私たちの暮らしに身近なスマートフォンなどに欠かせないのが先端半導体と呼ばれる電子部品で、その先端半導体の生産で世界トップシェアなのが台湾のメーカー「TSMC」です。そのTSMCは12月6日に最先端の半導体のアメリカでの生産に初めて乗り出すと発表しました。
TSMC アメリカで5.5兆円投資
3ナノ 最先端半導体を生産へ
アメリカのバイデン大統領が訪れたのは西部アリゾナ州の都市フェニックス。その理由は…
アメリカ
バイデン大統領

TSMCはここ(アリゾナ州)フェニックスに120億円を投じて、アメリカ初の半導体製造工場を建設した。
半導体製造で世界最大手、台湾のTSMCが建設している工場の視察です。
そのTSMCに新たな動きが…
アメリカ
バイデン大統領

きょうTSMCは新たな大規模投資を発表した。
この地に3ナノのチップを製造する新たな工場を建設する。
3ナノのチップは地球上で最先端だ。
TSMCは最先端の半導体を生産するため、いま建設中のものとは別にこの地に新たな工場を作ると発表。
TSMCが最先端半導体をアメリカで生産するのは初めてで、投資総額は従来の計画の3倍以上となる400億ドル、およそ5兆5,000億円規模に上ります。
この発表を歓迎したのが半導体の提供を受けているアップルのティム・クックCEO。
アップル
ティム・クックCEO

TSMCがアメリカにより深く根を下ろした。
事業の拡大を期待している。
経済安保のカギ 先端半導体
アメリカ 自国生産に道筋
iPhoneなどに欠かせない先端半導体で世界シェア9割を占めるTSMC。これまで全ての先端半導体を台湾で生産してきました。
しかし今、日本の熊本県など世界各地に生産拠点を築き始めています。
背景にあるのが地政学リスクの高まりです。
アメリカと中国の対立を背景とした台湾有事のリスクが高まる中、生産拠点を分散すれば供給が滞るリスクを減らすことができるのです。
アメリカにとってもさまざまな製品に使われる先端半導体を国内で調達できることは経済安全保障上大きな意味を持ちます。
アメリカ
バイデン大統領

彼らはサプライチェーンの多くをわが国に移転しようとしている。
これはゲームチェンジャーになるかもしれない。
TSMCがアメリカで作ろうとしているのは4ナノ、または3ナノメートルの半導体です。
半導体の性能は回路の幅が細かいほど高くなります。1ナノは10億分の1メートルです。
半導体の性能を高めるためメーカー各社は回路の幅をできるだけ細かくする技術を開発しようとしのぎを削っています。
現在、国内ではルネサスエレクトロニクスが自動車向けに40ナノの半導体を量産。
韓国のサムスン電子は今年6月にスマートフォン向けに世界で初めて3ナノの半導体の生産に成功したと発表しました。
先端半導体の国内生産に道筋をつけたアメリカ。今後、世界をリードすることになるのでしょうか。