内閣府が4月8日に発表した3月の景気ウォッチャー調査によると街角の景気の実感を示す指数は前の月からおよそ10ポイント上昇し、47.8となりました。これは3ヵ月ぶりの改善となります。
この景気ウォッチャー調査はタクシーの運転手やスーパーやコンビニの店員など景気の動きに敏感なおよそ2,000人の協力で行われている調査ですが、実際にどのような声が寄せられたのでしょうか。ピックアップしてみました。
北陸のホテルの従業員は…

まん延解除でレジャー客が大幅に増加した。稼働率は10%アップ。
また東北にある遊園地の従業員も…
コロナの発生前には届かないものの前年や2年前より上向いている。

と回答しています。
その一方、南関東のレストランからは…

伸びを期待していたが変化はあまり感じない。夜の来客数は低迷したまま。
そして中国地方のタクシー運転手も…
クラスターの発生などで夜のお客様の動きは鈍い。

としています。
地域や業種によって景気の状況はまだら模様のようです。
夜の時間も営業している飲食店の景気はどうなのでしょうか、都内にある飲食店から原田修佑キャスターに伝えてもらいます。
ケーザイの現場「居酒屋」!原材料高で"串揚げ"から"そば"へ
原田修佑キャスター
東京都千代田区、神田駅近くの飲食店街にいます。夜の11時をまわりましたがお店の提灯や看板はまだ明かりが付いていますし、肌寒さある中で屋外で飲食をしている方もいます。
また4月、新年度ということで新入社員の方々も多く見られました。
ただお店で働く方々によるといつもの金曜日に比べて人通りはかなり少ないということです。

原田修佑キャスター
そんな中、こちらのお店「居酒屋 神田っ子」に撮影許可をいただきました。
お店の中を見てみると1時間ほど前までは50~60席ほぼ満席でしたが23時のラストオーダー過ぎたということで今は2組ほどが感染対策を施しながら飲食を楽しんでいます。
ここからは神田っ子の店長、長谷川さんにお話を伺います。

原田修佑キャスター
まん延防止措置が明けてお客さんの入りはどうですか?

居酒屋 神田っ子
長谷川清店長

コロナ禍以前よりも7割ぐらい戻ったかなという感じ。
原田修佑キャスター
普段の新年度に比べるとお客さんの数は?

居酒屋 神田っ子
長谷川清店長

通常はこの時期は歓送迎会があるので宴会を中心に団体様の予約がはいるが、今は感染対策が中心になっているので4名以下のお客様ばかりです。今日も4名以下のお客様した受け付けていない状態です。ほぼ2人のお客様でした。
原田修佑キャスター
売り上げは?

居酒屋 神田っ子
長谷川清店長

売り上げはコロナ禍以前の6割。
原田修佑キャスター
懸念されていることは?

居酒屋 神田っ子
長谷川清店長

コスト高です。原材料費が非常に上がっている。特に油が去年に比べて2倍ぐらい。
原田修佑キャスター
メニューに影響は?

居酒屋 神田っ子
長谷川清店長

私どもは数十年来串揚げのお店として有名になったが、その串揚げをメニューから外さざるを得なかった。今は串揚げはやっていません。
原田修佑キャスター
そんな中、メニューに追加したのがそばということですが?

居酒屋 神田っ子
長谷川清店長

ランチを中心にそばを売るというコンセプトで、コロナ禍前までは12種類くらいの品目があったが、そばに集中することによって3~4種類の品目にできる。そうすると人件費をカットできる。今まで8時半から仕込みをしていた調理人が10時、11時でもできる。
佐々木明子キャスター
景気の先行きについてはどう見ていますか?

居酒屋 神田っ子
長谷川清店長

短中期的にはテレワークやコスト高などがあってお客様の数が限られている。その中でどうやって利益を出すか主眼になっている。
原田修佑キャスター
実感としては一時期のドン底は抜け出しているものの、まだまだ厳しい状態が続いているようです。

そしてコロナ禍や原材料費の高騰とは別の理由で苦境に立たされている現場がありました。
円安進み輸入価格上昇!ワイン「1,000値上げも…」
東京・銀座にあるワインショップ「ヴィノスやまざき銀座店」
世界10ヵ国以上から500種類を超えるワインやチーズなどの食品を輸入し販売しています。
いま頭を悩ませているのが…
ヴィノスやまざき銀座店 商品部
保坂清仁部長

円安の影響で現地から仕入れる際の値段が上がっていて非常に困っている。
円安です。この1ヵ月でドルに対しておよそ9円円安が進みました。
輸入価格が上昇してしまうためこちらの店は来月値上げを検討しています。
人気だというアメリカ・カリフォルニア産の赤ワインは…
ヴィノスやまざき銀座店 商品部
保坂清仁部長

3,000円前後の商品だが400~500円の値上げになる可能性。
さらに…
ヴィノスやまざき銀座店 商品部
保坂清仁部長

シャンパンは1,000円くらい値上がりするものも出てくるのでは。
ワインを買いに来たお客さんは…
お客さん

普段は2,500円や3,000円で買っている。4,000円くらいになるちょちょっといや。
こちらの店ではもともと輸送コストの上昇などを理由に今月値上げを予定していました。
そうした中、円安が想定外に進んだため来月値上げを改めて検討。値上げ幅は拡大する見通しです。
ヴィノスやまざき銀座店 商品部
保坂清仁部長

170~180品目くらいは値上げしないと厳しいと考えている。
ロシアによるウクライナ侵攻で原油価格も高止まりしているため今後も円安の進行や資源価格の高騰が続けば輸入品がさらに値上がりする可能性があります。
財務省が4月8日に発表した2月の国際収支によると海外との物やサービスの取引状況を示す経常収支は1兆6,483億円の黒字でした。
資源高や円安の進行で輸入額が膨らみ黒字額は前の年と比べおよそ4割減少しました。