「1ドル=133円」、これは国内の主な上場企業がいま事業を行う基準としている為替レートの平均です。年のはじめ1ドル115円台だった円相場よりも実に18円以上の円安です。いまや前提となった円安に企業はどう事業を進めようとしているのでしょうか。
円安が前提の事業戦略
外食 海外拡大で売上上昇
11月30日に都内で行われた丸亀製麺などを運営するトリドールの戦略発表会。
そこで打ち出したのは…
とりどーる
栗田貴也社長

一気に世界に店舗網を築いていきたい。
海外への拡大路線です。麺類を中心にさまざまな業態の店舗を運営しているトリドール。現在700近くの店舗を海外で展開していますが、2028年3月までに4,000店舗に増やしたい考えです。
急速な海外への進出の背景には…
とりどーる
栗田貴也社長

円安は国内市場においては足かせとなる。
円安は海外にとっては非常に追い風で2割くらいの増収につながっている。
では、どのように海外で拡大を図るのか?
イギリスで販売しているカツカレーうどんにヒミツが…
とりどーる
栗田貴也社長

イギリスでナンバーワンメニュー。
もともとチキンカツカレーライスが大人気。
現地の経営者が「メニューに入れよう」とうどんと組み合わせた。
現地企業と手を組むことで流行をすぐにメニューに反映できるほか、その国の食習慣にも対応。
さらにトッピングには福神漬けではなく、イギリスではすしの影響で馴染みのあるガリを使っています。
今後、各国にパートナーを増やしていく方針で、一度は完全に中国での出店を取りやめた丸亀製麺も新たなパートナーとともに再進出を図る計画です。
とりどーる
栗田貴也社長

どうしても国内は外食市場の伸びは鈍化している。
それに比べ、海外の外食市場はまだまだ伸びてきているので軸足を置いていくことは非常に重要。
国内の希少魚をAI養殖
一方、円安の影響を受けにくい国内事業に目を向ける企業も…
くら寿司が11月30日に発表したのが…
くら寿司 広報部
小山祐一郎さん

これはスマガツオという魚。
脂の乗りの良さから全身トロと呼ばれるくらい希少で高級な魚。
12月2日から限定販売するスマガツオです。傷みやすいため愛媛県など限られた地域にしか流通していないとう高級魚です。AI(人工知能)を活用した養殖に成功し、すしのネタとして提供できるようになりました。
狙いは日本国内のすしのネタの価値を高めること。
円安で輸入品の価格が上がっているためです。
くら寿司 広報部
小山祐一郎さん

弊社のすしネタの7割は海外から調達。
3割ぐらいが国内から調達している。
イクラや甘エビ、サーモンなど人気のネタはいずれも輸入品。世界的な魚ブームもあり、コストが大幅に膨らんでいます。
今後の事業戦略についてくら寿司の幹部は…
くら寿司
岡本浩之取締役

すしネタの輸入7割はやはり輸入が多いようなきがするので、もう少し国産のものを増やすことによって、為替の影響を受けにくい事業体制にしていく必要がある。