ロシアの国防省は部隊が撤退したウクライナの首都キーウ郊外の軍事施設に新たにミサイル攻撃を行ったと発表し、今後キーウへの攻撃を強化すると警告しました。
一方、ヨーロッパ情勢が緊迫する中、ロシアとの国境近くでNATO(北大西洋条約機構)の合同軍事訓練が行われました。テレビ東京はその現場を取材しました。
ロシア巡洋艦「モスクワ」が沈没!首都キーウにミサイル攻撃
ロシアによる総攻撃が近いとされるウクライナ東部。多くの十字架が並び遺体が埋葬されていました。
住民

戦争は良くない。何と言っていいか分からない。ここを離れたい。
激戦地である南東部の要所マリウポリでは推定で2万1,000人の民間人が犠牲になったとされています。
こうした中、総攻撃を準備しているとされるロシア軍にとって痛手となる事態が…
ウクライナ軍 南部作戦司令部
ウラジスラフ・ンザロフ氏

対艦ミサイル「ネプチューン」で巡洋艦「モスクワ」を攻撃し、ロシア黒海艦隊の旗艦に重大な被害を与えた。
ウクライナ軍が攻撃したと主張したのはロシア軍の大型ミサイル巡洋艦「モスクワ」。
ロシア国防省はモスクワの沈没を発表。ロシア黒海艦隊の司令塔で今後の東部総攻撃にとっても重要な役割が期待されていました。
アメリカは…
アメリカ国防総省
カービー報道官

ロシア海軍の能力に短期的な影響が出ることは確実だろう。
長期的な影響は不明だ。
モスクワ沈没のニュースを受け、多くの市民が買い求めていたのはこの記念切手。ロシアの軍艦に挑む兵士が描かれています。
郵便局の販売責任者

重要な出来事が起きた。わが国の軍隊が侵略者の旗艦を破壊した。
この出来事は記憶にとどめなければならない。
ゼレンスキー大統領も記念切手を持ってこの表情です。
一方のロシア、国防省はロシア領内の攻撃や破壊活動への対抗措置を名目に一旦部隊を撤退させた首都キーウに対してミサイル攻撃を強化すると発表。
すでにキーウ郊外の軍事施設にミサイル攻撃を加えたと主張しています。
市内では15日未明、爆発音が鳴り響き、一部で停電が発生している模様です。今後さらなる戦闘の激化が懸念されています。
アメリカ ウクライナに閣僚派遣か!ロシア NATO拡大なら核配備も
こうした中、アメリカのバイデン大統領は…
記者
ウクライナに政府高官を派遣するか?

アメリカ
バイデン大統領

今その判断をしているところだ。
ロシアにさらなる圧力をかけるためウクライナに政府高官の派遣を検討していることを明らかにしました。
アメリカのメディアによるとブリンケン国務長官やオースティン国防長官などの派遣を検討しているとしています。
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、新たな火種も…
フィンランド
マリン首相

NATOへの加盟申請について議会で議論し、数週間以内に結論を出す。
これまで軍事的な中立を掲げてきた北欧のフィンランドとスウェーデンが今週、NATO(北大西洋条約機構)への加盟に前向きな姿勢を見せました。
NATO拡大に向けた動きをアメリカ国務省の報道官も歓迎しました。
アメリカ国務省
プライス報道官

NATOの拡大はヨーロッパのさらなる安定につながるだけだ。
一方、ロシアは大統領を務めたこともあるメドベージェフ安全保障会議副議長が加盟に向けた動きに猛反発。「当然、国境は強化されなければならない」としてフィンランドとスウェーデンに接するバルト海周辺で核のない状態という話はありえないと主張。近隣に各配備の可能性を示し、牽制しました。
ロシアから100キロ…!NATO軍 緊迫の軍事訓練
バルト海とロシアに挟まれたエストニアでは緊張が高まっています。
1990年にソ連からの独立回復を宣言したエストニア。人口133万人の小さな国です。
国境を接しているため常に脅威にさらされてきました。
首都タリンの市民

脅威が顕在化してきた。エストニアと欧州の将来はウクライナの状況で決まる。
首都タリンの市民
ロシアがエストニアを攻撃してきたらわれわれの軍隊だけでは対処できない。

エストニア東部、ロシアとの国境から100キロの森では…
中村航記者

いまNATOの軍事演習が始まりました。戦車に乗った兵士の方が周りを警戒してかなり緊張感があります。
NATO軍の軍事演習「ボールド・ドラゴン」が14日まで行われていました。
エストニアにはイギリス、フランス、デンマークなどから送られたNATO軍2,000人が駐留。連携を確かめています。
中村航記者

木の間に戦車が待機しています。緑でわからないように草を付けて見えづらくしています。
この戦車はイギリス軍のもの。エストニアの地形を利用した戦いを想定し必要な武器を揃えた実践できな訓練です。
エストニア軍
第一歩兵師団 司令官

ロシアがエストニアにとって主要な軍事的脅威というのは周知の事実。
われわれのシナリオはロシア軍がエストニアに攻めてきた場合、どのように攻めてくるかを考えるために作られたもの。
ロシアの目論見とは逆に同盟国の結束が強まっています。
駐エストニア
NATO軍司令官(イギリス軍)

エストニアは非常に重要。バルト海北部の国でロシアと国境があり、フィンランド湾の河口に位置し、重要な海運ルートでもある。
この流れを受け、エストニア政府はNATOの駐留部隊の兵力を倍にするよう求めています。
防衛部門の幹部は…
エストニア
クスチ・サルム国防事務次官

ロシアがNATOや西側同盟国に求めていることは極めて明確で基本的にソビエト連邦の復活、NATOの解体に加えてわれわれの集団防衛の傘を破壊することだ。
われわれはこの驚異を非常に真剣に受け止めている。
エストニア外相に単独取材!日本に求める役割とは…
国全体が警戒を高める中、テレビ東京の単独取材に応じたエストニアのリーメッツ外相はウクライナでのロシア軍の行為を非難しました。
エストニア
リーメッツ外相

最終的に判断するのは国際法廷だが現在の報道や情報は明らかにジェノサイドの要素がある。
こうしたことからエストニアは経済制裁としてロシアからのガス輸入を年内で打ち切る方針です。
そしてさらに強い経済制裁を主張しています。
中村航記者
どれだけの制裁で攻撃を止められるか?

エストニア
リーメッツ外相

戦争を終わらせるのに何が効果があるかを評価するのは困難だ。
しかし、われわれからはロシアへの西側からの資金への圧力が本当に重要。
なぜならこれらの資金でロシアはウクライナでの戦争を行っているからだ。
そしてエストニアとは反対の東側でロシアと近い距離に位置する日本に対しては制裁などで強い役割を果たすことを期待しているといいます。
エストニア
リーメッツ外相

私たちはロシアのそれぞれ反対側に位置している。
私たちの立場から圧力をかけて国際法違反の行為をやめさせて、ウクライナへの侵攻を止めて、軍隊を撤退させることは重要だ。