東武鉄道株式会社
[blogcard url="http://www.tobu.co.jp/"]
埼玉県久喜市の東武鉄道株式会社の南栗橋車両管区。
1台のトレーラーが到着しました。
カバーが取り外され、中からSLが姿を現しました。
約50トン、ずっしりとした黒塗りの車両がクレーンに吊るされて線路に移ります。
実はこの車両、東武鉄道株式会社が来年夏から営業運転を始めるSL、C11形207号機です。
組立てが終わるとヘッドライトが左右に搭載されカニの目のような風貌になります。
運転区間は栃木県の日光鬼怒川地区になる下今市駅から鬼怒川温泉駅までの12.4km。
週末や祝日を中心に運行する予定です。
東武鉄道株式会社は半世紀前の1966年にSLの営業運転を終了。
約50年ぶりに復活する理由についてSL復活運転プロジェクトの守都正候課長は
日光鬼怒川地区が観光右肩下がりの中で、浅草、東京スカイツリーから日光鬼怒川地区にSLをきっかけに多くのお客様に利用してもらう。
実は鬼怒川温泉駅の利用客数はピークだった1980年代後半に比べて半減。SLを集客の起爆剤にしたいといいます。
SL乗車料金設定などについても検討中なので、皆様に利用してもらいやすい価格帯にしていきたい。
SL復活プロジェクト
東武鉄道株式会社のSL復活プロジェクト。
実はこれを支えているのは東武鉄道株式会社だけではないのです。
今回、SLを運搬したトレーラーを見ると、なんと札幌ナンバー。
この蒸気機関車はJR北海道から無償で借りた。
JR北海道だけではありません、客車はJR四国、車掌が乗る車掌車はJR貨物・JR西日本、ディーゼル機関車はJR東日本、転車台はJR西日本などから譲り受けています。
さらにSLの運転は新たに専用の免許を取得する必要があり秩父鉄道株式会社や大井川鐵道株式会社などから運転士の訓練を受けています。
このように全国各地の鉄道事業者がスクラムを組みSL復活プロジェクトを支えています。
大井川鐵道株式会社
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一体、なぜライバル社が手を貸すのでしょうか?
静岡県にある大井川鐵道株式会社。
40年以上、SLを走らせてきた、いわば大先輩です。
楽しい。
でかくて迫力があって楽しみ。
運転区間は静岡県になる新金谷駅から千頭駅の39.5km。
煙の出にくい石炭を使ったり、汽笛を住宅街で極力鳴らさないなど近隣との共存を図ってきました。
SLの年間利用客数は約30万人。在来線を含めた大井川鐵道株式会社の全ての利用客の半分を占めています。
経営企画室の山本豊福課長は
大井川鐵道はSLがないと生き残っていけない。日々の利用が少ないからSLに乗る方によって保たれている鉄道。
そんな大井川鐵道株式会社は今回、東武鉄道株式会社に対して運転士に必要な実技の指導などで協力しました。
ライバルを増やすことに抵抗はなかったのでしょうか?
関東近郊なのでライバルといえばライバルになるけど、SLの運転・整備の技術の伝承はわれわれだけではやっていけない。ある程度、広がりを持たせないと後の世代まで伝承されないということで東武鉄道に協力した。
SLの活性化は業界全体にある後継者不足や技術の継承に役立つといいます。
さらにはこんな期待も、
SLをやっている会社がある程度いると認知度が増えてくると思う。それによって「きょうは東武へ行く」「次は大井川へ行ってみよう」と来てもらえる可能性は増えると思う。