アメリカのトランプ大統領がまた驚きの発言をしました。
それが「TPPへの復帰を検討する用意がある」。
1年前にTPP(環太平洋経済連携協定)から離脱したはずのトランプ大統領ですが、この言葉の真意は何なのでしょうか?
TPP(環太平洋経済連携協定)
アメリカ、CNBCテレビののインタビューに応えたトランプ大統領。
これからすごい話をするぞ。これまでよりはるかに良い協定になるならば、我々はTPPに参加するだろう。TPP復帰への扉は開かれている。
突如としてTPP(環太平洋経済連携協定)への復帰を検討する用意があると表明したトランプ大統領。
復帰の条件としてアメリカにとって大幅な優位な協定になることを上げました。
これに対して日本政府の茂木敏充経済再生担当大臣は、
トランプ大統領がTPPの意義について踏み込み、認めてくれたことは歓迎したい。
河野太郎外務大臣は、
TPPは12ヶ国で交渉したもの。特にこれを変えるつもりはない。11ヶ国で3月にしっかりと署名ができるように、日本としてはTPP11発効に向けて進めていきたい。
TPPを巡ってはトランプ大統領の就任直後の2017年1月、
ちょうどTPPを終わらせてきたところだ。
2017年1月、アメリカは「交渉から永久に離脱する」と明記された大統領名に署名。12ヶ国で合意していたTPPからの離脱を表明しました。
しかしTPPを巡っては今週、アメリカを除く11ヶ国が3月8日に署名式を開くことで合意。国内での手続きを進め早期発効を目指しています。
トランプショックに政府関係者からは戸惑いの声も…
トランプは本当に何を考えているか分からない。思いつきで言っただけなのか真意があるのか。いずれにしても中身については本当にこれからだと思う。
果たしてトランプ政権はTPPへの復帰を本当に検討しているのか?
ロス商務長官
ロス商務長官はこの数日の間にTPP合意に冷ややかな反応を見せていました。
関税引き上げなどで各国との通商摩擦も辞さない考えも示しています。
通商関係に詳しい専門家、みずほ総合研究所の菅原淳一主席研究員は、
ロス商務長官の発言などを聞くと、まだTPPに批判的な発言をしている。政権の中で通商政策を議論した結果、方向転換が図られたわけではない。
通商政策でも成果を上げていかないといけない。
「ここで新たな手を打たないといけない」という思いがあったのかもしれない。
内田広大記者
トランプ大統領が出席しているダボス会議の会場には内田広大記者がいます。
「トランプ大統領がこのタイミングでTPP復帰の可能性に言及したその背景には何があるのでしょうか?」
アメリカ国内からの業界団体の突き上げがトランプ大統領の判断に影響した可能性があります。
日本やカナダなどアメリカを覗いた11の国がTPP11の締結で基本合意したことを受けてNCBA(全米肉牛生産者・牛肉協会)は今週、「このままではアメリカ産牛肉の関税が高止まりし海外市場に輸出する機会を失ってしまう」とトランプ政権に対応を求める声明を出していました。
トランプ大統領はTPPの代わりに2国間のより有利な通商協定を結ぶとしてきましたが、TPP離脱から1年たっても具体的な成果がないため、こうした業界団体の突き上げを受けてトランプ大統領もあれほど嫌っていたTPPへの復帰に言及せざるなかったのかもしれません。
しかしトランプ政権が今、重要視しているのはアメリカの貿易赤字の削減で、そのためには2国間であれ、TPPであれ、アメリカにとって大幅に有利な通商協定を要求しているという点は変わっていません。
TPPの交渉をやり直すことに日本政府が慎重な姿勢を示しているのは、仮に再交渉が始まればトランプ政権が厳しい要求を突きつけてくるのは明らかだからです。
そういう意味では今回の発言はトランプ大統領が態度を軟化させたというよりも、貿易赤字の削減に向けて攻め方を変えてきたというふうに見るべきかもしれません。
また一部の米メディアはトランプ大統領は「自らの通商政策に対するダボス会議出席者からも批判をかわしたいだけではないか」と冷ややかな分析をしています。