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[WBS]TSMCが新開発拠点!不足する半導体人材 争奪戦も…

ワールドビジネスサテライト(WBS)

半導体製造の最大手、台湾のTSMCが日本国内で初めてとなる本格的な開発拠点を始動させました。

日本の経済安全保障の要ともいえる最先端の半導体確保に向けて前進する一方で、半導体を担う人材が不足するという深刻な課題もみえてきました。

日本で始動 半導体の巨人!台湾TSMCに高まる期待

茨城県つくば市。

山口博之記者

国立の研究機関の敷地の一画に大きくTSMCのロゴが登場しました。
TSMC、この一画の土地を丸ごと借り上げて研究揮発を進めるということです。

6月24日に日本での研究開発拠点を始動させたTSMC。会場には萩生田経産大臣など日本政府や企業関係者が詰めかけました。

台湾から来日したTSMCの幹部は…

TSMC
魏哲家CEO

われわれの開発拠点の目的は日本の半導体産業が未来の市場をつかむこと。

この拠点で開発するのが3DIC、3次元の集積回路を意味します。

回路を立体的に積み重ねることで情報処理能力を飛躍的に高めるという3DIC。自動運転など次世代技術に対応する半導体として世界で開発が加速しています。

じつはTSMC、本拠地の台湾以外に研究開発拠点を構えるのは初めてです。

総事業費は370億円にのぼりますが、その半分、およそ190億円を日本政府が支援しました。

期待するのは日本政府だけではありません。ずらりと並ぶ胡蝶蘭にはイビデンなど日本の半導体関連企業の名前。

今回のプロジェクトには20社以上の日本企業が参画したのです。

萩生田経済産業大臣

わが国の半導体産業はかつて世界を席巻したこともあったが、メイドインジャパンに固執し、グローバルのイノベーションの潮流に乗れなかったことが凋落の一因だ。
次世代半導体の製造技術開発を国連連携の下で進める重要性を感じている。

最先端の半導体を開発する拠点が日本国内にできたメリットについてTSMCと連携する東京大学の黒田教授は…

東京大学
黒田忠広教授

TSMCは極めて微細な加工技術を持っている。
1つのチップに100億トランジスタ(電気の流れを制御する部品)を詰めることができる。
一方、日本はチップを重ねたときに熱を逃がす技術。
そのための材料、実装するための装置を造る技術が大変優れている。
これらを組み合わせることで互いの良いところを持ち寄って新しい時代をつくる。

さらに半導体のサプライチェーンにとっても意義があると指摘します。

東京大学
黒田忠広教授

その成果は世界中に展開されて、いろいろな国で使われるようになる。
昨今の世界情勢を見ているとそういった活動がわれわれの手の届くところで行われているという価値も大きい。

日本で本格的に動き出した半導体の巨人TSMC。2024年にはソニーグループやデンソーと共同で熊本県に新たな生産工場を稼働させる計画で。日本政府として異例の最大4,760億円もの補助金を出すことが決まりました。

求められる半導体人材!新卒28万円の衝撃

半導体工場の建設の乗り出しているのはTSMCだけではあありません。

吉脇丈志記者

建設中のキオクシアの新工場です。
1兆円規模の投資を行い来年の完成を目指して建設を進めています。

日本の半導体大手のキオクシアは岩手県北上市にある工場の隣で4月から第2製造棟の建設に着手しました。

こうした新工場の建設ラッシュと並び急務となっているのが人材育成です。

同じ北上市にあるのが半導体工場に人材を派遣するUTエイムの研修センターです。

UTエイム
青木健一さん

研修施設には就業する企業が決まった状態で配属する。
職場で働くことをイメージしてカリキュラムを組んでいる。

UTエイムはおよそ300社の取引先を持ち、要望に合った人材を育成して派遣しています。

研修を受けている小川真世さん、じつは文系の大学院の出身です。

研修生
小川真世さん

あまりこういう機械をさわってこなかったので結構大変かなと思ったが教え方もすごく丁寧。

小川さんは半導体製造装置の検査やメンテナンスの仕事をする予定。

研修期間は15日間で来週には派遣先で働きます。

研修生
小川真世さん

学びながら手に職をつけながら将来的にどんどん働いていく。
すごく自分の将来が楽しみになった。

人材の育成が進む中、半導体業界を騒然とさせたのがTSMCの求人広告です。大学院卒・大卒の初任給は月額28万円。

別の大手企業と比べて5万円から6万円も高い金額になっています。

この金額についてUTエイムの筑井信行社長は…

UTエイム
筑井信行社長

他社に比べて抜きんでているので人材の獲得競争は本当に激化する。

UTエイムは今後も半導体製造の担い手をさらに育成していく考えです。

UTエイム
筑井信行社長

2025年までに半導体において5,000人、半導体製造装置のエンジニアを輩出して、半導体メーカーの人材戦力化を図っていきたい。

半導体高度人材も不足!世界は本気 日本の課題

こちらは東北大学にある半導体関連の研究施設。

半導体の開発や設計などを行う高度人材を育成しています。

この施設では「MRAM」という次世代半導体メモリーを研究。

東北大学
遠藤哲郎教授

従来の半導体よりも10分の1~100分の1消費電力を削減する新しい、いわゆるカーボンニュートラル時代の半導体技術の研究開発をしている。

東京エレクトロンなどの企業が半導体の製造装置などを提供しています。

実際使われている設備や企画で半導体の設計や試作品の製造、検証まで行えるため、この施設で学ぶ学生はより実践的な研究を経験できます。

ただこうした施設で学ぶ高度人材は他の国に比べて少ないと遠藤教授は指摘します。

東北大学
遠藤哲郎教授

韓国も台湾もアメリカもみんなプラスで増えていっている。
先進国の中で日本だけが唯一マイナス4%。
産業界の人が募集しても必要な人数が就職してもらえないといろいろなところで聞く。

アメリカのインテルは今後10年間で人材育成などのためにおよそ1億ドル(135億円)を投資すると発表。

台湾ではTSMCなどが資金援助を行い、半導体研究専門の大学院を設置するなど人材育成に本腰を入れています。

日本では政府が次世代半導体の人材育成などに今年度9億円の予算をつけるなどしていますが、まだまだ十分ではないといいます。

東北大学
遠藤哲郎教授

研究開発から人材育成はある程度研究設備がないとできない分野でもある。
基礎研究への投資も必要だが、その技術を集積化する教育も必要。

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