCW21」
この日、相談に来ていたのはウォルマートで働いていた女性たちです。
メアリー・ワトキンスさんはウォルマートに15年勤務していましたが、2015年に解雇されました。
あることがきっかけだったといいます。
ウォルマート
それは2015年のウォルマートの株主総会です。
この場でCEOと従業員の所得格差の問題を指摘したのです。
当時ウォルマートの従業員だったメアリー・ワトキンスさんは、
CEOは平均従業員の1,000倍稼いでいる。これをなくさなければならない。
メアリー・ワトキンスさんはこの直後、「勤務態度に問題がある」との理由で解雇を言い渡されました。
実際、2015年のマクミロンCEOの年収は約1,940万ドル(約20億円)。
これに対しフルタイムで働いても最低時給で働く人は年収約200万円です。
こうした状況からウォルマートの従業員は賃上げを訴え、各地でデモを繰り広げてきました。
解雇されたメアリー・ワトキンスさんも創業者の一族が住むニューヨークの高級マンションの前で生活の苦しさを訴えました。
メアリー・ワトキンスさんがいくら貰っていたのか、給料明細書を見せてもらいました。
2週間毎に渡される給料明細書では時給14.69ドル、2周間で80時間働けるフルタイム雇用を希望していましたが、パートタイムのため53.9時間しか働かせてもらえず手取りは713.18ドル(約7万5,000円)です。。
手取りで年収140万円足らず、働いているのに生活保護を受けるしかありませんでした。
ワシントン州が発行する低所得者向け健康保険のカード、そして食料配給のカード。
こうした政府からの援助をウォルマートの従業員だけで年間62億ドル(約6,500万円)も受けているという調査もあります。
これに対しウォルマートは「従業員の平均時給は全米の最低賃金を上回る」として、「データは誤解を招く内容」だと反論しています。
今年に入ってウォルマートは最低時給を10ドルに引き上げました。
ウォルマートは世界で有数の金持ち企業なのに、15年働いた結果がこれなんて悲しすぎる。
ニック・ハナウアーさん
シアトルに格差是正を訴える異色の大富豪がいます。
ニック・ハナウアーさん、総資産約1,000億円の超富裕層です。
30社以上に渡って会社設立や投資を手掛けてきました。
大富豪の立場を利用して政治面でも影響を及ぼし、メディアにも頻繁に露出。
時給15ドルへの最低賃金引き上げを提唱しています。
それこそが格差是正の一歩であり、企業にとってもメリットがあるといいます。
「金持ちを優遇すれば雇用が生まれるが、最低賃金を上げると雇用が失われる」とこうよく言われるが、うそだ。単なる脅迫にすぎない。人々がもっと稼げば消費が増えて、企業は雇用を増やすことができる。
経営者でもあるニック・ハナウアーさん、企業の幹部が巨額な報酬を得られるのはある特別な仕組みがあるからだといいます。
この部分はストックオプション。これは現金。CEOの最大の収入源はストックオプションだ。
ストックオプション
ストックオプションとは予め決められた価格で自社株を購入できる権利で株価が上がるほど売却益が増えます。
データを見てみると企業幹部の報酬は80年代までほとんどが現金でしたが、90年代から徐々に逆転。今ではほとんどがストックオプションになっています。
こうして株価が最高値圏にあるいま、幹部の報酬はより拡大しています。
これが金持ちがより金持ちになり、他が貧しくなっていく仕組みだ。
「あなた自身、大富豪なのになぜそう考えるのですか?」
それは真実だからだ。道徳的に正しくて、国や国民にとってすべきことだからだ。どの資本主義国も、経営者と従業員の力関係を均衡させる方法を見つけ出すべき。