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[WBS] 存亡の危機を乗り越えて客が戻ってきた福島の温泉地

2016年3月10日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

東日本大震災から間もなく5年。
清流、荒川の渓谷にある温泉地、福島市土湯温泉町。

温泉地で発電

震災後に作られたバイナリー発電や水力発電。
それを見にくる観光者が増えてきています。

東日本では始めてのバイナリー発電。
それは震災で存亡の危機に陥った土湯温泉の生き残りをかけた挑戦でした。

向龍

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老舗旅館の向龍の四代目、久間智啓副社長。
震災で大規模半壊と認定され立ち入り禁止、休業に追い込まれました。

土湯温泉に入ってすぐに見える、大きな建物が休業。
非常に切ない思いをしていました。

震災後は観光客も大幅に減少していました。
震災直後の2011年度には土湯温泉の利用客は約11万2,000人と前年比の半分以下の55%の減少でした。

16件あった旅館のうち5件が廃業を決めました。

向龍は2012年11月、約1年8ヶ月ぶりに営業を再開します。

加藤勝一さん

震災後、土湯温泉に漂う悲観的な雰囲気を感じていました。

将来に対する展望を失ったというか、ピンチをチャンスに変えないといけない。まさに今なんだ、今やらないと。

ピンチをチャンスに変えるため、加藤さんが選択したのは温泉でした。
130度と高温の源泉を利用して復興に使えるように考えました。

2011年10月2日、加藤さんは町の人たちを集めてバイナリー発電所を事業化する提案を発表しました。

バイナリー発電は温泉の熱を利用して、水より沸点の低い有機化合物の液体を蒸発させ、その蒸発した蒸気の力でタービンを回す発電方法です。
温泉と有機化合物は混ざらずに発電できるので、温泉はそのまま使えるので温泉の量や成分に影響を与えません。

さらに再生可能エネルギー固定価格買取制度によって発電事業がはじめやすい環境が整っていました。

電気を土湯温泉でつくり、その電気を土湯温泉で使用する夢のような計画です。

しかし旅館経営者の方々は温泉への影響を不安に感じていました。

バイナリー発電はリスクが少ないと加藤勝一さんは説明を続けました。

土湯温泉でなければならいもの、オンリーワン、ナンバーワンをつくる。このためにここに生まれてきたんじゃないかと思いました。

加藤勝一さんはそう言います。

株式会社アップつちゆ

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町民の合意を取り付けた加藤勝一さんは温泉協同組合からの出資を受けて2012年10月に発電事業の会社「株式会社アップつちゆ」を設立します。

そして昨年2015年11月にバイナリー発電を開始します。
総工費約7億円、発電能力400kW、一般家庭750世帯分の電力に匹敵する発電能力を持った発電所です。

東北電力株式会社に350kWの売電をする予定でしたが、実際にはそれ以上の約370kWの発電がされていました。

このまま順調に進めば売電収入は年間約1億円になります。

売り上げは借入金の償還と町の活性化の資金に使う予定だそうです。

新たな雇用

山形大学を卒業した小栗拓馬さん。
昨年、株式会社アップつちゆに就職しました。

再生可能エネルギーで町づくりという明るい話題が福島にあった。僕のやりたいこととできることが、ここに来れば一致すると思って連絡した。

バイナリー発電の影響

土湯温泉にはバイナリー発電の計画を発表以降、国内外から多くの視察団が訪れました。
その数は約1万人。

利用されるお客様も震災直後は約11万2,000人でしたが、昨年は約18万8,000人と急増しています。
2018年度までに約30万人を目標と掲げています。

感想

大阪に住んでいると福島は遠いと正直感じます。

わたしは阪神大震災の時は神戸に住んでいました。
震災の恐怖は体験しました。幸いなことに神戸では風評被害はあまり感じる事はありませんでした。

風評被害など、様々な要因で経済が落ち込む話を聞いて悲しく感じます。

その中で、こんかいのような希望を感じられる情報を頂けると本当に嬉しいです。

いつかとは言わず、近いうちに福島には行ってみたいと思います。
この目で、色々と見て感じたいです。

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