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[WBS]「ロシアはテロ支援国家」と決議!侵攻9ヵ月…ロシア国内に異変

ワールドビジネスサテライト(WBS)

11月24日でロシアにウクライナへの侵攻開始から丸9ヵ月となります。ヨーロッパ議会は11月23日にロシアをテロ支援国家と断じる決議案を賛成多数で可決しました。一方、そのロシアでは欧米企業の撤退が相次ぐ中、ある異変が起きていました。

ロシア テロ支援国家に指定
侵攻9ヵ月…プーチン氏に動き

ウクライナの国家非常事態庁は11月23日にザポリージャにある病院がロシアによるミサイル攻撃を受けたとして映像を公開しました。この攻撃で乳児1人が亡くなったということです。

ロシアによる侵攻開始から11月24日で丸9ヵ月。民間人を巻き込む激しい戦闘が続いています。

こうした中、ヨーロッパ議会は11月23日にロシアを「テロ支援国家」に指定。民間人を標的とするロシアの軍事攻撃は国際法に違反するとしています。

病院や学校への攻撃とともに指摘されたのがエネルギーインフラへの攻撃です。

ウクライナ
国営電力会社CEO

損傷がない発電所はない。

発電所を狙ったロシア軍による連日のミサイル攻撃。深刻な電力不足に陥ったウクライナでは大規模な計画停電が実施され、最大1,000万人もの市民が長時間電気を使えずにいるのです。

市民

寒くなってきているので凍えないようにするのがより困難になる。

雪も降り始め、これから本格的な冬を迎えるウクライナ。WHO(世界保健機関)は数百万人が命の危機にさらされる恐れがあると警告しています。

ウクライナ
ゼレンスキー大統領

冬の間、電気、水、暖房の供給を停止することがロシアの目標で何百万人もの命を脅威にさらす大量破壊兵器を使用しているのと同じだ。

こうした事態を受け、世界銀行は11月22日にウクライナに対しおよそ6,400億円の追加支援を表明。日本政府も発電機などの提供を決めるなど支援の動きが広まっています。

一方、ヨーロッパ議会からテロ支援国家に指定されることが決まったロシアのプーチン大統領はロシアが主導する旧ソ連圏の軍事同盟「CSTO(集団安全保障条約機構)」の会合に出席するため11月23日にアルメニアに到着しました。

欧米による包囲網が狭まる中、友好国の結束を強化する狙いがあるとみられます。

これに先立ち、11月22日には友好関係にあるキューバのディアス・カネル大統領をモスクワに招き、キューバ革命の英雄、フィデル・カストロ元議長の銅像の除幕式を行いました。

ロシア
プーチン大統領

私たちはかねてから通商制限などの経済制裁には反対だ。

ともに制裁に耐え続けてきた盟友とともに欧米による包囲網を非難しました。

そのロシアではいま、ある異変が起きていました。

ロシア iPhoneやレゴ販売
輸入停止のブランド品がなぜ?

首都モスクワのショッピングモール。海外ブランドの店が軒を連ねます。

撤退したブランドは閉店中。店頭には張り紙が…「店舗は一時閉鎖しています。再びお招きできる日を楽しみにしています。」

別のモールでは日本のユニクロも閉店していました。

しかし、携帯電話ショップを訪ねるとアップルが撤退を発表してから6ヵ月後に発売されたiPhone14が売られていました。価格は28万円ほどからと少し割高ですが…

モスクワ支局
バレリー・ベロゼロフ記者

ここにあるアップスの新製品は全て並行輸入という仕組みでロシアに届いている商品です。

並行輸入制度とはメーカーなど権利者の許可なく商品を輸入し、販売すること。

ロシアではもともと権利者の同意がない並行輸入は知的財産の侵害にあたるとされてきましたが、3月に政府がこれを許可することを決めました。

世界のブランドがロシアでの事業を停止したことによる経済的な影響を減らす施策です。

ミシュスチン首相は経済制裁を念頭に外国政治家の敵意への対抗策と位置づけています。

衣料品や輸送機器、電化製品やコンピューター、その中でロシア政府が並行輸入の対象となるブランドを選定しています。

対象にはこうした商品も…

モスクワ支局
バレリー・ベロゼロフ記者

ロシアマーケットを撤退したウイスキーを飲んでみます。
味は変わっていません。

玩具メーカー「レゴ」の正規代理店だった店。レゴの店舗にしか見えませんが店名は「ワールド オブ キューブス」になりました。

お客さんに聞いてみると…

お客さん

正直違いは分からない。

お客さん

ロシアは強い国だから自分たちでどうにかするんでしょう。

レゴはロシア事業を無期限停止していますが、このワールド オブ キューブスはロシア全土の65店舗でレゴ製品を扱い、以前と同じように営業しています。

店のスタッフ

実はかなり以前から並行輸入自体は行われていたようだ。
それで在庫もまだあって、今も問題なく店頭に商品がある。

並行輸入がどのように行われているのか…

日産自動車の正規ディーラーである「アフトダム」グループの販売店です。ディーラーのCEOが取材に応じました。

「アフトダム」グループ
マキシム・シシュコCEO

実際に並行輸入の輸入元はたくさんある。
ヨーロッパや日本のような車メーカーのある場所。
さらにアラブ首長国連邦のように伝統的に自動車の再輸入の経由地だった場所だ。

番組スタッフ

関税同盟の国からも来るのか?

「アフトダム」グループ
マキシム・シシュコCEO

もちろんだ。カザフスタン、アルメニア、ベラルーシから来る車もある。

ロシア政府によると並行輸入した商品は10月時点で合計126億ドル相当に上ります。

この店の場合、以前からの在庫は年末になくなりますが、並行輸入を使いこれまで通りの販売を続けます。

価格が2倍にあるものもありますが、平均では3割ほどの上昇に抑えられるといいます。

「アフトダム」グループ
マキシム・シシュコCEO

部品やスペアパーツがロシア経由としては並行輸入で大きなものとなる。
ドライバーやタクシーの乗客として誰もが車を使う。
それだけ重要な問題だ。

専門家は並行輸入制度がロシアの命綱として機能していると話します。

モスクワ大
オレグ・バクレミシェフ教授

政府にとっては唯一の策で代替手段はなかった。
そして今、経済的にも、より一般的になっている。

一方、足元の経済成長率はマイナス4%。並行輸入で持ち堪えてもダメージは蓄積されていると指摘します。

モスクワ大
オレグ・バクレミシェフ教授

貧しくなっていることには言及したい。
選択肢が少なくなり、ロシア人から見て消えた商品もある。
ロシアの投資家にとっても商品が失われている。
ロシアの将来の成長、経済発展において、これらは重要なものだ。

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