ネット通販に市場を奪われる形で百貨店は苦境に立たされています。今年は全国で10を超える百貨店の閉店が決まっているとのことです。そうした中、過去最高の来店客数を叩き出した百貨店があります。
株式会社トキハ
[blogcard url="http://www.tokiwa-dept.co.jp/"]
大分県別府市。
市街地の中心にある百貨店「トキハ別府店」。
15億円をかけて改装し、9月6日にリニューアルオープンしました。
お客様が押し寄せるようになった理由はどこにあるのでしょうか?
足湯
トキハ別府店の安部昭一店長、
百貨店としては珍しいものをサービスゾーンとして作っております。
サービスとして始めた足湯ですが、意外にも売上好調に役立っています。
お客様は、
のんびりした気分になれる。
買い物して、足湯して、また買い物して帰る。
フードコート
また、フードコートでは…
大分名物のとり天発祥の店や地元の関アジ、関サバを提供する店が軒を連ねます。
地元にあるものをわざわざ入れなくていいと思うかもしれないが、わざわざ入れたら列ができた。
地元の有名店を誘致し、観光客を呼び込む戦略でしたが、フタを開けてみると人気店の味を気軽に味わえると地元客が押しかけ行列ができるほどに。
大衆演劇場
さらに百貨店の中にあるのは日本でここだけだという大衆演劇場。
毎日昼と夜の2回公演があり、平日にも関わらず今日もほぼ満席でした。
地元密着型だった店舗に幅広い層を取り込むという戦略が当たり、オープンからの4日間で7万人が来客。
婦人服売り場
ただ、婦人服売り場はこれまで通りの年齢層の高い商品が目立ちます。
百貨店にとってかつては花形だった衣料品売り場。
しかし、ここ数年は百貨店全体でも衣料の売上は減少傾向が著しく、特に地方にその傾向が強まっています。
衣料品の店舗を増やすのは物理的に難しい。
違ったアングルで取り組まないといけない。
衣料品が弱い地方の百貨店では出店してくれるブランドに限りがあります。
また自社で運営するネット通販は食品やギフトが中心でファションアイテムはごくわずかしか取り扱っていません。
そんなトキハを始めとする地方百貨店と手を組もうと動いているのが…
株式会社ストライプデパートメント
[blogcard url="https://stripe-department.com/"]
ストライプデパートメントの石川康晴社長、
地方百貨店は投資がない、ノウハウがない、ということで足踏みしている局面の中で百貨店の収益に貢献したい。
アパレルのネット通販を運営するストライプデパートメントの石川社長。
ストライプデパートメントはいわゆる百貨店ブランドを中心におよそ1,000ブランドを取り扱っています。
今回、このプラットフォームをトキハに提供。
通常、この規模のECサイトを自社で運営するには最低年間2億円は掛かるといいますが、今回こうしたコストは全てストライプデパートメントが負担します。
この辺の新興ブランドはまだ入れたことがないのでは?
トキハの植山浩文常務、
地方は成熟しないと難しい。
さらに実際に手に取れるように百貨店に出向き、期間限定のポップアップストアを展開していきます。
9月12日からトキハ別府店でもそのポップアップストアがオープン。
大分ではなかなかお目にかかれないブランドが多くてびっくりした。
こんなブランドも置いてあるんだ。
ここで見てネットですぐ頼めるならうれしい。
ただ、百貨店側はネット通販の手数料収入は入りますが、さらにネット通販にお客様を奪われかねないとの懸念も。
まずはトライしてみる。
リスクばかりに目を取られていては新しいものはできない。
タッチポイント(接点)を持たないと生き残れない。
ストライプデパートメントは百貨店の客単価の高い優良顧客をこのサービスで獲得していきたいといいます。
ヤフーとZOZOTOWNが一緒になって「対アマゾン」「対楽天」という構造になっている。
われわれも負けないような形で地方百貨店とアライアンスを組んで大きな規模にしていきたい。