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[WBS][治る最前線]脳腫瘍の最新治療!

2017年6月27日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

年間2万人近くが発症する脳腫瘍について、その最新の治療現場を取材しました。

脳腫瘍

東京女子医科大学病院。今回、治療を受ける生田さん(70代)。

2年前に脳腫瘍を発症、2度の手術を受けましたが今回、再発が見つかりました。

脳の中にできる腫瘍。周りにもしみだしている細胞がいるので一般的に悪性と言われている。

見つかったのは約1センチの悪性の脳腫瘍。

余命は3ヶ月から6ヶ月と言われている。少しでも生き延びるほうがいいと思いながら…。なんとかやっつけたい。

脳腫瘍は正常な組織を壊したり神経を圧迫したりするため頭痛や手足の麻痺などの症状を引き起こします。

日本では年間約1万8,000人が脳腫瘍を発症しています。

東京女子医科大学病院の脳神経外科、村垣善浩教授は、

脳腫瘍が進行していくと生命の維持中枢を侵してくる。命の危険がだんだん大きくなってくる。

死に至る恐ろしい病「脳腫瘍」。その治療の最前線を追いました。

東京女子医科大学病院

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生田さんの脳腫瘍はグリオーマという特に治療が難しい悪性の脳腫瘍。

今回、最新の治療が行われることになりました。カギとなるのがある薬剤。

レザフィリンという腫瘍細胞と新生血管に取り込まれる薬。

このレザフィリンは体内に入ると脳腫瘍に集まるという特徴を持った薬剤です。

レザフィリンを注射するので帽子とサングラスを。

さらにレザフィリンは日光などにあたると反応する特徴があり体内で火傷をする恐れがあるため帽子とサングラスを付けます。

レザフィリンを静脈に注射。薬が脳腫瘍に効果的に集まるのは約24時間後。それまで生田さんは病室で待機をします。

翌日、いよいよ治療が始まります。

腫瘍に集まり光に反応するという薬を使った治療とは?

PDT(光線力学的療法)

まずは電気メスを使って腫瘍を切除します。医師が顕微鏡を覗きながら慎重に治療を進めます。腫瘍の周りを走る重要な血管を傷つけないためです。

腫瘍の大部分が取り出されました。

従来の治療はこれで終了ですが、今回はここからが本番。

光線力学の照射を行います。

行われるのはPDT(光線力学的療法)という最先端のレーザー治療です。

ここで前日に注射したレザフィリンが効果を発揮します。顕微鏡の先端にある照射口から特殊な半導体レーザーが照射されます。

悪性のグリオーマは脳の正常な部分との境目が分かりづらい。従来のメスだけの治療で取り切ることが難しく再発の危険性が高かったです。

今回はレザフィリンが集まった腫瘍の大部分を切除した後、残った腫瘍にレーザーを照射します。するとレザフィリンが活性酸素を出し残った腫瘍を死滅させます。

これで再発を減らすことができます。

レーザーを照射する位置を調整し、正常な脳は傷つけず、レザフィリンが集まった腫瘍だけを効果的に攻撃できます。

照射開始から約1時間、治療は無事に終了しました。

最も悪性のグリオーマの治療後の生存期間は一般的に20ヶ月ですがこの治療での平均は27.8ヶ月という成果が出ています。

治療費は検査などを含め3割負担で約85万円。

正常細胞を壊さず、腫瘍だけを殺せることが一番のメリット。再発までの期間をのばしたり、生存期間をのばす可能性が出てくる。

最新のMRI検査

一方、脳腫瘍を正確に診断できる最新の検査も登場しています。

山田さん(仮名・40代)は先月、脳腫瘍が疑われる症状に襲われました。

仕事に行く途中に右足に力が入らなくなった。

脳腫瘍かどうかを見極めるため、最新のMRI検査を受けることになりました。

検査は約1時間。まず映し出されたのが従来のMRI画像。葉片が白く写っています。しかし、脳腫瘍のほか、脳梗塞や炎症でも同じように写るため診断が難しいことがありました。

今回はこの画像を最新のソフトウェアで解析し脳の成分の量をグラフ化します。これが最新の脳腫瘍の検査方法です。

脳腫瘍の場合はコリンという成分が多く、NAAというアミノ酸が少なくなります。

正常な場合と比べるとその違いは一目瞭然です。

東京女子医科大学の画像診断学・核医学講座、阿部香代子准講師は、

病変が脳腫瘍か脳腫瘍でないかということに多く使う。この検査を追加する事でより正確な診断に近づける。

医師から検査結果が告げられます。

悪性の脳腫瘍の可能性は少ない。

山田さんは脳腫瘍ではなく脳の炎症の病だと診断されました。

この検査で診断の難しい脳腫瘍も正確に分かるようになりました。

安心しました。脳を切らなくてよかったので。まずは一安心。

脳腫瘍から命を救う術は日々進歩しています。

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