地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は大阪市の企業です。町中でよく見かけるあの製品を作るパイオニア企業を取材しました。

帝金株式会社
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埼玉県のサッカースタジアム「NACK5スタジアム大宮」。

町中でも頻繁に見かける自動車の侵入を防ぐ車止め。

車が通れる状態と通れない状態を車止めを上下させることで簡単に切り替えられます。

1966年、国内で初めて開発された地下収納式車止めは累計100万本以上出荷。


今では東京駅を始め、レゴランドなど全国至る所にさまざまな車止めを目にすることができ、夜の景観に光の演出を可能にした光る車止めも開発されています。



大阪府大阪市、金属などの製造業が盛んなこの地域で新たな製品開発を続けている企業が…


帝金は従業員50人、売上高は18億円に上ります。

帝金が開発設計を担い、製造は他社の工場に委託しています。

年間およそ1,000種類、10万本以上の車止めを製造し、シェア35%と業界トップクラスです。


1945年に建築金物の卸売商として創業した帝金。

扉の上下に取り付ける建築金具「ピポットヒンジ」が大ヒットし、帝金の基礎を築きました。


車止めは1966年以前、抜いて保存する抜き差し式しかなかったのですが、提琴は他社に先駆け地中に保存できる上下式の車止め「バリカー」を開発しました。


バリカーはバリケード+カーから作られた造語で創業者の大塚幸三さんが名付け親です。

帝金は今日までバリカーのパイオニアとしてさまざまな工夫を加えています。
帝金の奥田浩也乗務。
バリカーは朝晩、鎖を引き出して入れる。

その時に鎖の金属音がクレームになった。

それを解消するための工夫として樹脂を入れて金属音を少なくしている。

内部に樹脂をはめ込むことで接触時の金属音を抑えています。

さらに二重構造のスプリングを支柱の一部に入れることで車などの接触による衝撃を和らげます。

現在、重さ10キロ前後のバリカーが1日500本製造させています。

当初の重さは20~30kgあった。

車に積み込んで市役所や設計事務所に持ち込んで売り込んだ。

しかし、今まで誰も見たことがないバリカーを売り込むのは容易ではありませんでした。

高度成長期で自動車の普及率も大きく上がり、交通事故・公害などさまざまな問題が起き始めたことや国土が狭く、効率的な土地の利用を要求される日本でバリカーは全国に普及していきました。


その結果、国内シェアで上位を保っています。

時代の流れに合わせて商品を開発している。

高齢化社会なので大きな柱でも比較的簡単に上下できる製品。

重量のある大型バリカーの上げ下ろしに高齢者でも負担がかかりません。
帝金では30年以上、毎月1回開発会議を開き、時代に求められる新しい製品を考案しています。


環境問題が注目され始めるとリサイクルプラスチック製のエコバリカーを開発。

曲がっても数日後にはほとんど元に戻り、海辺でも錆びない特質を兼ね備えた製品です。

エコマーク事業などを手掛ける日本環境協会からエコマークアワード優秀賞にも選ばれ、青山霊園や新宿歌舞伎町など各地で使用されています。



ほかにも支柱全体が光に映えるバリカーなど今では100種類以上の新しいバリカーを生み出しています。


そして今、さらなる進化が…
新製品、対衝撃性車止め・ハイパーボラード。

以前は支柱の中が空洞だったが、中の細いパイプの集合体が車を受け止める。

2019年、耐衝撃性車止め「ハイパーボラード」を発売。

車止めが車を止めると思われているが、実際は視覚的に抑止するものばかり。

昨今、乗り上げ事故や店舗への突っ込み事故が多く新たに開発した。

細いパイプをスクラム状に配置することで衝撃を受け止めます。
20回以上の実車衝突実験を行い、一定の強度が確認された製品の開発に成功しました。

発売2年足らずで5,000本以上が採用され、およそ3億円を売り上げています。


安全・環境・防災、常に潜在市場の開拓をすることが大事。

モノづくりの中心は大阪と言われていた。新しいものを作るプライドがある。

今まで誰も見たことのない製品を作り出して日常にあふれさせたい。
