マーケットや経済の旬の話題をお届けする朝活タイム「ふちこの突撃マーケット」。
今回のテーマは「Z世代で起業ブーム?」。です。Z世代というのは1990年代半ば以降に生まれた世代のことで、2020年に音楽配信大手「Spotify」が行った調査によるとZ世代の65%が自分でビジネスを始めたい、またはすでに始めていると回答したということです。
このZ世代、なぜ起業という道を選択しているのか取材ました。
Z世代で起業ブーム?
全然珍しくない!
茨城県つくば市。こちらはつくば市役所が運営するシェアオフィス「すくばスタートアップパーク」です。
ここで会社を経営している大峠和基さんを訪ねました。
大峠さんは2020年、23歳のときに「Telorain」という会社を設立しました。
筑波大学の大学院生でもある大峠さん、研究の傍ら会社を経営する二刀流です。
字幕を全自動で付けるAIを開発していて、誰でも簡単に字幕付き動画が作れるというアプリを提供している。
大峠さんが開発したこの「telorain」というアプリ、動画を撮りながら話したことが自動的に字幕入力されます。誰でも簡単に字幕付きの動画が作れることからYouTuberやSNSに動画を投稿する人たちに人気です。
大学4年生のときにこのアイデアを思いつき開発を始めたといいます。
「なぜ『会社に入りアイデアを実現しよう』ではなく『起業しよう』と思った?」
やはり会社だと一番にその事業がもうかるかどうかが重視されると思うが、自分が代表であれば自分の熱意だけで進めることができる。
「周りに10代・20代で起業した人は?」
たくさんいる。僕の友達にも何人もいる。全然珍しくない。
若者の起業と聞くと資金がハードルになりそうですが、大峠さんはどのようなかたちで資金調達したのでしょうか。
経済産業省の「未踏事業」から支援してもらい、その支援をもとに基礎技術の開発と立ち上げ時期の資金をまかなった。
経済産業省が主導する「未踏事業」、埋もれているIT人材を発掘し、育成するのもです。
25歳未満のIT人材を育成するプログラムもあり、2000年度に始まって以来、延べ1,900人のIT人材を輩出し、そのうち250人以上が起業したということです。
同世代に起業家がすごく増えていて、起業することの特別感、ハードルが低くなっている。
「自分もやってみようかな」と「自分も乗っかってみようかな」となったので周りの環境が変わってきているんじゃないかとすごく実感している。
起業家教育の現場は
さて、ところ変わって東京都文京区です。起業家教育に力を入れている高校「郁文館夢学園」があるということで取材しました。
郁文館夢学園の渡邉美樹理事長。
外食大手」「ワタミ」の会長兼社長を務める渡邉さんが自身の経験をもとに経営のノウハウを教える「高校生社長講座~起業塾~」を2018年に開講しました。
高校生社長の輩出を目指した日本初のカリキュラムを実践しています。
「なぜ『起業塾』を始めたのか?」
これからの日本は少子高齢化が進んでいく。
働く人が少なくなるということはGDPが少なくなっていくということ。
日本は二流・三流国になっていっていいのかといったときに、やはり日本は繁栄してもらいたい。
繁栄するために何が必要かというと会社の納税と雇用。
日本は起業も廃業も少ない。つまり新陳代謝が行われていない。
「なぜ会社が生まれないのか」ということ。
日本の場合は起業家になりたいという子は本当に少ない。これが一番の問題だと。
海外の開業率を見てみるとイギリスはおよそ14%、アメリカはおよそ10%なのに対して日本の開業率はおよそ5%と欧米諸国に比べて低い水準となっています。
一体なぜ日本の開業率は低いのか、起業家教育が遅れているためともいわれています。
こうした背景から起業家教育を始めたという渡邉さん。
「起業について勉強するのが高校生というのは早いと思ったが?」
逆に私は高校生はもう遅いと思っている。
小学生が野球やるからプロ野球が強くなる。裾野の問題。
ぼくは日本というのは起業家教育全くダメだと思った。
これで納税と雇用を生むような会社をつくるのは無理だと、裾野を広げたい。
会社を作るとは何ぞやとか、会社とはいったい何ぞやとか、年間最低でも6~7人くらい経営者を呼んで経営のビジネスモデルを説明してもらう。
生徒に自分がこの業界で事業を起こすとしたらどういうビジネスモデルを作るかということを考えさせる。
最終的には事業計画を作る。
「事業計画も?」
資本金はいくらで、事後油の中期経営計画までしっかり書かせる。
実際に起業塾を受講している伊藤優和さんに話を聞いてみました。
「伊藤さんはどういう事業を考えたのか?」
高校2年の時から性教育に興味を持っていて、高校生に正しい性教育の知識を教えようというビジネスを考えた。
「それがビジネスになる?」
理事長には一度ビジネスにならないと指摘を受けたが、それもあり次はどうすればいいかというのを考えている。
「理事長は厳しい?」
理事長はとても厳しくて、それがビジネスになるのかどうか、それで利益が追求できるのか。
高校卒業後は大学に進学し、生命科学について学びたいという伊藤さん。目標は研究職に就くということですが…
起業はする。でもその前に自分がどうしてもやりたい職業がある。
女性の社会進出を目指していて、女性の中でも研究者の女性というのは一回結婚や出産で辞めてしまうとなかなか戻れない状況があるので、そのような社会を自らの手で変えたい。
だからこそ就職もして、そのあとに起業をしたい。
今後ますます増加も!Z世代はなぜ起業する?
起業を目指すZ世代のには一つの傾向があるといいます。
SDGs、社会問題、それの解決の糸口が経営。
以前、起業の動機は何かというと「貧しさ」。
「貧しいから、お金持ちになりたいから社長になりたい」だったのが、いまのZ世代は貧しくない。その中で社会問題とぶつかったときに社会問題をどう解決していくかということで彼らは「起業」にたどり着く。
「Z世代の企業は増えていく?」
われわれ次第ではないか、Z世代にはその要素はたくさんある。
その要素に対して、われわれが昔ながらの偏差値教育ばかりしていたらこの子たちは絶対ならない。
社会が全体で起業家教育をやることによってZ世代の起業家は増えてくると思う。