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[WBS]ゼレンスキー大統領まもなく電撃訪米

ワールドビジネスサテライト(WBS)

ロシアによるウクライナ侵攻から300日という節目にゼレンスキー大統領がアメリカのホワイトハウスを訪問することが電撃発表されました。

間もなく到着するゼレンスキー大統領が向かうホワイトハウス前の中村記者に現在の状況を伝えてもらいます。

ゼレンスキー大統領が電撃訪米へ

間もなく到着し首脳会談

ワシントン支局
中村寛人記者

バイデン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談が行われるホワイトハウス前です。
この後、日本時間の明日4時半ごろから行われる両首脳の会談を前に現在はいつもと変わらず静かな状況です。

今回、ゼレンスキー大統領にとってはロシアの侵攻以来初めての外国訪問となり、移動は厳戒態勢が敷かれているとみられます。

ゼレンスキー大統領はまずはウクライナの国境を接し、アメリカ軍の基地もあるポーランドに移動し、現在はワシントンに向かっているとものと見られます。

アメリカの政府高官によるとバイデン大統領はゼレンスキー大統領との会談で長距離の地対空ミサイル「パトリオット」など20億ドル、日本円でおよそ2,600億円に上る新たな軍事支援を表明するとしています。

その後、ゼレンスキー大統領はアメリカ議会で演説を行う予定で、その発言にも注目が集まっています。

また、アメリカの政府高官によるとゼレンスキー大統領は演説後は数時間の滞在の後、ウクライナに帰国するとしています。

そのウクライナのゼレンスキー大統領の電撃訪米、なぜ今なのでしょうか?

そして何が話し合われるのでしょうか?

プーチン氏は「核」でけん制

東部ドンバス地方の中でも最も激しい戦闘が続くドネツク州バフムト。

20日にこの最前線の地を電撃訪問していたのがゼレンスキー大統領です。兵士たちを激励する中でも砲撃の音が鳴り響いていました。

ウクライナ
ゼレンスキー大統領

みんなの肩にはドンバス地方だけでなく、ウクライナ全体の防衛がかかっている。

戦闘の激しさを肌で感じたゼレンスキー大統領はこのあと、アメリカに向かうことに。

なぜ今、電撃訪米を決断したのでしょうか?

慶応義塾大学
廣瀬陽子教授

とても驚いた。ゼレンスキー大統領はロシア軍から狙われていて、非常に危険な状況だが、それ以上にアメリカに行くことに意味があったと思う。

いまウクライナはロシア軍から支配地域を奪還し、善戦を見せる一方、集中的なミサイル攻撃を受け続け首都キーウのインフラが壊滅状態に。

本格的な冬を迎えた中、街の半分ほどが停電し、断水も続いています。

廣瀬さんは今後、さらに状況は厳しさを増すと指摘します。

慶応義塾大学
廣瀬陽子教授

ロシアは9月に動員した兵を訓練していて、もうすぐ仕上がるのではないかと言われている。
来年1月末から3月ぐらいにかけてキーウを再侵攻するのではという脅威がある。
このままではウクライナ国民は非常に暗く、寒いクリスマスを過ごさなければいけない。

懸念が高まっている年明け以降のロシア軍の再侵攻。さらにプーチン大統領は12月21日にロシア国防省の幹部を集めた会合で…

ロシア
プーチン大統領

ロシアの自国の軍事力をいつものように、毎日のように上げていく。
このプロセスを増幅させる。
われわれは核戦力の戦闘態勢を引き続き改善していく。

核の脅威を示しながらウクライナや支援する欧米各国を強くけん制しました。

ウクライナが置かれた厳しい現実を前にゼレンスキー大統領はある支援を求め続けてきました。

ウクライナ
ゼレンスキー大統領

われわれの空を完全に守るために近代的な防空システムを提供してもらうことがテロ国家を止める手段につながる協力な一歩となる。

アメリカ軍の主力迎撃ミサイルシステム「パトリオット」。ロシア軍のミサイル攻撃からウクライナを守るため、パトリオットの提供を求めてきたのです。

ウクライナ
ゼレンスキー大統領

今週は重要。ウクライナは必要な支援を必ず得る。

間もなくアメリカを電撃訪問するゼレンスキー大統領。移動中の機内からTwitterで「ウクライナの防衛強化について協議するためアメリカに向かっている」と投稿しました。

このあと行われるバイデン大統領との会談でおよそ2,600億円の新たな支援が伝えられることになっていて、その中に悲願ともいえるパトリオットの提供も含まれているということです。

今回の会談は300日を迎えたウクライナの戦況にも大きな影響を与えそうです。

慶応義塾大学
廣瀬陽子教授

ウクライナにとっては大事な局面。
ロシアがパトリオットの配備をものすごく嫌がっているのも事実。
ロシアはこれ以上ミサイル攻撃をやっても無駄だと思わせるひとつの重要なファクターになり得る。

アメリカの思惑は…

佐々木明子キャスター

ゼレンスキー大統領のこのタイミングでの訪米に対してバイデン大統領側の狙いはどこにあるのでしょうか?

ワシントン支局
中村寛人記者

今回の訪問はアメリカ側が招待したものでした。
アメリカの政府高官からは計算はないとの声が聞かれていますが、バイデン大統領には2つの狙いがあったのではないかと見られます。

ロシアによる侵攻後、バイデン政権はウクライナに対して190億ドル、日本円でおよそ2兆5,000億円を超える安全保障支援を行ってきました。

一方、11月の中間選挙で下院を野党の共和党が多数を占めたことで来年1月からアメリカ議会はねじれの状況になります。

共和党の幹部からは「ウクライナ支援に白紙の小切手は切らない」などとウクライナへの支援の見直しを求める声が出ています。

今後も支援の継続の意向を示すバイデン大統領としてはねじれ議会が始まる前に共和党をけん制するとともに世界に対して今後もアメリカが主導して西側諸国を結束させていくという意思を示す狙いもあるとみられます。

そして2つ目はアメリカ国民の関心を再びウクライナに集めることです。アメリカでは国民の関心がウクライナ支援よりもインフレなど国内の経済の課題へシフトしています。

バイデン大統領としては会談を通じて国民に対し、ウクライナ支援の正当性を訴える機会にもしたい考えです。

中国 習近平国家主席
「関係国に理性と抑制望む」

こうした中、中国の習近平国家主席が12月21日にロシアのメドベージェフ前大統領と会談し、ウクライナ問題をめぐって関係国が理性と抑制を保つことを望むと述べました。

中国 習主席関係国に抑制促す
ロシア 前大統領「和平交渉で解決」

中国国営の新華社通信によると習氏はウクライナ問題に関し「中国は常に話し合いを促してきた」と述べた上で、全ての関係国が理性を保ち全面的な対話によって政治的に解決するべきだとして抑制を呼び掛けました。

一方、メドベージェフ氏はロシは和平交渉を通じた問題解決を希望していると報じました。

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