年末恒例、今年の株価上昇率ランキングです。
まずは今年1年の日経平均株価をご覧いただきます。
年初からグングンと上昇し、2月にはおよそ30年ぶりに3万円台の大台に乗せました。
しかしその後、東京で緊急事態宣言が発令され平均株価は2万7,000円台近くまで下落しました。
この流れが大きく変わったのは9月でした。当時の菅総理が突然退陣を表明したことで新総理の経済対策への期待が高まり再び3万円台を回復しました。

自民党総裁選ではこんな場面も…
「自分が総理になったら今より株価は上がる?」

このときは株価に自信を見せていましたが、その後は原油高などインフレ懸念や経済回復への期待が入り混じり株価は一進一退の展開となっています。

そんな中、今年はどんな企業の株価が上昇したのでしょうか、ランキングをトップ10でまとめました。

株価上昇率ランキング!
相場が映すコロナ勝者
今年はどんな企業が株価を上げたのか?
探ってみるとコロナ時代の世相を映す知られざる企業が浮かび上がってきました。

日本郵船&川崎汽船
4位 | 日本郵船 | 3.4倍 |
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6位 | 川崎汽船 | 3.2倍 |

まずは4位と6位から。日本郵船と川崎汽船、なぜ海運会社の株がランクイン?
岩井コスモ証券 投資情報センター長、林卓郎さん。
コロナ禍におけるモノの需要の活発な増加。

海運市況の上昇で業績が急拡大した。

巣ごもり消費を背景にコンテナ船の需要が膨らんだことで今年度の純利益は揃って過去最高になる見通しです。

スノーピーク
2位 | スノーピーク | 4.0倍 |
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2位にランクインしたのはキャンプ用品大手のスノーピーク。株価は1年でおよそ4倍に。
三密を防げるとあって今年はアウトドア人気が再燃。

最近ではオフィス向け需要も伸びていて、純利益は1年前の3倍以上となりました。

コロナ収束後も国内の売上が拡大している。

来年に向けての成長期待もある。

コロナでごみ処理に商機
ミダックHD
8位 | ミダックHD | 2.9倍 |
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8位にランクインしたのはミダックホールディングス。
あまり聞き馴染みがありませんが一体どんな会社なのでしょうか?
静岡県浜松市に本社を置くミダック。

産業廃棄物の処理会社です。

処理をするごみの量が多いほど売り上げが伸びていくビジネスですが、コロナ禍で特に増えたごみがあるといいます。

それは…
ミダックHDの加藤恵子社長。
巣ごもり需要でレトルト食品やインスタントラーメンの工場が増産した。

巣ごもりでテイクアウトの家庭ごみが増えた。

飲食店のテイクアウトやデリバリーが普及し、容器のプラスチックごみが増加。

またゴム手袋や防護服など医療関連のごみも増えました。

ミダックはこうした新しいごみを積極的に受け入れ、純利益は5四半期連続で過去最高を更新。

来年には東京ドームおよそ2.5倍分の巨大な埋立処分場を新たに稼働し、さらなる事業拡大に乗り出します。

アプリで実現?低価格住宅
ケイアイスター不動産
5位 | ケイアイスター不動産 | 3.4倍 |
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5位に入ったのはケイアイスター不動産。低価格住宅が売りだといいますが…
埼玉県川越市。

営業マンが案内してくれたのは…
ケイアイスター不動産の中野浩二さん。
国道16号線の内側にある駅から5分の物件。

1階は広々とした17帖のリビングにおよそ5帖の洋室。


さらに…
2階には洋室が4室ある。

なんと5LDK。

気になる価格はおよそ4,400万円です。

テレワークの普及や都心の不動産価格の高騰を背景に低価格の郊外物件が人気となっていました。

そうした需要を取りこぼさないため、ある秘密兵器が…

アプリを使っていち早く仕入れの数を増やしている。

こちらはケイアイスター不動産が自社開発したアプリ。

住所を入力し、駅からの距離や交通量などおよそ80項目にチェックを入れると…
勝率85%で買いましょうとコメントが出てくる。

このアプリの導入で安くて需要のある土地を即座に見つけ、大量に確保できるようになったといいます。

こうしたデジタル化は建築現場でも。

現場監督はアプリで複数の現場の進捗状況を同時並行で確認できるため工事を効率的に進められるようになりました。

デジタル化で生産性を上げたことなどで分譲住宅の売上高は去年の1.5倍に拡大。

ケイアイスター不動産の浅見匡紀取締役。
不動産テック企業としてテクノロジーやDXを活用しながら日本一の住宅供給数を目指していく。

急騰の背景に買収攻防戦
東京機械製作所
1位 | 東京機械製作所 | 4.5倍 |
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2位 | スノーピーク | 4.0倍 |
3位 | ジェイリース | 3.4倍 |
4位 | 日本郵船 | 3.4倍 |
5位 | ケイアイスター不動産 | 3.4倍 |
6位 | 川崎汽船 | 3.2倍 |
7位 | デクセリアルズ | 2.9倍 |
8位 | ミダックHD | 2.9倍 |
9位 | 日本電波工業 | 2.8倍 |
10位 | クロス・マーケティングG | 2.8倍 |

そして第1位となったのは新聞印刷用の輪転機メーカー、東京機械製作所。
株価上昇のきっかけが…
新聞印刷用の輪転機メーカーが10月22日に臨時株主総会を開き、買収防衛策を可決しました。

投資会社のアジア開発キャピタルが東京機械の支配権を握ろうと株の買い増しを進めたことで株価が急騰しました。

コロナ映す相場…来年は?
コロナ時代の世相を色濃く反映した今年の株式相場。
来年はどうなりそうでしょうか?
コロナからの脱却と経済の持ち直しが目に見える形で出てくるかが重要。

来年は3万円を早い段階で超えて、年末3万3,000円程度を見込む。
