個人が企業と同じように株式のようなものを発行して資金を集めることができる新しいサービス「VALU」。
実はすでに1万5,000人以上が上場をしており、なかには有名人もいます。例えばライブドアの元社長、堀江貴文の時価総額は約26億円と大変な人気です。
株とよく似ていて人気のある銘柄はどんどん上がる。そういう傾向があります。
2ヶ月前にスタートしたばかりのVALUですが、実は先週、ある大問題が起きていま議論を呼んでいます。
このVALU、どんなサービスなんでしょうか?
VALU
[blogcard url="https://valu.is/"]
個人投資家の兵丹石一志さん。最近、あるサービスにハマっているといいます。
VALUというサイトがある。総額20万円くらい投じた。
兵丹石さんが20万円を投じたのは仮想株式「VALU」。個人が会社の株式のようなものを発行し、売買することができるサービスです。
画家など資金が必要な個人は自身のVALUを売ることで簡単にビットコインのカタチで資金調達ができます。
一方、バリューを買った人もその人物が有名になればVALUの価格も上がり利益が得られます。
VALUはビットコインを使ってほかのユーザーと自由に売買することができます。
VALUの売り出し価格や発行数はフェイスブックなどの友達の数によって自動で算出されます。
兵丹石さんは空いた時間などを利用して将来、有名になりそうな人のVALUを青田買いしています。選んでいたのは若手の映画監督やサッカークラブのオーナーなど価格の上昇を期待しているといいます。
VALUの中で見る人は普段出会わない人ばかり。応援している人が有名になったり価値が上がっていくのは応援しがいがある。
青猫書房
[blogcard url="http://aoneko-shobou.jp/"]
さらにVALUにはある別の楽しみ方があるといいます。
兵丹石さんが訪れたのは2ヶ月前、1万円分のVALUを購入した画家のショーゲンさん。
すると、
アフリカの夕焼けは色が混じりあわずに落ちてくるイメージ。初めて空を見て怖くなった。飲み込まれるのではないかというのがアフリカの空。それをペンキで表現した。
丁寧に絵の説明をするショーゲンさん。実はこれ「株主優待」のようなもの。
ショーゲンさんのVALU所有者に対する優待は本人から直接絵の説明を受けられるほか、オリジナルのポストカードがもらえます。
兵丹石さんは、
生で絵を見て、作者と喋れて、プレゼントまでもらえたら、みんな喜ぶ。
優待を設けるかどうかは自由ですが、VALUの人気に直結するため多くの発行者が活用しています。
ショーゲンさんがいままでVALUで調達した資金は約10万円。作品作りや個展開催の費用に使っているといいます。
株式会社VALU
大浜平太郎キャスター、
仮想株式を展開しますVALUの本社がこのビルの中に入っています。どのくらいの規模でやっているのか中を覗いてみましょう。
創業者の小川晃平代表、VALUを始める前はフリーのエンジニアだったといいます。
「どうしてこういうことを始めたのか?」
もともとあるIT企業で働いていたが辞めてフリーランスになった。社会的な保障やステータスが下がってしまった。クレジットカードの限度額は学生並みに戻ってしまった。
そういったものを解決できないかと思い、こういったサービスを始めた。
「ちなみに私はいくらぐらいかな?」
フェイスブックの友達の数は1,000人だという大浜キャスター、すると、
41万8,133円。
取材歴25年、大浜キャスターの時価総額はわずか41万8,133円。
一方、
ユーザーの中に堀江貴文さんがいる。
元ライブドア社長、堀江貴文さんの時価総額は約26億円。
「堀江さんの価格が上下する要因は?」
ロケット発射の時は少し上がった。
7月、堀江さんが出資する観測用の宇宙ロケットの打ち上げが発表されると時価総額は約2倍に急上昇。しかしロケットの打ち上げに失敗すると価格は2割ほど下がりました。
堀江貴文さん
[blogcard url="http://horiemon.com/"]
VALUの立ち上げにも関わったという堀江さん。自身の値動きをどう思っているのでしょうか?
「ロケットのニュースで価格が動いた?」
マスコミに僕が取り上げられるとVALUの価格も上がる。面白いでしょ。値動きは株式市場とすごく似ている。
堀江さんはVALUの登場で今後、個人の資金調達に大きな変化が生じると強調します。
VALUが始まって実感したと思う。本来はあなたたち(個人)は資金調達力があったのに規制や一部の既得権を持っている人たちが牛耳っていた。テクノロジーが開放してくれている。
海外のIT業界の人は「インターネット黎明期を感じる」と口をそろえて言っている。すべての仕組みが変わるのでは。
VALUの欠点
一方、VALUにはある欠点もあります。
先週、人気ユーチューバーの集団が大騒動を起こしました。
VALUを発行したばかりのユーチューバーがツイッターで「面白いことを企画している」などと発言したところ、何か特別な優待が付くのでは、とファンなどの期待が高まりVALUの価格が急上昇。
しかし、このユーチューバーたちはそこで自身が所有するVALUをすべて売りぬき価格が大暴落しました。
含み損を抱えた多くのユーザーからは、「何もかも消し飛びました」との声や、「他人からの信用を踏みにじった卑劣な行為」などという強い非難が相次ぎました。
今回の騒動で数千万円の利益を得たと見られるユーチューバーたち。払い戻しに応じると発表しましたが全額返金できるかは不透明です。
実はVALUの取引は現金ではなく、すべてビットコインのため金融商品取引法などの対象にならず、相場操縦やインサイダー取引の被害からユーザーを保護する決まりはありません。
VALUは今回の騒動を受け、利用者保護を最優先に新たなルール作りを進めると発表しました。
麻生太郎財務兼金融担当大臣
VALUの広がりについて麻生太郎財務兼金融担当大臣は、
ファイナンシャルテクノロジーの一商品として育てるべきなのか、ちゃんと育っていくのか、投機の対象となるのか、「消費者保護」と「新しいものを育てる」、両方考えないといけない。
日本初のサービス「VALU」。個人を救うのか、それとも時代の徒花か、真価を問われるのはこれからです。