北尾吉孝社長率いるSBIホールディングスはこれまで7つの地方銀行と資本提携を結び、地銀の経営強化に乗り出しています。
地域の経済を支える地方銀行は今後どうなっていくのでしょうか。
SBI・地銀連合の舞台裏を取材しました。

株式会社東和銀行
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3月上旬、群馬県太田市。

ここは群馬の第二地銀、東和銀行の太田支店です。

営業担当の片倉知洋さん、この日は外回りです。

やって来たのは東和銀行が融資する飲食店「おもひで横丁なつかし屋」。

五年前にオープンしたこの店は昭和の古き良き時代をイメージして作られています。
一押しのメニューは地元のB級グルメ「上州太田焼きそば」。極太の麺が特徴です。

オーナーの須永和昭さん、商店街の活性化のためこの店を開きました。

昔ながらのにぎわいを取り戻せれば。

駅前の商店街で6つの飲食店を経営していますが、コロナの影響で3店は休業中。

売り上げがないまま半年以上家賃だけを払い続けています。
我慢といってもいつまで我慢できるか。

資金繰りの部分が大変。

コロナの影響は深刻さを増しています。そこで東和銀行が力を入れているのが、
年間の資金繰り表を作成しました。

これは須永さんの会社の資金繰り表。

通常、銀行が融資先の年間の資金繰り表を作ることはありませんが、去年10月からコロナで苦しい融資先のために始めたといいます。

8月に資金ショートを起こしてしまう。

須永さんの会社はコロナ対策で借りた1,000万円の返済が6月から始まるため、8月には運転資金が足りなくなってしまいます。

そこで片倉さん、
当行として須永社長を応援したいので500万円の融資を提案させて頂きます。

ありがとうございます。心強いです。

コロナで苦しむ地元企業を融資で支えるのが地方銀行の重要な役割です。
しかし、地方銀行の経営は年々厳しさを増しています。

低金利政策の長期化もあって東和銀行の純利益は2期連続で減少。

さらに公的資金150億円の返済も残っています。

東和銀行の吉永國光会長は融資をするだけでは今後生き残れないといいます。
預金を集めて貸し付けるだけではダメ。

お客様が何を望み、どういうことをしたいか十分ヒアリングして私どもの力ではできないところをSBIの力を借りてやる。

東和銀行は去年10月、SBIホールディングスと資本提携を結び、これまでの銀行業務を抜本的に見直すことにしたのです。

この日、東和銀行の本店にやって来たのはSBIグループの担当者。

われわれとSBIで力を合わせてお客様の支援をやっていきたい。

SBIと東和銀行は去年12月、5億円の共同ファンドを設立。

地元群馬の企業に出資して資金面で支えようというのです。

さらに…
SBIインベストメントの吉村純一さん、
コロナ後を勝ち抜く私たちの技術を御行のお客様に導入し、微力ながらサポートさせていただきたい。

共同ファンドはSBIが出資しているスタートアップのデジタル技術を東和銀行の融資先に導入。資金と技術で地元企業の体質強化を図ります。

東和銀行は融資先との関係が深まり、SBIがグループのサービスを売り込める、双方にメリットのある取り組みです。
共同ファンドの出資先は今月中にも決まる予定です。

地銀の経営がさらに厳しさを増すなか、東和銀行は生き残れるのでしょうか…
自らを変えて経営基盤を強化できる銀行とそうでない銀行に分かれる。

SBIとの新しい関係ができたので頑張っていける。

SBIの川島克哉副社長、SBIが主導する地銀連合の目指すところは…
われわれが出資の関係を持った地方銀行同士の横の連携ができることで新しい商品のノウハウの共有だとか、システムの共有ができるようになると結果として個別の地方銀行のノウハウや価値も高まる。
