売り上げが9年連続減少して、苦戦が続いている居酒屋業界。
ファストフード店などのちょい飲みや家飲み需要の拡大などで客離れが進む中、売り上げをどう上げていくのか。
かつて一大ブームとなった居酒屋チェーン「塚田農場」の再起を賭けた挑戦を追いました。
塚田農場
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居酒屋チェーンの塚田農場。
看板メニュー地頭鶏(じっとこ)もも焼。
みやざき地頭鶏の炭火焼き。一口サイズにカットした地鶏を炭火でこんがりと焼き上げました。
炭の風味がいい。
地鶏の炭火焼でブームを巻き起こした塚田農場。出店をすれば全国どこでも毎日満席状態。
2007年に1号店を出店してから10年間で約150店舗まで拡大しました。
しかし、「農場」の名前を使ったお店が次々オープン。あるビルには「塚田農場」と「山内農場」が入っています。
塚田農場と混同が起きて顧客が奪われるケースも生じたといいます。
こうした状況に塚田農場を運営するエー・ピーカンパニーの米山久社長は、
いろんな「農場」ができて約400店舗ある。後から出てきた「農場」と同じように思われる。それが一番悔しい。
賑わう塚田農場の店内。ただ周りを見渡すと空席も目立ちます。
実は塚田農場の既存店の売上や来店客数は2014年5月から46ヶ月連続で前年同月を下回っています。
押岡和義さん
こうした状況を打破するため米山社長は新たな戦略に打って出ました。
宮崎県日南市、訪ねたのはエー・ピーカンパニーと直接契約をしているみやざき地頭鶏の生産者、押岡和義さん。
ここでは年間約1万2,000羽の地鶏が飼育されています。
米山社長は炭火焼きを超える名物メニューを探りに来たのです。
ペットボトルでストレス防止というかつっつき防止。少しでもストレスを無くしてあげて。
生産者の押岡さんが独自に開発したストレス解消グッズ。
鶏はストレスが掛かると相手の尻をくちばしでつついてしまい、つつかれた鶏の肉は傷がつき硬くなってしまいます。
肉質は完全に変わったと確信。
焼鳥つかだ
米山社長はこの柔らかい鶏肉を使い焼き鳥を作ろうとしていました。
新業態の「焼鳥つかだ」ではオープンに向け急ピッチで準備が進められていました。
これまで塚田農場では提供してこなかった焼鳥をメインに客単価4,500円を想定。これは塚田農場の客単価より1,000円以上も高い。
オープンまで1週間となった3月16日、店内には険しい表情をした米山社長の姿がありました。
この新店舗で料理長を任された吉田ちかしさん。
焼鳥の最終チェックが行われます。
試食をした米山社長、
見た目のインパクトが弱い。
米山社長が指摘をしたのは焼き色。看板商品となる「ふりそで」は手羽元の希少部位。皮の焼き加減はいいが、身の部分の焼き色が足りないといいます。
これ看板商品だよね?
1品目に出る、一番最初にお客様にいただいてもらう。
1週間後オープンだよね。これ外したら終わり。マズいんじゃない?
社長からのダメ出し。
ここまでこだわらないと他と戦えない。いい素材を腕のある職人によって提供するから、われわれが提案すべき美味しい理由が成立している。
ウリとなる「おまかせ五種」はふりそでなどが入って1,500円と強気の価格設定。これが客単価を上げる秘策です。
単価の引き上げはお客様に受け入れられるのか?
株式会社鳥貴族
[blogcard url="https://www.torikizoku.co.jp/"]
2017年10月、28年ぶりの値上げに踏み切った居酒屋チェーンの鳥貴族。その影響は来店客数に顕著に現れました。
あれから半年、店を訪ねてみると…大繁盛!
客足は多少減ったものの、280円を298円にしたことで客単価は上昇。
本業の儲けを示す営業利益は51%増えました。
業績好調の鳥貴族を追うように鳥を全面に出した低価格の居酒屋はこれまでに続々登場。
鳥貴族では差別化を図るためフードメニューを全て国産に切り替えました。
お客様は、
安くてチープな店はたくさんあるが、安いけどちゃんと食べられるのが魅力。
値上げにためらいはなかったのか?
大倉忠司社長に聞いてみました。
成長していくと目立つし、過去にも類似な店ができた。新しいものが出るとお客様は流れる。ただ価値を提供することができたら戻ってきてくれる。
焼鳥つかだ
客単価アップを狙う塚田農場の新業態「焼鳥つかだ」はオープンの日を迎えました。
初日ということもあって店内は満席。
社長からダメ出しされた吉田さん、あの日から1週間で500本以上を焼いてきたといいます。
火力を保つ炭をうまくつくれるか検証した。
社長から指摘された焼き色は身の部分も程よく焦げ目がついていました。
お客様は、
今までの塚田農場と全く違う。脂が美味しい、地頭鶏の本来の味なのかもしれない。
初日の客単価は5,200円、塚田農場より約2,000円も高い結果となりました。
米山社長は、
お客様がそこそこ支払ってもいいものであれば味わいたい。そこに対しての提案をどんどんしていくべき。