少子化が進む日本、2016年の出生数は98万1,000人で統計開始以来初めて100万人を割り込みました。
すでに小学校や中学校では統廃合が進んでいますが、大学もこれから押し寄せる少子化の波の影響から逃れることは出来ません。
大学の数も2012年をピークに少しずつ減少に転じています。
一方でここにきて大型投資で施設を充実させて学生の囲い込みを目指す大学が増えています。
東洋大学
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東洋大学の情報連携学部という新しい学部のキャンバスです。建築家、隈研吾さんのデザインということで外壁の木目調の装飾が特徴的です。
東洋大学が120億円以上を投じて開設する新たなキャンパス「赤羽台キャンパス」。ここを教育・研究の拠点とするのが新設される「情報連携学部」です。通称「INIAD」です。
新年度のスタートに先駆け報道陣向けの内覧会が開かれました。
情報連携学部の坂村健学部長は、
人工知能やビッグデータなどを専門問わず教える。
構内には様々な仕掛けがあります。
どこにも誰のロッカーか書いていない。プログラミングができないと開かない。
カードをかざすとロッカーが開きました。
スマートフォンを使ってエレベーターを呼び出すことも出来ます。
さらに、
照明を消してください。
生徒の音声だけで室内の照明が消えます。
坂村健学部長は、
彼がプログラミングを書いてやった。
モノとインターネットがつながったIoTのスマートキャンバス。その使い方を考えるのはこれから入学してくる学生自身です。
このキャンバスを手掛けたのが30年以上前から「どこでもコンピュータ」「ユビキタスコンピューティング環境」を提唱してきた坂村健学部長です。
特色がない大学は消えてしまう。かなり強い特色を出して、少子高齢化時代の大学はこうあるべきだということをやりたい。
東洋大学は文部科学省が指定する「スーパーグローバル大学」に選ばれたことから、海外で活躍する人材の育成に力を入れています。
その構想はキャンパスだけにとどまりません。
よく大学が「地域経済を活性化する」と言われているが、、現実に効果があり達成できることはなかなか難しいので。そういうことにチャレンジしたい。地域の企業と協力して新しいビジネスの活性化を助けたい。
特徴ある施設で学生を集める。その原点といえるのが金沢工業大学にあります。
その施設では春休み中だというのに多くの学生が集っていました。
この大学を選んだ理由を聞くと、
ここでロボットを作りたい。「夢考房」が面白そう。
「夢考房」があるというのを知っていた。
夢考房
学生たちが口にする「夢考房」。
1993年に学生の夢を形にする空間としてスタートして、2017年に11億円をかけて施設を新設しました。
金沢工業大学の谷正史事務局長によると、
これは材料を平面に削る機械。カタチにするのに必要な機械はおおよそそろえてあります。
工作機械を使って学生たちが作っているのがソーラーカーやロボット、人力飛行機です。
しかも、
学校の授業ではなく、学生の自主・主体的な活動。
学生たちが立ち上げるプロジェクトを学校側が場所や工作機械を提供することで支援。それに応えるように学生たちは様々な大会に出場し優秀な成績を上げています。
それが新たな入学志望の学生を集めるきっかけになっています。
学生は、
出身は千葉。
三重。
群馬。
地方の大学では珍しく県外から進学する学生が7割を超えています。
ただ勉強を学ぶだけでなく実践できるので、その実践が将来に向かっても役に立つことが大きい。
大学側も特徴ある一つの施設がもたらす効果は想像を超えるおおきなものだといいます。
学生が集うキャンパスとしてつくったものが副次的に学習・勉強にも一生懸命取り組む。その結果、就職にも良い効果が20年ちょっとで表れてきた。