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[WBS] ボルボ初のアメリカ工場!トランプ保護主義の影響は?

ワールドビジネスサテライト(WBS)

アメリカ国内での自動車の生産台数が今後どうなっていくのかという見通しを示したグラフ。

赤い部分の棒グラフはビッグ3と呼ばれるアメリカの大手3社についての予測です。

そして今後、アメリカ以外の自動車メーカーの生産台数が急増していき、ビッグ3に迫っていくと予測されています。

これはアメリカでの製造やアメリカ人雇用を求めるトランプ政権の保護主義の効果が出てくるということを意味しているのでしょうか?

2018年に初めてアメリカで工場を稼働するスウェーデンの自動車メーカー、ボルボのケースを取材しました。

ボルボ・カー

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アメリカ南東部、サウスカロライナ州の港町チャールストン。

その近郊に2018年秋から生産を始める予定のボルボ・カーの工場があります。

アメリカで初のボルボの工場は世界の注目を集めています。

その披露式典には20ヶ国のメディアが集まりました。

ボルボ・カーのホーカン・サミュエルソンCEOは、

この瞬間からわれわれは真のグローバル企業となるが、より重要なのはわれわれがアメリカ企業になったということだ。

社長とともに壇上に並んだのは工場で働き始めた従業員たち。

彼ら一人一人が挨拶をする演出で新たな雇用が生まれたことをアピールします。

そしてその場で世界初公開されたのがこの工場で生産されるセダン「S60」の新モデルです。

ニューヨーク支局の小林洋達記者、

こちらの新型S60、まずはこの工場でのみ生産され、ここから全世界に向けて輸出されます。それに伴い年内に従業員1,500人を雇用する予定です。

インベントに駆けつけたサウスカロライナ州の知事も車に乗り込みこの笑顔。

サウスカロライナ州のマクマスター知事、

このクルマは最高!美しい!

さらにボルボはアメリカで人気の大型SUV「XC90」を2021年からこの工場で生産する計画を発表。

従業員を4,000人にまで増やす予定です。

ホーカン・サミュエルソンCEO

アメリカでの生産を一気に加速する背景にはトランプ政権の保護主義の影響もあったのでしょうか?

サミュエルソンCEOに聞きました。

保護主義の影響ではなく、お客様に良い製品を低コストで提供するための決断。この工場は3年後に15万台を製造し、その半分を輸出する。これは双方向での貿易において非常に良い例になるだろう。

サミュエルソンCEOはアメリカでの生産急拡大はあくまで経営上の判断としながらも輸出と輸入のバランスに神経をとがらせていました。

海外メーカーの進出

アメリカの自動車産業は元々トップ3と呼ばれるGMやフォード、クライスラーの本社があるデトロイト周辺が中心地でした。

しかし最近はデトロイトのような強力な労働組合が少ない労働力が比較的安価な南東部に進出する海外の自動車メーカーが増えています。

ボルボが進出したサウスカロライナ州にはドイツ勢も相次いで進出。

BMWはすでに全米最大規模の工場を構えているほか、ダイムラーは20189月から完成社の一貫生産を始める計画です。

チャールストン市の経済開発を推進する担当者は海外メーカーの誘致に成功しているのは地元の努力の賜物だといいます。

チャールストン地域開発連盟のマイケル・グレイニー氏は、

州政府は投資規模に応じ法人税率を低くしたりゼロに近づけることもある。さらにサウスカロライナ州は大規模な従業員の研修プログラムもある。

2017年の年末、ボルボの工場の近くに完成した施設。

州政府がボルボの工場で働く従業員を養成するための研修施設を作ったのです。

製造ラインの組み立てを事前に体感する研修。

工場で実際に使われる溶接ロボットも置かれていました。

技術はもちろん、会社の哲学の教育などさまざまな研修を行い3月からこれまでに850人の従業員を養成したといいます。

元々は自動車工場での勤務経験者を受け入れていましたが今では未経験者も採用しないと人が足りない状況です。

受講者は、

工場は私自身や家族にとって本当に良い機会になると思う。

関税措置やその他の政策あ功を奏し、われわれ労働者の価値が認識された。

今後、ボルボで働くことになる彼らの多くからはトランプ大統領に感謝する声が聞かれました。

しかし海外メーカーの工場を誘致するために努力してきた地元にとってはトランプ政権のリスクも大きいといいます。

トランプ政権は予測できないと世界中のメーカーが感じていることが心配。

アメリカで生産能力を急拡大するボルボも今後、貿易摩擦が拡大することを大きなリスクだと考えていました。

高関税と貿易制限は明らかに経済にとって良くないため非常に心配。ボルボだけでなく購入費用も上がるので消費者にも良くない。

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