11月17日の成田空港の到着ロビーの様子です。人の姿はまばらです。
11月8日からワクチン接種済みの日本人などが帰国した際の待機期間がこれまでの10日間から3日間に短縮されました。
しかし、手続きが複雑すぎるなどの声が多かったために政府は11月17日から申請の手続きを一部簡素化しました。
これで問題の解決となるのでしょうか。
株式会社ビザスク
[blogcard url="https://visasq.co.jp/"]
東京・目黒区にあるITベンチャー企業「ビザスク」。
オフィスの一画で作業をしているのは総務担当の社員です。
ビザスクの総務担当、本橋望さん。
社員が海外出張から帰国した際、行動制限が緩和される申請書類を作成している。
実はいま端羽CEOが今月買収したアメリカの会社を視察するため出張中。帰国は21日の予定です。
これまで海外からの帰国者は最短で10日間、自宅やホテルなどでの待機が必要でした。
しかし、世界的にワクチンの普及が拡大していることなどから日本政府は11月8日にワクチンを2回接種した人でビジネス目的の渡航の場合、待機期間を3日間に緩和したのです。
緩和措置を受けるためには誓約書、入国者リスト、申請書のほか、帰国から4日目以降の行動を活動計画書に記入して提出する必要があります。
ただ…
行動計画をどう記載したらいいのか。
基本的なところから手探り状態。
また書類は会社の業種ごとに所管する省庁へ提出することになっていますが…
誓約書を見ると分かるが「○○大臣殿」と何大臣にしたらいいのか。
今日も確認のため電話を掛けたものの…
朝から5回かけてつながらない。
この作業ばかりやっているわけにはいかない。なかなか大変。
こちらは医療機器メーカーに勤める名郷根修さん。現在、ドイツに出張中ですが…
煩雑な申請だったので申請せずに終わった。
申請が簡単にならないと使いづらい。
こうした声を受け、政府は11月17日から一部でオンライン申請を始めるなど申請を簡素化する動きを見せています。
アメリカやイギリスなどの先進国の多くはワクチン接種を済ませた人には帰国後の待機を免除するなど渡航先によって対応を緩和しています。手続きもオンラインでの申請が浸透していて、日本の水際対策の厳しさや緩和措置の使いにくさが際立ちます。
そんな中、政府は11月17日にさらなる緩和について言及。
松野官房長官。
経済界をはじめさまざまな要望があることは承知している。
各国の感染状況等を踏まえ、制限のさらなる緩和に向けてどのような方策がとれるか前向きに検討したい。
教育現場も緩和に期待を寄せています。
秋田県にある国際教養大学。交換留学に力を入れるなど国際色豊かで全国から学生が集まる人気の公立大学です。
教室に行ってみると、授業は対面とオンラインを組み合わせたもの。留学生はオンラインで自国から参加していました。
外国からの入国原則停止を受け留学生の来日もストップ。こちらの大学ではもともと200人ほどの留学生がキャンパスにいましたが、今はほぼいません。
日本へ留学を希望するも叶わなかった生徒は…
ロシア人留学生のエリナ・スミルノワさん。
オンラインでは友達をつくるのは難しい。抗議が終わればみんないなくなってしまう。
知り合いはできたけど友達とはまだ呼べない。実際に大学に通える留学と同じではない。
こちらは大学で留学生の受け入れを担当する部署。
「このキャンセルは?」
国際教養大学の国際センター、関口尚子さん。
2020年の4月に交換留学で来日する予定だった留学生たちとのコミュニケーション履歴。
留学がキャンセルになった留学生たちの書類をファイリングしているもの。
政府は今月、留学生の入国も段階的な緩和を開始、必要な書類を用意すれば入国できるようになりました。
しかし…
文部科学省への申請が新たに加わってしまったので、それにかかる手間と時間が4月1日入国に間に合うかちょっと心配しているところ。
また留学生の場合、入国後10日間の隔離措置が求められ、ホテルなどは受け入れ責任者である大学が用意する必要があるなど負担は少なくありません。
この大学では成田空港近くのホテルを100部屋ほど確保しているといいます。
混雑すると分かっていたので9月ぐらいから旅行代理店と調整して早めに押さえてもらった。
春には外国人留学生の笑顔をここで見られればいいなと思っている。
実は海外の大学は留学生の受け入れをさらに緩和していて、この大学も来年1月から交換留学として日本人学生およそ140人を海外の大学に送ります。
国際教養大学の熊谷嘉隆副学長。
他の国は交換留学生を受け入れているので、こっちが受け入れないと「なんでそうなるんだ」と。
交換留学の場合は大学間の信頼関係が実はすごく大事。
この十何年積み上げてきたものが影響を受けないのか気になるところ。