北京冬季オリンピックの開幕まであと4日となりました。
現地では新型コロナ対策として厳格なバブル方式が取られるなど異例な厳戒態勢で大会の準備が進められています。
また新疆ウイグル自治区での人権問題などを理由にいわゆる外交的なボイコットが相次ぐ中、大会スポンサーの対応も分かれています。
厳格バブル 内部の生活は?
1月31日にメディア関係者の拠点"メディアセンター"に現れた北京オリンピック・パラリンピックのマスコット。
Happy New Year!
中国の旧正月"春節"を明日に控え、イベントが行われていました。
外国人記者たちを集め、中国の伝統文化を紹介したほか、北京市内の観光スポットをオンラインでつなぐツアーも企画されました。
イギリス人メディア関係者。
やっと新しい人に会うことができた。
きょうの僕らは「幸せな囚人」。バブルのなかでここに来られてうれしい。
大会組織委 担当者。
みんなバブルの中にいる。友達を作り、人生を楽しむ時間が必要だと思い企画した。
コロナ禍で行なわれる2度目のオリンピック。ゼロコロナ戦略を取る中国政府は外部との接触を遮断するバブル方式を去年の東京オリンピックより厳格に運用しようとしています。
テレビ東京の取材班が北京に入ったのは1月27日。
田口智也記者。
北京行きの航空機がまもなく搭乗開始します。現在、北京への直行便は飛んでなく実は貨物便なんです。貨物便の座席を開放するかたちを取っています。
この日はメディア関係者などおよそ30人が搭乗。中国に入るには出発の2週間前から毎日の体調報告が義務付けられるほか、出発直前に2度のPCR検査で陰性を証明し、中国政府から入国許可を得なければいけません。
北京の空港では防護服姿の係員が待ち構える異様は雰囲気。PCR検査を受け、専用のバスでホテルへと移動します。
現在、オリンピック関係車両専用レーンを走行しています。隣の2つのレーンは混み合っていますが、スイスイと追い抜いて進んでいきます。
オリンピック専用レーンを走って到着した北京市内のホテル。
ここから完全バブルの隔離生活が始まります。
ホテルには緑色のフェンスが立てられていて「バブル内に留まるように」という注意書きが書かれています。
ホテルは高さ2メートルほどのフェンスで囲まれ、警備員が24時間体制で出入りを監視します。
移動が許されるのはホテル、メディアセンター、そして競技場など。これらの場所を決められた交通手段で行き来するだけで北京の街中へは一切出ることはできません。
厳格なバブル方式を維持しながら北京オリンピックは開幕を迎えようとしています。
ポーランド人記者。
このバブルシステムは問題だよ。窓から外の風景を眺めるだけ。
すべての人にとって困難な時間になる。
「バブルシステムに問題はない?」
それはわからない。
ただわれわれはみなさんが快適に過ごせるようベストを尽くしている。
対応分かれるスポンサー企業
コロナ禍の厳戒態勢で開かれる北京オリンピック。今回はほかにも異例な事態が……
1月21日、ドイツのベルリンにある保険会社"アリアンツ"のオフィス前では、新疆ウイグル自治区での人権侵害があるとしてオリンピックのトップスポンサーであるアリアンツに対して北京オリンピックから降りるよう求めるデモが行なわれていました。
デモ参加者。
私たちは北京オリンピックの完全なボイコットを求めている。
IOC(国際オリンピック委員会)によるとトップスポンサーはアリアンツのほかにコカ・コーラやトヨタ、パナソニック、ブリジストンなど13社。しかし、多くの企業は開幕直前となった今も積極的なPRを行っていません。
スポンサーの1社。
オリンピックの広告についてはコメントを差し控えたい。
こうした企業と対称的なのが……
冬季オリンピック、頑張ろう!
中国の青島ビール。今回の大会のいわゆるローカルスポンサーの1社です。
オリンピックを盛り上げるため中国全土から寄せられた応援コメントを使ったCMを積極的に展開しています。
スポンサー企業の間で明暗が分かれる形となっているオリンピックの広告活動について専門家は……
東京財団政策研究所 柯隆主席研究員。
外国企業が積極的に広告を打ってこられない。
中国企業はこういう場合、うちは出ていこうじゃないか。
チャンスだから中国国内で宣伝して商品を売れば政府に評価される。
一方、中国国外のスポンサーについては……
この難しい状況の中で中国を刺激したくないというのが彼らの本音。
中国の言う通りにやればいいのかというと、やはりアメリカという国がこわい。
中国以上にアメリカは重要な国なので、どうバランスをとるか相当悩んでいるんじゃないか。