おにぎり専門店やバーベキューレストランなどいま機械メーカーや家電メーカーが相次いで飲食業に参入しています。その理由を取材しました。

タイガー魔法瓶株式会社
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大阪・北新地。飲食店が立ち並ぶ繁華街に4月、ある専門店がオープンしました。

中に入るとお店の真ん中で美味しそうな湯気を立てていたのはツヤツヤのご飯。

ここ、おにぎり竜は炊きたてのご飯を注文を受けてから目の前で握るおにぎり専門店です。定番の梅干しや焼鮭など具材は23種類。

温かいご飯と相性抜群です。

行者ニンニク味噌そぼろです。

実はこのお店を企画したのは大手炊飯器メーカーのタイガー魔法瓶。

一体なぜ、まったくの異業種である飲食業へ乗り出したのでしょうか?

タイガー魔法瓶の炊飯ジャーブランドマネージャー、南村紀史さん、
コメの消費量が半減してる。

このまま炊飯器を普通に販売していたら家庭から炊飯器が消える日が来るかもしれない。

何か新しいことを仕掛けていって、消費者に「コメはおいしいもの」としっかり伝えていきたい。

日本人のコメの消費量は1962年をピークに今では半分以下に激減。それに伴い炊飯器の市場も縮小しているのです。

そこでお米の美味しさに気づいてい欲しいとコメの卸業者などと組み、立ち上げたのがこのおにぎり専門店でした。
店にはコメ離れが指摘される20代から30代の姿が目立ちます。コメの美味しさをアピールできれば炊飯器のPRにもつながるのでは、というのがメーカーの狙いです。

炊飯器が何を使っているのか気になる。

すごいおいしかったので炊飯器が欲しくなる。

コメの味をあらためてかみしめる。「コメっていいな」と思う。

ヤンマー株式会社
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本業での危機感を背景に飲食業に参入する動きはほかにもあります。

屋外型のバーベキュー施設「ザ・ファーム・トーキョー」。

材料とグリルが用意され、都会の真ん中で手ぶらでバーベキューを楽しむことができます。

4月のオープン以来、なかなか予約がとれないほどに人気です。

東京駅の目の前にこんなに楽しいところがあるなんてびっくりした。

青空の下でおいしい野菜が食べられてすごくいいなと思った。

実はこのバーベキュー施設を運営するのはトラクターなどの農耕機を作るヤンマー。

ヤンマーが目指すのは生産者と消費者の橋渡しをして日本の農業を盛り上げることです。

店で使う野菜を直接農家から仕入れることで農家を支援。

会場ではお客様が生産者を意識するきっかけを積極的に演出します。
ヤンマーの食事業推進室の林乾介課長、
機械メーカーとして機械販売に限らず生産者と消費者をつなぐ役目をヤンマーが担っていく。

食事業を通して農業全体も活性化していきたい。

兵庫ナカバヤシ株式会社
そんなヤンマーが支援する農場の一つが兵庫県養父市にあります。

寒暖差が大きくにんにく栽培に適した土地柄で甘みが強くジューシーなにんにくが取れます。

ただ全国的な知名度はまだまだ。PRが課題でした。

にんにくを栽培する滝野正人さん、
東京にアピールするきっかけがない。

PRは…弱い。できていない。

ザ・ファーム・トーキョーでは養父市のにんにくを積極的にPR。にんにくを練り込んだソーセージやバーベキューソースを「やぶ医者にんにくソース」と名付けて売り出しています。


東京でも「養父産のにんにくはいしい」と認知してもらうのは非常にありがたい。

こちらも「この店に出す物だ」と分かっていればよりいっそう力も入る。

「もっといい物を食べてもらいたい」という思いも強くなる。
