EU(ヨーロッパ連合)は6月23日の総会議でウクライナを加盟候補国とする決定を下しました。ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2月末の加盟申請からスピード認定となった一方で戦争終結の糸口が見えないまま、侵攻開始4ヵ月を迎えました。
この戦いに終りが来るのか、アメリカのブッシュ政権で国務副長官を務めたリチャード・アミテージ氏がテレビ東京の単独インタビューに応じました。
ロシア侵攻から4ヵ月 見るぬ終結!ウクライナ EU加盟候補国入り
EU
ミシェル大統領

われわれはウクライナとモルドバを「加盟候補国」とし、ジョージアも条件を満たせば認めることを決断した。
EUは6月23日にウクライナとその隣国のモルドバを加盟候補国として認めました。
申請から4ヵ月弱の認定は異例の早さです。
EU ヨーロッパ委員会
フォンデアライエン委員長

3ヵ国はヨーロッパファミリーの一員。
ウクライナ、モルドバ、ジョージアがロシアの侵略に対して力を増し、そしてEUを強化することになる。
ウクライナ
ゼレンスキー大統領

これは勝利だ。侵攻開始から120日、独立から30年、このときを待っていた。これで敵を打ち負かすことができる。
EUは軍事同盟ではないものの加盟国の安全保障上、大きな意味を持ちます。
モルドバのアナ・レバンコ内務大臣は5月にテレビ東京の取材に応じ、こう強調していました。
モルドバ
アナ・レバンコ内務大臣

EU加盟で大きくて強力なファミリーの一員になる。同時にこの戦時下で安全保障の強化を意味する。
ただEU加盟には政治や経済面などで高い基準を満たす必要があり、手続きには通常数年かかるとされています。
ウクライナ
ゼレンスキー大統領

きょうここで確信を持って言える。ウクライナは正式な加盟国に値する。
同じ日、笑顔で手を振るロシアのプーチン大統領。
ロシア、インド、中国など新興5ヵ国BRICSがオンラインの首脳会議を開催しました。
ロシアへの経済制裁を続ける欧米諸国を念頭にプーチン大統領は自分勝手な行動が世界経済の危機を引き起こしていると主張。
ロシア
プーチン大統領

この問題を集結させるには正直お互いの利益になる形での協力が必要。
その終結への道筋が見えぬままロシアによるウクライナから4ヵ月が経ちました。
東部のルハンシク州ではウクライナ側最後の要衝とされてきたセベロドネツクが陥落の危機に瀕しています。
ウクライナ ルハンシク州
ガイダイ知事

残念ながらわれわれはセベロドネツクからの撤退を余儀なくされるだろう。
ウクライナ軍はすでに新たな配置につくよう司令を受けた。
ウクライナ軍のもう一つの拠点とされるリシチャンスクでもロシア軍は激しい攻撃を続けていて、ルハンシク州の掌握に向け一層攻勢を強めるとみられます。
アメリカ 元国務副長官が語るロシア!日本への期待 中国 台湾侵攻は?
長期化するロシアのウクライナ侵攻はどうなるのか。
アメリカ 元国務副長官
アーミテージ氏

ロシアはウクライナの10倍の戦略があるのに膠着状態に陥ってしまっている。
テレビ東京の単独インタビューに応じたのは、かつてアメリカのブッシュ政権で国務副長官を務め、東アジア情勢に精通するアーミテージ氏です。
アメリカ 元国務副長官
アーミテージ氏

この戦争はプーチン大統領が始めたもので、彼が「もう十分だ」と判断するまで終わらない。
ウクライナの主に南部と東部を制圧できるまでやめないだろう。
こうしたプーチン氏の思惑を背景に欧米の一部からは紛争の拡大に歯止めをかけるためロシアに領土を譲り渡してでも停戦を求める妥協論も浮上しています。
アメリカ 元国務副長官
アーミテージ氏

プーチン大統領はロシアの供給停止でエネルギー不足に陥ったヨーロッパがロシアに対して一定の妥協をするのではと期待している。
こうした中、26日からG7(首脳7ヵ国)首脳会議が、29日からはNATO(北大西洋条約機構)の首脳会議相が次いで開かれます。
ともにウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで参加するほか、日本の岸田大臣が出席する予定です。
日本がNATO首脳会議に参加するのは初めてです。
アメリカ 元国務副長官
アーミテージ氏

NATOの主要な海軍国である英独仏はアジアで日本とも軍事演習をしている。
日本がNATOに目を向けるのは非常にいいこと。岸田政権が防衛費を2%近くまで増やす期待もある。
NATO首脳会議では今後10年間の指針となる戦略概念を採択。
ロシアをヨーロッパんの安全・平和・安定に対する脅威と位置づける見通しです。
そしてこの戦略概念に初めて明記されることになっているのが中国です。
去年、アメリカ政府の非公式の代表団として台湾を訪問したアーミテージ氏。中国による台湾への軍事侵攻については今のところ可能性は低いと分析しています。
アメリカ 元国務副長官
アーミテージ氏

第一にウクライナにおけるロシア軍の多大な損失を見ていること。
第二に新型コロナウイルスによる都市封鎖で中国国内の経済活動が低下していること。
第三にウクライナと違い台湾への攻撃は地理的に非常に難しいこと。
侵攻の可能性はあるが今の中国には難しい。