日本の先端技術から生まれた新たな素材を取り上げる日本の素材力。
今回は意外な原料から生まれたあっと驚く髪のヒミツに迫ります。

株式会社TBM
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2016年12月、都内で開かれた環境展「エコプロ2016」。日本の企業が誇る最先端の素材が集結していました。

その中でひときわ注目を集めていた新素材が大江麻理子キャスターが紹介します。

今日取り上げる新素材は紙です。触ってみますとツルツルしていて頑丈そうな紙。一体何でできているでしょう?

この紙、もちろん普通の紙ではございません。
まず驚くべきは耐久性。経年劣化にも強いのです。

さらに水の中で字が書けるのです。

不思議な紙に見学に来ていた人も夢中です。

ビックリです。

紙の弱点、「耐久性」と「耐水性」。両方を克服した紙の代用素材「LIMEX(ライメックス)」。

この紙、一体何でできているかというと「石灰石」なんです。石でできた紙だったんです。

ベンチャー企業の株式会社TBMが2015年に開発されたばかりの、いわば「石からできた紙」。どんなポテンシャルがあるのでしょうか?

LIMEX(ライメックス)
宮城県白石市、ライメックスの製造工場があります。

工場のあちこちにあるのが、白い粉末。石灰石を砕いた粉です。

そして、もう一つの原料が白石工場の小林貞夫工場長によると、
これが樹脂。

ごくごく一般的なプラスチック樹脂「ポリプロピレン」。

石灰と樹脂を機械で混ぜて、高温で熱して引き伸ばしていきます。樹脂は伸びやすく薄くできますが、そのままでは単なる透明なフィルムに過ぎません。

一方、石灰は白く、しかも硬いので混ぜ合わせることで紙のように白く丈夫なシートになります。


石から作る紙はこれまでにもあったといいますが、独自の技術で軽く薄くできたのです。

世界でここにしかない技術。

ライメックスの価格は1kgあたり約500円と普通の紙と比べると割高。しかし現在、生産量を増やしていてコストは下がる予定です。

リサイクルして再利用も可能。廃棄する時は一般ごみでOKです。

株式会社TBM
ライメックスを作るのは株式会社TBMというベンチャーです。その本社を訪ねました。

ライメックスの生みの親、山崎敦義社長。

ライメックスの一番の魅力は?
木を切らずに、水を使わずに、砂漠の真ん中でも作ろうと思えばできる。

一般的に紙を作るのには紙1トンあたり約20本の樹木と約100トンの水が必要です。

しかしライメックスは木も水も一切使いません。

主原料の石灰石は日本でも自給率100%。世界中にほぼも無尽蔵にあるといわれています。

これからの時代はペーパーレスと思われているがグローバルで見たとき、人口増加や産業化が進む中で紙は2030年に今の倍の約8億トンの消費量になると言われている。水資源を使わず、こういう素材が作れるのはすごく画期的なこと。

そんなライメックス、いま私たちの身の回りにも広がり始めています。まずは名刺、耐久性に優れ、約600社が採用。


凸版印刷株式会社
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大企業からの熱視線も。

印刷大手の凸版印刷株式会社は2016年11月にライメックスの用途について共同開発することで合意。

凸版印刷株式会社のビジネスイノベーション推進本部の糸谷祥輝本部長は、
封筒はポストにささった時に半分以上外に出る。雨に濡れるようなものに使えないか、という想定をしたり。

大江麻理子キャスターが持っているのは、
VRのヘッドマウントディスプレイ。外で使うから雨に濡れても大丈夫。しかも頑丈。

ラクスル株式会社
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山崎敦義社長自ら、ライメックスの可能性を求めて動いていました。

商談に訪れていたのはラクスル株式会社という会社。

企業や個人向けにチラシやパンフレット、名刺などの印刷を手掛けています。

現在の会員数は30万人を超えています。

ここでライメックスの製品を取り扱ってもらえれば認知が一気に広がるはず。
用意していたのは飲食店向けのメニュー表。

これがライメックスで作ったメニュー表。通常のメニュー表は紙で印刷してラッピングするが、これは耐久性と耐水性があるので、そのまま使える。

ラミネート加工などをすることなく丈夫に使えることをPR。
ラクスル株式会社の経営企画部の高城雄大さんは、
防水性や耐久性はかなり注目していて印刷してそのまま納品できるのは魅力的。

上々の評価に山崎敦義社社長も満足そうです。
早ければ2月にも取り扱うことが決まりました。

山崎敦義社社長は、
今年からは世の中に本格的に商品としてデビューしていくステージ。世界中にこの素材をどれだけのスピードで広めていけるか、挑戦していきたい。
