レザーというと牛の本皮をイメージする人が多いと思います。カバンや靴、車のシートなど幅広い用途に使われています。
いま環境、そして倫理的な観点から従来のレザーに代わる新しい素材が次々と登場しています。
6月9日に国内のメーカーが発表したのは日本初というキノコを使った新製品です。一体どんなものなのでしょうか。
キノコの素材をランドセルに!国内初!?マッシュルームレザー
革製品の老舗メーカー「土屋鞄製造所」。
6月9日に発表したのは黒のランドセルに小さな財布など6つの製品です。
見た目は牛革と変わりありませんが、使われているのはキノコから作られたマッシュルームレザーという革の代替素材です。
試作品のため価格は未定。
開発したのはアメリカのバイオテック企業で土屋鞄は国内ブランドとして初めて採用しました。
アメリカ ボルト・スレッズ
ダン・ウィドマイヤーCEO
日本の消費者は非常に未来志向で環境保護に関心があり、高いデザイン性と職人技に興味を持っている。
手を組んだ背景には…
土屋鞄製造所
土屋成範社長
われわれはずっと牛革にこだわってはいたが世界全体が持続可能な素材に対して興味関心を抱いている。
このマッシュルームレザー、どのような素材かというと、キノコの菌糸体と呼ばれる根のような糸状の組織を培養して成形したものです。
菌糸体は2週間足らずの短い周期で生育できるため、安定した供給が可能になります。
牛のゲップのように温室効果の高いメタンガスを排出しないため環境に優しいとされています。
土屋鞄製造所
土屋成範社長
多様化してきている。
そういうニーズに応えるために新しい素材に挑戦している。
環境配慮の「新しい革素材」!ワイン・茶"搾りかす"を活用
一方、こちらでも環境を意識した新しい素材への挑戦が…
革素材卸の富田興行が開発したのはワインやお茶、コーヒーなどを再利用した新しいレザーです。
革素材を選びに来たお客さん
ワインの搾りかすを使ってなめしている革。色自体もワインだけで出ている。
牛や豚などの革は腐ったり、固くなったりするのを防ぐためになめしという工程があります。
通常は薬品などを使用しますが、この新素材「レッザ ボタニカ」は本来廃棄される食品や飲料の搾りかすを有効活用することで薬品の使用を抑えているのです。
革素材を選びに来たお客さん
世界中が環境のことを考えはじめて、こういうので少しでも無駄をなくしていく。
革素材を選びに来たお客さん
世の中の流れで環境や持続化できる企画をブランドとして探していて。
この素材、もともと飲料メーカーの伊藤園から緑茶飲料を製造する時に出てくる「茶殻」を活用できないかと打診され、開発に着手したものです。
現在、柿渋やリンゴの搾りかすなどほかの植物由来の素材でも開発を進めています。
富田興
森田正明さん
いままでどおりのモノづくりだけではなかなか関心を持ってもらえない。
同じ物を作っても環境配慮されている物に関心を持たれる場合が多いので、そこをプラスしていかなければいけないかなと感じる。