プラスチックゴミ
4月中旬、ニューヨーク近郊の浜辺に多くに人が集まっていました。行われていたのはゴミ拾い。
目立つのはプラスチック製の使い捨て容器です。
環境を守ることが一番大切なの。地球は1つしかないのに。
孫もいるのよ…汚くて悲しくなる。
できることはやるけど汚染がひどいのは企業のせいだ。
環境NGOのGREENPEACEは去年、世界中で集めたプラスチックゴミをブランド別に集計したとする調査結果を発表。
ゴミが最も多く見つかった10社としてコカ・コーラなどの飲料メーカーや食品メーカーのネスレ、日用品のP&G、プロクター・アンド・ギャンブルなどの大企業を名指ししました。
いまゴミとなるパッケージを作る企業にも厳しい視線が向けられているのです。
TerraCycle(テラサイクル)
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5月21日、ニューヨーク。
ゴミ問題の解決を目指すという新たなサービスの発表会が開かれていました。
会場にはゴミの多さを指摘された大企業の幹部が勢揃いしていました。
新サービスの発表に臨むのはリサイクルベンチャー「テラサイクル」のトム・ザッキー社長です。
「ループ」は循環型経済だけでなく本来の消費の形を示すものです。
発表されたのは「Loop(ループ)」という新サービス。
41の企業が集結し、ゴミを出さないための新たな取り組みを始めるのです。
ネスレはアイスクリームの「ハーゲンダッツ」など3つのブランドが参加。
P&Gはシャンプーの「PANTENE(パンテーン)」など12のブランドがルートに関わりました。
環境NGOにゴミの多さを指摘された大企業10社の内、実に9社がルートに参加したのです。
Loop(ループ)
5月中旬からニューヨークとパリでそれぞれ5,000世帯を対象に試験サービスを始めたループ。
どんなサービスなのか試してみました。
まずループのネット通販サイトで商品を購入します。
商品の配送料は10~20ドル。一度に多くの商品を注文すると安くなる仕組みです。
ループで頼んだものはこのような箱に入れられて送られます。かなり重いですね。
その箱を開けると…
モノがぶつかったりしないように区切られています。
通常のパンテーンのシャンプーはプラスチック製のボトルですが、ループではアルミニウム製の容器が使われています。
選択用の洗剤、タイドのボトルはプラスチックからステンレス製に変わっていました。
使い切ったら容器を箱に戻し、回収に来てもらうという昔ながらの牛乳配達のような仕組みです。容器の預り金を払いますが返却すれば戻ってきます。
テラサイクル
このループの仕組みを作ったリサイクルベンチャー「テラサイクル」とはどんな会社なのでしょうか?
ニュージャージー州にある本社は元々新聞の配送センターだったという建物を再利用したものです。
社長のザッキーさんに社内を案内してもらいました。
オフィスのいたる所でゴミを再利用している。
全く違う方法でごみについて考え直すことができると示したい。
ソーダのボトルは会議室の「壁」に。
テーブルはドアの廃材を再利用です。
ドアの廃材を利用した机の脚はバケツを重ねたもの。
机の上のパーテーションにはレコードを使っています。
この会社ではジュースの空き袋など、これまであまりリサイクルされてこなかった素材を使いリュックサックを作ったことも。
ユニークなリサイクルは世界的に知られるようになりリサイクルに向かないとされる様々な商品について依頼を受けるようになったのです。
スキーのゴーグルの依頼です。
これは日本からだ。
日本の人はパックの商品が好きだよね。
様々なものをリサイクルして成長を遂げた会社ですが、なぜ今ループで容器の再利用に取り組むのでしょうか?
リサイクルはごみから価値を取り出すことが基本だが、日本にもよくあるパックの商品などパッケージが軽量化し、素材も複合的になっているのでリサイクルしても利益が少ない。
リサイクル産業の規模は現状維持か小さくなる状況だ。
だからごみ問題の根本的な解決策を示す必要があり、それが「ループ」だ。
品質基準
そのループの取り組みにおいてザッキー社長は各メーカーが作る容器に厳しい品質基準を設けました。
その一つがこれ。100回再利用しても問題ない耐久性です。
さらに部屋に置いておきたくなるようなデザイン性も要求したのです。
これらの基準を満たす容器を開発するために数千万円を投資した企業も多いといいます。
消費者は簡便なパッケージではなく、ぜいたくな容器を使うことができる。
追加の費用を払うことなくです。
ごみゼロを目指すループ。大手メーカーはどこまで本気なのでしょうか?
P&Gの環境担当、バージニー・エリアス氏、
新しいビジネスモデルであり、新たなサプライチェーンが必要になる。
「ループ」における自社製品や他社製品の販売状況を見ることで消費者は本当に「責任ある消費」に移行する意欲があるのか見極めたい。
来年には東京でも試験サービスを始める計画のループ。使い捨て容器からの脱却はどこまで広がりを見せるのでしょうか。