外国人実習生の失踪などの問題が表面化する中、労働力としてどう受け入れ、育てていくのか。
外国人労働者の働き方を変えようと動き出したある飲食店の研修を取材しました。

入管法改正案衆院審議入り
11月13日の衆議院本会議。

外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案が審議入りしました。

議場には傍聴する外国人の姿も。

山下法務大臣、
即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することが求められている。

これに対し野党は…
立憲民主党の山尾志桜里議員、
総理は新資格の参入につき「単純労働ではない」と答弁している。

専門・技術的分野であると強弁するのは責任ある態度とは言えない。

安倍総理、
新たな受け入れは一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れるもので従来の基本方針を変更するものではない。

国民民主党の階猛議員、
来年4月の施行にこだわる理由はないはず。

待ったなしの課題に迅速に対応するために来年4月から制度をスタートさせることを目指す。

なかなか噛み合わない議論。
再質疑の申し出が。

再々質疑の要求が。

野党が質問を繰り返す異例の展開に…
外国人労働者の受け入れ拡大に向けて論点は山積みです。

現場で上がる悲痛の声
外国人労働者の現実は?
11月13日夕方の東京入国管理局。

ベトナム語の通訳士、山本美香さん、ベトナム出身です。

最近はほぼ毎日入管を訪れているといいます。
「どういう用事で来ていたのか?」
仕事で来た。部門によって違うが強制送還など。

今日は強制送還の手続きで3人のベトナム人の通訳を務めました。

入管だけでなく警察署や裁判所などからひっきりなしに通訳の依頼が入るといいます。
いじめられてどうしたらいいか分からない。相談できるところがない。

彼らは最終的にやってしまった。違反してしまった。

暴力も聞いたことがある。

現在の技能実習制度では受け入れ先の過酷な待遇に耐えかねて逃げだせば不法滞在などとして扱われます。

山本さんのスマホには救いを求め多くのメッセージが残っていました。
お姉さん、私を助けてください。

給料を2ヶ月分払ってもらっていない。

もっといい将来を望んでいたはずが地獄のような状況になってしまい心が痛い。

山本さんの紹介で2人のベトナム人留学生に会うことができました。
500円、600円くらい。
「時給が?」
時給。

いっぱい残業して給料をもらえないときもある。

都内の専門学校に通う2人。
幸い2人の勤務先は良心的だといいますが、仲間のつらい現実を耳にしていました。

借金して日本に来た。ベトナムに帰ったら借金が返せなくなるから給料が少なくても日本にいて仕事している。

ベトナムでは悪質なブローカーが暗躍。

現実とかけ離れた夢のような生活を語って若者を集め、多額の手数料を徴収しています。

「これから日本に来る人は幸せになるか?」
なれない。

こうした中、山本さんが今年5月、通訳の仲間たちと立ち上げたのが在日ベトナム共済会です。

ベトナム人労働者の悩み相談に母国語で対応。
必要に応じて弁護士や行政機関にもつながります。

共済会の力で人を救えたら。

株式会社テンアライド
[blogcard url="https://www.teng.co.jp/"]
一方、外国人労働者の教育に力をいれているのがこちらの企業。

テング酒場など120店舗を運営する居酒屋大手のテンアライドは全国でおよお2,700人のアルバイトを雇っています。
そのうちおよそ900人が外国人労働者で8割近くがベトナム人です。

「外国人労働者がいないと成り立たないか?」
テンアライドのテング酒場神田南口店の荒木慎吾店長は、
成り立たない。

ベトナム人アルバイトは仕事を早く覚え一人前になろうという意識が高い。

人手不足が続く外食産業にとって外国人は貴重な労働力。

そこで今年始めたのが、
失礼致します。

お待たせ致しました。

ベトナム人のアルバイトに特化した研修です。

日本の文化ではお客様が来たときに必ず「いらっしゃいませ」という。

指導にあたるテンアライドの人事部教育課、グエンバントアンさん(28歳)は実は去年就労ビザを取得し正社員になったベトナム人のグエンさんです。

グエンさんはベトナム人アルバイトの研修やベトナム語のマニュアルの作成を担っています。

外国にはいろいろな文化があり、みんな最初は分からない。

細かいことから教えてもらう必要がある。

新たに採用したベトナム人の女の子はグエンさんの研修を受けてから店舗に配属されます。

テンアライドの人事部教育課、塩川朋史課長は。
ここ数年、日本語力が低い人(ベトナム人)がいて教育が一番の課題。

アルバイトの定着と戦力化を目的に正社員を1人(グエンさん)登用した。

グエンさんを採用し、ベトナム人に特化した研修を始めたことで、採用後1ヵ月以内に退職してしまう外国人労働者の割合は去年よりおよそ5%減りました。

テンアライドは今後、外国人の正社員を増やしアルバイトの教育に力を入れていく考えです。

一定レベルまでなるべく時間をかけず、外国人労働者を成長させることが一番の改題。

受け入れ体制を考えていくことは当社だけでなく他社も必要になる。
