知られざる中国のディープな実態を伝える新シリーズ。
第1弾は日本の飲食店やコンビニエンスストアのアルバイトとしてこれまでかなり目立っていた中国人の変化についてです。
10年前は日本の飲食・サービス業で働く外国人のうち実に7割以上が中国の人でした。それが去年は3割ほどとなっています。
小売や卸売業などでも6割を超えていたのが4割に減っています。
そこにはある意外な理由がありました。
中国の人たちは一体どこへ行ったのでしょうか…追跡ました。
株式会社トレンドExpress
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今月、東京都内であるイベントが開かれました。
会場にはご覧の通り、大勢の人たちが。
女性がほとんど、お目当ては化粧品です。
この中に110ミリリットルの美容液が入っている。
あーいい感じ。
集まったのは皆、中国の人たちです。
福建省出身です。
上海出身です。
ソーシャルバイヤー
彼女たちはソーシャルバイヤーと呼ばれ、日本国内に数十万人いるといわれています。
スマホで商品を撮影。
するとすぐさま中国のSNSにアップしました。
「すぐに中国の人が見る?」
そう、そう、そう。
「スマホがあればできる?」
そう、そう、そう。
彼女たちにアピールしてもらおうと今回、日本の化粧品メーカー9社が参加しました。
日本から中国へ。
越境ECの市場規模は現在およそ1兆5,000億円に拡大。今後も年15%のペースで成長していくと見られていて、そのカギを握るのがソーシャルバイヤーの存在なんです。
ウェーブコーポレーションの荒井裕一社長、
日本のクオリティー・品質というものをソーシャルバイヤーが生で紹介するので中国市場で非常に展開が速く、スムーズに動いている。
スタイリングライフホールディングスの海外事業部、嶋英樹さん、
ソーシャルバイヤーが運ぶ情報がいま一番反応が良く弊社のビジネスに跳ね返ってきていると感じている。
曽穎さん
そんな中国人ソーシャルバイヤーの仕事とは?
こちらは都内のオフィスビル。
会議室にいたのは曽穎さん(30歳)。
商品紹介の生中継の真っ最中でした。
このシリーズは赤ちゃんを含め家族全員が使えるボディーソープなので非常におすすめです。
曽さんは中国のSNSで200万人のフォロワーを誇り、インフルエンサーとも呼ばれています。
2010年に留学生として来日。居酒屋やコンビニでアルバイトをしていました。
その経験が今のビジネスで役立っているといいます。
日本の会社のルールやサービスの意識。日本語はアルバイト時代に習得した。
そして4年前、インフルエンサーをマネージメントする会社を設立。
妊娠している人も使える歯磨き粉。
現在、日本の化粧品メーカーなど10社以上と契約。月3,000万円ほどを売り上げているといいます。
やっぱり中国人は大好きだから日本の商品をずっと購入している。
盛り上がる越境ECですが、中国政府は今年1月に規制に乗り出しました。企業、個人を問わず、全てのネット通販業者に登録と納税を義務づけたのです。
林可さん
東京・新宿の京王百貨店。
匿名でバイヤーの男性が取材に応じてくれました。
中国出身の林可さん(25歳)。
買い物をしてきたばかりというその手には口紅や美容液など女性用の化粧品に高級ブランド、ブルガリのネックレス。
中国のお客様に送る。
その方法を教えてくれるというのでついて行くことに。
やってきたのは都内のレンタル倉庫です。
そこには山積みの段ボールにぬいぐるみ。
先程購入した商品を手際よく段ボールに梱包。
北京のお客様に国際スピード郵便で送るというのですが、政府の規制は大丈夫なのでしょうか?
こういうものをEMS(国際スピード郵便)で中国に送ると税金とられる。
「これも税金かかる?」
かもしれない。
林さん、税金がかかるかはその時次第、運だといいます。
「もうける仕組みは?」
例えばこういう物を1本1,000円で買って1,500円ぐらいでお客様に売る。
日本だとこういう物が多い。限定とか。
1本買って、これがプレゼント。
こういう物が多いので500円値上げしても中国では安いと思う。
現在、中国にいるお客様は2,000人以上。注文はSNSで受け付けています。
実は林さんもかつてコンビニでアルバイトをして生活をしていたのです。
コンビニの仕事は細かくて時間も長い。
ソーシャルバイヤーの方が時間が自由で利益もコンビニより高い。
収入は月30万円くらい。
日本の人手不足を影で支えてきた中国人労働者。
国境を超えるビジネスは今後も拡大を続けるのでしょうか?