東日本大震災から10年となるのを前にテレビ東京は事故を起こした福島第一原発の内部を取材しました。
そこで見えた厳しい現状は、そしてこれからの日本がとるべきエネルギー政策とは何なのか、改めて問い直しています。
東京電力ホールディングス株式会社
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取材班がバスに乗り込むと中には線量計が。
事故現場が近づくにつれぐんぐん上昇する放射線量。
10年目の福島第一原発は今…
藤田拓也記者、
水素爆発が起きた1号機の前に来ています。今も鉄骨がむき出しで中が丸見えの状態となっています。
爆発した1号機の原子力建屋は今も大きく破損したままです。
1号機と同じく爆発を起こした3号機。高さおよそ15メートルの津波が襲いました。
ここで取材を続けていると、
警告音がなりました。非常に線量が高いです。
建屋の周辺は放射線量が高く1時間あたり200マイクロシーベルト以上。
5時間で一般人の年間被ばく限度に達します。
その理由は建屋の中に今も残る溶け落ちた核燃料、燃料デブリです。
今年ようやく始める予定だった取り出し作業は新型コロナの影響で来年に延期されました。
燃料デブリはそのままでは発熱を続けるため、水を注入して冷やし続けているのですが、先月…
福島県沖で発生した最大震度6強の大地震、その影響で一部の原子炉の格納容器でさらに損傷が拡大した可能性があると見られています。
特に1号機は冷却水の水位がおよそ1メートルほど低下したため東電は冷却水の注水量を増やす方針です。
世界中に衝撃を与えた10年前の原発事故。
東京電力の清水正孝社長(当時)、
皆さまに大変ご迷惑をおかけしたことを改めてお詫び申し上げたい。
太平洋に面する福島第一原発はあの日、津波により電源機能を喪失しました。メルトダウンを起こした原子炉は大量の水素を発生させ、それが大爆発につながりました。
事故発生直後から現地で対応にあたった東電のOBは当時を振り返り事故対策の甘さを指摘しています。
震災前から肌で感じて思っていたのがおごりのようなものはあったのではないか。
津波が壁を乗り越えて敷地内に来ることはない前提で全ての訓練が行われていた。
それは随分、不思議なやり方だなと。
震災後、国内全ての原発が運転を停止。防潮堤の設置や放射性物質の拡散抑制対策などを盛り込んだ新しい規制基準ができたことで再稼働には巨額な投資が必要になりました。
東日本大震災前に稼働していた原発は全国に54基ありましたが、このうち21基の廃炉が決定しました。福島第一原発の6基も含みます。
結局、再稼働に至ったのは9基にとどまっています。
日本のエネルギー比率は震災前は原子力発電の割合がおよそ25%だったのに対し、今は6%ほど。しかし、国は2018年に30年度の目標として原発を20~22%まで高めることを掲げました。
さらに…
菅総理、
2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言する。
去年、2050年に脱炭素社会を実現すると表明。国は夏までに新たなエネルギー比率の目標を示すとしています。
資源の乏しいわが国において原発ゼロで最適な政策実現は極めて厳しい。
事故から10年、今も原発は必要だとする政府。持続可能なエネルギー政策とは何なのか、難しい舵取りが続きます。