地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は長野県佐久市からです。新型コロナの影響で需要が増えている自動水栓を製造する企業を取材しました。
新型コロナ感染対策で再注目!
長野県佐久市の小学校「佐久城山小学校」。
子どもたちが手を洗う日常の光景ですが、よく見ると手をかざすと自動で水が流れる自動水栓を使っています。
児童は…
非接触で水が出るので使いやすい。
便利で簡単でうれしい。
佐久城山小学校の金澤正明校長。
コロナ下で手を洗う回数はとても増えたが、蛇口を共有するということで感染への不安を感じることが多くなった。
みんなが安心して手洗いができるように非接触型である自動水栓を導入した。
新型コロナウイルスの感染予防として学校を中心に自動水栓の需要が増えています。
こちらの小学校でも水飲み場など34ヵ所に設置しました。
長野県東部に位置する佐久市。人口およそ10万人ののどかな高原都市です。
この地に自動水栓を製造する企業「バイタル」が。
1971年に創業したバイタル。従業員40人。
売上高は9億7,700万円に上ります。
自動水栓分野ではTOTOやLIXILといった大手メーカーに次ぐシェアを誇ります。
バイタルの土屋智宏社長。
大手はトイレ全体で販売する営業スタイルだが、当社の場合は自動水栓しかないので基本的に「手動蛇口を自動化してください」という販売戦略。
バイタルの自動水栓は後付ができることが最大の強み。
もともと付いていたノズルを外したらつなぎ目の部品を取り付けて、後はそこに本体を取り付けて完了。わずか数分程度で設置ができます。
バイタルの営業部、大澤政二さん。
一般的な自動水栓と違って断水をせずに交換できる。
大手にないニッチ製品で成長
さらに大手がカバーしていない細かいニーズをすくい上げニッチな製品で成長してきました。
例えば…
こちらはしゃもじを置く専用の自動水栓となっています。
ファミリーレストランなどでしゃもじを置いておくシンク用の自動水栓。
以前はずっと水を流しぱっなしでしたが、40分に1回水が流れるプログラムを作り。1日200~300リットルの節水に成功しました。
大手との違いは製造過程にも。
小型化と防水性能のため電子部品のコネクターを使わずにはんだ付けをしている。
多品種・少量生産ということで自動水栓は焼く200機種ある。
月に5台しか作らない機種もある。
大きなラインで製造するより小さいチームのほうが効率が良い。
工場内に専用ラインはなく、従業員たちはそれぞれ自分の机で最終製品の組み立てやチェックを行っていて、その生産方式が需要に合わせた小回りの効く生産を可能にしています。
その技術力の高さからも大手コンビニや新幹線、さらにアメリカ航空機製造のボーイングでも製品が採用されています。
航空機は安全第一ということでかなり厳しい規格をクリアしている。
強度と軽量化のせめぎ合い。
軽量化するのは簡単だが、強度を確保しながら軽量化するのが難しかった。
飛行機が揺れたときに水栓を掴んでも折れないという規格があり、300kg乗せても壊れない。
そんなバイタルですが創業時は電子機器の組み立ての下請け業務が中心でした。
先代(土屋和典会長)の友人の医師から「蛇口に触れなくても手が洗える、自動で水が出る水栓を作れないか」という相談。
そして1989年に自社ブランドの自動水栓「デルマンシリーズ」の生産を開始。
感染予防で開発したものだったが節水にもつながるとお客様に褒められた。
それからは節水の営業が中心。
約80%の水道代削減につながる。
しかしコロナ下で再び感染予防としての需要に戻ります。
学校向けの製品の1ヵ月あたり平均生産台数は例年のおよそ200台から去年12月には3,200台を超え、16倍に急増しました。
さらに今年9月には新たな自動水栓を発売。
今までは電源に乾電池4本が必要だったものを2本で済むように改良。
1日100回の使用でおよそ6年間、競合他社の2~3倍の電池寿命を誇ります。
顧客のニーズを聞きながら新たな付加価値を模索し製品化したい。
「自動水栓といえばバイタル」と消費者に知ってもらいたい。