東京を世界の金融センターにしようという小池都知事を中心に検討されている構想がいよいよ動き出します。
都がまとめて発表を間近にしました金融都市構想の骨子案です。WBSが独自に入手したものです。
その最大のポイントが「税負担軽減に向けた見直し」です。一定の条件を満たす金融関連の企業に対して、都税の法人二税の軽減、つまり法人事業税と法人住民税の2つの軽減を検討するといいます。これだけではありません、国に対しても法人税の軽減を求めていこうという内容です。
税負担を軽減することでより多くの海外企業に東京に進出してもらおうではないかという考え方です。
ただ、この骨子案には具体的な数字の目標などは書き込まれていません。実際のところどのくらいになるのか、小池都知事に直接聞いてきました。
小池百合子都知事
「東京を国際的な金融都市にする構想だが、どうして今、この構想が必要なのか?」
25年前の東京金融市場は世界の中の最大市場として、きらきら輝いていた。私はもう一回、この東京を金融で再活性化したい。
そして小池知事自ら最大のポイントとして指摘したのが、
一番大きいのが法人実効税率。実効税率は日本は高い。
法人実効税率
法人実効税率とは法人の所得に対しての実際の税率のことです。
確かに東京の法人実効税率は30.86%と20%のロンドンをはじめ、香港やシンガポールよりも高いです。この東京の実効税率を引き下げようというのです。
どこのマーケットで仕事をしようかということになったときには、この法人実効税率は経営者からすれば一番考えるところ。
その税の軽減対象は資産運用を手がける企業とフィンテック関連企業に限定する方針です。
あたらしいプレーヤーを東京市場が取り入れることで、いろいろな刺激が生まれてくる。東京に世界のお金を集中させて、それを運用していくセンターになるべき。それによって呼び込む効果が期待できる。
しかし、その法人実効税率30.86%の内、都税にあたる法人都民税と法人事業税は合わせて4.53%、つまり大部分は国税です。
税率を抜本的に変えるには東京都だけでは限界があります。
法人税のほとんど国税。公平性で金融だけ特別にはいかないというような怒号が飛ぶ話だろう。
では、実際に何%を目指すのか?
これまで東京都の金融都市構想を議論してきた懇談会「国際金融都市・東京のあり方懇談会」ではロンドン並み、つまり20%近くまで下げる下げるべきという意見が出ています。
「どのくらいの水準まで引き下げることが可能か?」
税を引き下げる部分と、その周辺、生活の部分などは都でしっかりとやっていく。税の部分はまさしくコアな部分。むしろ国策としてどうするのか問われるのでは。
「小池知事の頭の中でどのくらいの水準があるのか?」
数字は今、明確に出すことはできない。
アジアで戦うためには香港の16.5%、シンガポールの17%が重要。ここまで急に下げてしまうのはなかなか難しい?
無理ですね。
「シンガポール、香港は不可能。ではどのあたり?」
それは国税の部分が大きい。国がどこまで考えるかということ。
「国との調整が済んでから入れるもの?」
どこまでできるかは懇談会の中で検討してもらう。
金融都市構想
今回の金融都市構想の骨子案は近く発表される見通しで、秋には最終的な構想がまとまります。それまで国とギリギリの調整が繰り広げられそうです。