ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、メキシコを経由してアメリカに非難するウクライナ国民が数多くいます。こうした中、親族を頼り。アメリカで再出発を図るある親子を取材しました。
アメリカに避難民 メキシコ経由一時急増!国境近くに連日数百人も
アメリカ・サンディエゴとの国境に位置するメキシコの街ティフアナ。
ここにあるサンイシドロ国境検問所はアメリカとメキシコの国境で最大です。
4月に入り、この街にあるスポーツ施設で異変が…
手塚明日香記者

避難民の方々が移動を始めました。お子さん連れの方が多く見られます。
これからバスに乗り込み、アメリカとの国境に向かいます。
アメリカのバイデン政権が3月末にウクライナからの避難民を最大で10万人受け入れることを宣言。
しかし、入国手続きには数ヵ月以上の時間がかかります。
ウクライナ国民がビザの取得が必要ないメキシコに渡り、国境で難民申請をすれば数日でアメリカに入国できるという情報がSNSで拡散。避難民がティフアナに押し寄せたのです。
ティフアナ市は国境に近いこの施設を避難所として提供。ボランティアによる支援も始まりました。
ボランティア団体のリーダー、インナ・レビーンさん。施設の中を案内してもらいました。
ボランティア活動のリーダー
インナ・レビーンさん

ここで避難民が国境まで行くバスを待っている。
さらに奥にある体育館に向かうと…
ボランティア活動のリーダー
インナ・レビーンさん

避難民が多かった時はここに泊まってもらっていた。
ここに約400人が泊まれる。
難民申請をするため、これまでに1万5,000人以上が訪れましたがアメリカ入りできるのは1日500人ほど。入国手続が追いつかず、寝泊まりする避難民であふれることもありました。
母子がアメリカで"再出発"!「新しい人生の始まり」
この日、ティフアナに到着したラリサ・ドロズデュクさん。2月末、一人娘のアナスタシアさんを連れて首都キーウからポーランドへ逃れ、その後、アメリカに住む叔母の元に身を寄せるために海を渡りました。
叔母
ジャーニストさん

きょう中に2人がアメリカに入国できると期待している。
私はこれから戻ってアメリカ側で待つ。
ずっと2人を待っていた。
アナスタシアさんのパスポートの有効期限が切れていたため、ポーランドで2ヵ月間発行を待っていたといいます。
ラリサ・ドロズデュクさん

避難民を助けてくれたみんなに今は感謝したい。
私たちは死んでいたかもしれない。だからきょうは新しい人生の始まり。
支援活動は検問を通過したアメリカ側でも行われていました。
食事や飲み物が提供されるほか、子ども連れが多いことからチャイルドシートやベビーカーも寄付されています。
入国した避難民はここでアメリカに住む親族などの迎えを待ち、各地の滞在先に向かいます。
避難所で取材した2日後、ドロズデュクさん親子はすでにアメリカでの生活を始めていました。
ラリサ・ドロズデュクさん

安心して起きることができた。これまでは…
もう逃げなくていい。
ドロズデュクさんがポーランドに向かったときの映像を見せてくれました。
西部リビウの駅のプラットフォームが人で埋め尽くされていました。本当に避難ができるのか不安になる中、親子は手を取りやって列車を待ちました。
人が折り重なるような状態の車内。ポーランドに到着するまで31時間かかりました。
アナスタシアさん

今はいい気分。戦争から遠いから、ここは安全だから。
学校に行って頑張りたい。新しい人生を始めたい。
この日、アメリカに来て初めて家族で出掛けました。
到着したのは一番行きたかった場所。
アナスタシアさんが走り出しました。生まれて初めて見る海です。
海に足を踏み入れて2人は笑顔を見せました。
ラリサ・ドロズデュクさん

戻ろう。
何かを書き始めました。母国の言葉で「ウクライナ」です。
叔母のジャーニストさんが隣にハートを描くと波に消されてしまいました。
アナスタシアさん

すごい、言葉にできない。
ラリサ・ドロズデュクさん

今はとても幸せ。言葉にできないくらい。