新型コロナで大きな影響を受けたスポーツ界ですが、今週末にプロ野球が開幕を迎えるなど回復への道がスタートします。
サッカーのJリーグは2月から中断していましたがJ1が7月4日、そしてその下に位置するJ2は6月27日に再開します。
WBSではあるチームの経営立て直しに向けた舞台裏を独占取材しました。

株式会社栃木サッカークラブ
[blogcard url="https://www.tochigisc.jp/"]
6月1日、栃木県宇都宮市。

この街をホームタウンにするのがサッカー栃木SC。

この日から橋本大輔社長もクラブ経営を本格的に再開。

実に2ヶ月ぶりにスタッフを招集し現状を伝えました。
試合が無観客で再開するのはいいが、会社としてはここ数ヶ月収入がない状況が続いている。

栃木SCは現在J2に所属。
経営母体になる親会社を持たないいわゆる地域密着型の市民クラブです。
6シーズン連続で黒字を確保してきましたがコロナ危機で状況は一変。

今月のリーグ再開後も始めは無観客試合のためチケット収入はないままです。
同じ方向を向いて全員でアクセルを踏んで前に進むことは栃木SCにとって重要なことだと思うので。

そうでないとこの危機を乗りこえられない。

事務所の壁に掲げられていたのがクラブのフィロソフィー「KEEP MOVING FORWARD(前進あるのみ)」。

その進化がいま問われています。
経営の要がスポンサー収入。託されているのが飯野博充営業部長です。

協賛してくれている企業は広告媒体としてうちを見ていない。

地域貢献というところがウェイトを占めている。

栃木SCは地元を中心に300ものスポンサーを抱えています。コロナ危機の影響を受けている会社も少なくない中、どう協賛を続けてもらうかが課題です。

飯野部長はこの日、あるスポンサーの元に向かいました。
株式会社TKC
[blogcard url="https://www.tkc.jp/"]
TKCというソフトウェア会社です。

実はTKC、最も広告効果が高いとされるユニフォームの胸に社名を刻んでいます。
リーグ戦が中断したことでTKCのロゴの露出機会が減少。
飯野部長はこれまで地道に行ってきた活動の報告に来たのです。

栃木SCの公式ツイッターや選手スタッフのSNSアカウントでプロモーションをした。

露出機会を増やした。

それがSNSでの宣伝活動です。
ランニング途中にTKCの前で写真を撮影しアップ。

ユニフォーム姿で体操の動画を配信しTKCのロゴを強調。

ほかのスポンサー企業の商品も選手がしっかりPR。

地元の医療機関に向けてはポンチョを500枚寄贈した。

和田達哉選手、
頑張っているみなさんへ、エールと拍手を送りましょう。

医療従事者へ感謝のメッセージを発信するなどリーグの休止中も地域に根ざした活動を続けてきたのです。
TKC総務本部の今瀬昌記さん、
最高のものをやってもらっている。

コロナ渦でクラブの存在とは…

TKCの飯塚真規社長、
我々が応援する立場なのに応援してもらっているような気持ちになるのでありがたいし、もっともっと応援したいと思うようになった。

一緒に手を取り合って新しいものを生み出せたらいい。

重要な報告を終えた飯野部長。
TKCさんはじめ、多くの企業があたたかくて救われている。

株式会社足利銀行
[blogcard url="https://www.ashikagabank.co.jp/"]
そしてもう一つクラブにとって重要な課題が…
この日、事務所に地元の銀行最大手、足利銀行の担当者がやって来ました。

足利銀行はメインバンクであり大口のスポンサーでもあります。

新型コロナで再度リーグが中断したことを想定し新たな融資を依頼しました。
足利銀行 本店営業部、伊部洋一郎さん、
実際調達額はどれくらいで検討している?

ざっくりだが1億から1億5,000万、1億6,000万円。

シーズンが始まってしまっているのである程度の固定費が決まっていて今年はキャッシュ(現金)を持っておかないと厳しい。

栃木SCの年間売上はおよそ10億円。J2の平均よりも劣ります。

リーグがもし中断すれば1億円以上の赤字。クラブの存続にも関わります。

きょう話を聞いてお互いに話をできる部分があると思う。

銀行もクラブを支えていく構えです。
そんな地元企業、市民に対しては、
絶対にクラブがなくなるようなことになってはいけないので。

たくさんの人の思いやサポートがってここまでやってこられたことを考えると、まずはクラブを守る。

思いを背負い選手たちは6月2日から全体練習を再開。4ヶ月ぶりの試合で気持ちを込めています。

元日本代表、栃木SCの矢野貴章選手、
自粛期間中に選手としての仕事はしていないが給料をもらえたり生活ができるのは会社や支えてくれるスポンサーのおかげなので応援してくれるファンやサポーターに勇気を与えられるようなプレーをしたい。
