訪日外国人客が年々増加する中でホテルなどの宿泊施設が不足しているのが京都です。
その京都で個人投資家から資金を集めて築100年を超える町家を高級宿泊施設にリノベーションする取り組みが始まりました。
個人マネーの力で京町家は再生を果たせるのでしょうか?
京都の宿泊施設
日本を代表する観光地、京都。外国人観光客が年々増える中、こんも声もあります。
「ホテルの予約を取るのに苦労したことは?」
フランス人観光客は、
ありますね。今回は3月に予約しました。
宿泊施設が足りないため京都に泊まりたくても泊まれない人が多いのです。2016年の京都観光総合調査によると15.9%。
一方でスペイン人観光客の男性、宿泊先はホテルや旅館ではないといいます。
ゲストハウスに泊まります。
いまゲストハウスと呼ばれる宿泊施設が京都で人気だといいます。
宿ルKYOTO 和紙ノ宿
[blogcard url="http://www.tomaruba.me/yadorukyoto"]
その中の一軒を訪ねました。
トマルバの山田真広取締役、
こちらが物件です。
入り口を入るとすぐ左手に庭があります。
ガラス張りでリビングが見えるように中からも庭を見られる設計にしている。
7月にオープンした「宿ルKYOTO 和紙ノ宿」。
大正3年からある京町家をリノベーションした一棟貸しのゲストハウスです。
普段の生活ができるよう洗濯機を完備している。トースターもバルミューダ。
さらに急な階段を上っていくと開放感のあるロフトが現れます。
昔は天井があったのを取り払って、屋根をなるべく高くして開放感のあるつくりに造り替えている。
こちらの宿は一度に4人まで泊まれて、料金は1泊4万円から5万円ほどです。
お客様の8割は外国人でなかでも中国人に人気が高いといいます。
株式会社トマルバ
[blogcard url="http://www.tomaruba.me/"]
和紙ノ宿の運営するトマルバ。山田さんは京町家の宿泊施設への改装が急増していると話します。
ものすごく改装が増えている。建築中の物件を見ると9割くらいが旅館業。
株式会社Establish first
[blogcard url="http://establish-first.co.jp/"]
都内の不動産会社「ファースト・プレイス代々木店」でも1年前から京町家の取り扱いを始めました。
しかしファースト・プレイスの田中真さんは、
問い合わせは月に50~100件くらい。
「実際に成約した件数は?」
2件ほどしかない。銀行の融資がつかないのでなかなか成約まで行かない。
築100年を超える京町家の担保としての価値はほぼゼロ円。そのため銀行で融資を受けられず買いたくても買えないことが多いのです。
株式会社クラウドリアルティ
[blogcard url="https://www.crowd-realty.com/"]
そこで新たな取り組みを始めた企業があります。金融ベンチャーのクラウドリアルティです。
6月に京町家再生プロジェクトを始めました。
個人投資家から資金を集め、京町家の購入費用とゲストハウスとしてのリノベーション費用を賄います。改良後の運営はトマルバに委託。
物件は3年後に別の会社に売却します。
クラウドリアルティは運営中に出た利益と物件の売却益をリターンとして個人投資家に返す予定です。
証券会社出身の鬼頭武嗣社長。金融機関に頼らない資金調達の可能性を広げたいと話します。
京町家はやりようによってはキャッシュフロー(収益)を生むものになる。それをちゃんと評価してあげる。
想定利回りは年10%。元本割れのリスクはありますが高い水準です。
募集を初めて3週間で7,200万円を集めました。投資家の半分以上が20代と30代だったといいます。
医療関連の会社を経営する野口亮さん(37歳)。
京町家再生プロジェクトに数十万円を投資しました。
目に見えるというか不動産なので、そこに投資対象があることがわかる。元本割れという可能性はあると思うが、そのリスクに見合ったリターンなのかなと。
京町家再生プロジェクト
クラウドリアルティが取得した京町家は京都・東山区にあります。
築100年を超えるという物件。人が住んでいない状態で長らく放置されてきました。
本当に収益を生むゲストハウスにすることができるのでしょうか?
そこにやって来たのはトマルバの山田さんとリノベーションを担当するスタジオモナカの仲本兼一郎さんです。
仲本さん、設計図を元に改装のイメージを説明します。
広めの庭をどうにか中に取り込めないかというので居間と庭をつなげるようなプランを考えている。
全部ウッドデッキみたいな形で外までリビングが木で伸びて、ここでも5人でくつろげるし、向こうでも5人でくつろげる。
居間と土間を仕切る壁を取り払い、さらに庭とつなげて開放感のある空間にする計画です。
年内にリノベーション工事に着手し、進捗状況は投資家に随時報告する予定です。
出資していただいた方の利益を守る必要があるので、スケジュールや予算をしっかり守って想定した形で運営が始められるようにしたい。
運営を任されたトマルバの山田さん、鬼頭社長をある場所に案内しました。
和紙ノ宿です。
8月だけも売り上げ100万円は超えていく。稼働は既に25日くらいは埋まっている。
9月以降の予約は?
もちろん入ってますし、11月とか紅葉のシーズンも。
この和紙ノ宿も元々は古びた京町家でした。あのロフトも天井裏の空きスペースを活用したものだったのです。
鬼頭社長は、
実は今回始めて来て自分たちの物件もこうなっていくというイメージが湧いた。
山田さんは、
これと同じか、これよりもっといいものが作れるように頑張ります。
個人投資家の期待を背負って走り始めた京町家再生プロジェクト。2018年春のゲストハウス開業を目指して着々と準備が進んでいます。