
8月27日からアフリカのチュニジアでTICAD(アフリカ開発会議)が開かれます。これは日本が主導しアフリカの開発をテーマにした国際会議です。実はいまアフリカでは続々とスタートアップが登場していて世界中から資金が集まっています。最後のフロンティアとしていまイノベーションが進むアフリカビジネスの今を取材しました。
アフリカの日本スタートアップ!大企業が次々出資するワケ
インド洋に面した東アフリカの国タンザニア。この国の郊外の地域までビジネスのネットワークを広げている注目のスタートアップがあります。

ワッシャ!ワッシャ!ワッシャ!
それがワッシャという日本企業。7年前にこの国で初めたのがLEDランプのレンタルサービスです。
利用者

ありがとう。
実はタンザニアの未電化地域はおよそ7割。いまだに多くの人が灯油ランプなどを使って夜を過ごしています。
この状況を解決しようとワッシャはどこの村にもあるキオスクと呼ばれる小さな商店でサービスを開始しました。
従業員10人だったワッシャは現地のニーズを捉えたことで順調に成長。現在はタンザニアやウガンダなど3ヵ国で従業員およそ200人が働き、日本の大企業などから34億5,000万円もの出資を受けるほど成長しました。
創業者の秋田智司CEOはアフリカでのビジネスに勢いを感じると話します。
ワッシャ
秋田智司CEO

今、複数の日本企業や現地企業と新しいプロジェクトを準備している。
ワッシャの事業を評価して出資したのは日本の大手商社、丸紅のほか、第一生命やダイキン工業など名だたる企業ばかり。
ダイキンとは合弁会社をつくりタンザニアでエアコンのサブスクリプションサービスをスタート。初期費用およそ1万円、毎月の使用料4,000円程度から提供します。
なぜ日本の名だたる大企業がこぞってワッシャとの連携を選ぶのでしょうか。
ワッシャ
秋田智司CEO

現地の人たちと関係性を築けていて、そこからいろいろな情報を取ってくる。
新しいサービスを始めるときに彼らと連携してできる余地がある。
そういうネットワークを持っているところが強み。
世界が注目 アフリカ市場!課題解決にスタートアップ増加
一方、アフリカビジネスに力を入れている日本企業が。それが豊田通商です。
現在はアフリカの54ヵ国で事業を展開。その売り上げは1兆円を超えています。
TICADの開催地、チュニジア入りした豊田通商の幹部もスタートアップが存在感を高めていると指摘します。
佐々木明子キャスター
アフリカ市場の変化は?

豊田通商
アフリカ本部 アフリカ企画部
和田明部長

特に最近目立っているのはスタートアップ企業。
まずはアフリカで事業を開始するとアフリカの課題解決もあるが実は世界の他の国にも課題を抱えている国がある。
アフリカで実証してビジネスを実現して先進国に展開する。
豊田通商は2018年にルワンダで血液製剤のドローン配送を行っていたアメリカのジップラインに出資。アフリカを知り尽くす豊田通商もスタートアップと連携を始めているのです。飛行実績は累積で35万回。現地のジップライン担当者は…
ジップライン
ジェネラルマネージャー
シャミ・エデン・ベニマナさん

挑戦と規制に適応する意欲があるならアフリカは市場として重要。
ルワンダは小さい国なので市場に入りビジネスの成長を探索しやすい。
"アフリカ発"が日本を支える!?離島をつなぐドローン輸送
先進国に比べて規制が少ないというルワンダなどのアフリカ諸国。実は豊田通商では出資だけに終わらずジップラインのノウハウを生かす取り組みを始めていました。
長崎県五島市。大小152の島からなる五島列島の輸送手段はほぼ船に限られます。
五島市に拠点を置くのが豊田通商の100%小会社、そらいいな。
格納庫に入るとありました。ジップラインのドローンです。
そらいいな
土屋浩伸さん

この拠点には全部で12機あり、いま6機運用しているが、この先の需要増加に合わせ全てのドローンを飛行させていくことを想定している。
ドローン輸送を今年5月にスタートしたのです。薬など医療物資を運び、配送地域も次第に拡大しています。
容易に組み立てられる胴体や翼、不具合が発生してもパーツごとに修理できるため継続的な運行が可能です。
運行責任者の土屋さんは回転翼ではなく固定翼ならではの良さがあるといいます。
そらいいな
土屋浩伸さん

垂直に離着陸するタイプに比べるとエネルギー消費が非常に緩やかで滑空できるので、より長い距離が飛行でき拠点を中心に半径80kmを配送可能距離としている。
時速100キロで飛行するほか、6機を同時にコントロールできます。また秒速14メートルの横風や1時間あたり50mmの雨といった船が欠航してしまいかねない気象条件でも耐えられるということです。
そらいいな代表の松山ミッシェル美香さん。
そらいいな
松山ミッシェル美香代表取締役

これまでの日本人の感覚だとアフリカは新興国、発展途上国。
先進国が支えていくんだとか、そういう目線や空気感があるが、アフリカで花開いた技術が先進国に返ってくる事例は多々ある。
こうした医薬品のドローン配送について自治体は…
五條市
久保実副市長

今までも薬をもらうために1日かかって朝の船に乗り病院に来て。
オンラインで服薬指導や診療ができれば島の人にとっては便利になったと言える。
アフリカと日本を結んだドローン事業。アフリカ市場の可能性に対し日本はどう関わっていくべきなのでしょうか。
豊田通商
アフリカ本部 アフリカ企画部
和田明部長

現在、アフリカの人口は全部で13億人と言われているが、2050年までには倍の約25億人になっていると言われている。
ポテンシャルは非常に大きい。
経済的に豊かになりたい、さらに成長したいという気持ちを持っているので一緒に手を取り合ってビジネスを大きくしていく。