
11月29日、自民党で来年度の税制改正に向けた本格的な議論が行われました。今回の改正議論では相続税や贈与税のあり方を変える大きな見直しが行われることになりそうです。
税制改正で増税議論も
相続・贈与に影響か?
午後1時。
田中瞳キャスター

宮沢税調会長が入ってきます。
多くの国会議員が集う中、自民党本部では税制調査会が開かれました。
自民党
宮沢洋一税調会長

令和5年度の税制改正作業がきょうから本格的に始まります。
11月29日はNISA(少額投資非課税制度)や金融所得課税など、私たちの資産に直結する税制が議論されました。
会議は冒頭以外非公開とされましたが…
田中瞳キャスター

こちらの扉を見てみると記者や省庁の関係者らが中の内容をなんとか伺おうと聞き耳を立てています。
今回、焦点の一つとなっているのが贈与税・相続税の見直しです。
その一つが子どもの教育や結婚などのための贈与。
これまで教育資金のための贈与は最大1,500万円まで非課税になるなど税制優遇策が取られてきました。
こうした優遇措置が今年度で終了するため、延長を求める声が続出しました。
さらに今回の改正議論で大きな焦点となっているのが贈与税と相続税の扱いです。
遺産を相続する際、現在は死亡前に3年間に遡って生前に贈与した財産にも相続税が課される仕組みとなっています。
今回の改正案では2024年度以降、この遡る期間を10年程度に拡大する、いわば増税の方向で調整が進んでいるのです。
11月29日にどのような議論が行われたのか…
午後3時前、議論を終えた宮沢税調会長に直撃しました。
田中瞳キャスター
相続税の対象期間の延長について具体的な話は?

自民党
宮沢洋一税調会長

特にございません。
田中瞳キャスター
宮沢税調会長の考えとしては?

自民党
宮沢洋一税調会長

まだ私の考えを言う段階ではない。
相続税の対象期間については口を閉ざしました。
今回の税制改正の議論について相続の相談を受けている税理士は…
円満相続税理士法人
橘慶太代表税理士

「これまでの贈与が意味なくなるか」という相談を多く受けている。
とても広い範囲の人に影響が出る改正。
今回の税制改正の議論、生活にも大きな影響を及ぼしそうです。
相続・贈与税改正の狙い
田中瞳キャスター
今回の見直しの議論ですが狙いは?

財務相担当
石井真知子記者

1,900兆円というのは日本人個人が持つ金融資産の合計です。
その65%、1,200兆円を60歳以上が持っていて、ここへの課税を強化しようという議論がされています。
田中瞳キャスター
焦点となっているのが、これまでは死亡前3年間まで遡って生前に贈与した財産に相続税がかかっていました。
この対象となる期間を3年ではなく10年程度に伸ばすといったものです。
これは増税ということですよね?

財務相担当
石井真知子記者

多くの人にとっては増税になります。
その一方で別の狙いもあります。60歳以上の金融資産を多く持つ世代の方の子ども世代にあたる40代以下の世代では子育ての真っ最中だったり、教育費にお金がかかったり、住宅ローンを抱えているケースも多く、負債超過に陥っている世帯が多いのが現状です。
こうした中、相続税の加算期間を早めることで、早い段階で高齢者の持つ資産をいまお金が必要な現役世代に移し、経済や消費を活性化したい狙いがあります。
田中瞳キャスター
もう一つ焦点となっているのが、子どもや孫への教育資金や結婚・子育て資金を一括贈与すれば贈与税が非課税になるといった制度です。

財務相担当
石井真知子記者

今の制度では入学金や塾代など教育資金は1,500万円まで、結婚式や出産費用などの子育て資金は1,000万円まで非課税となっていますが、これは来年3月までの特例措置となっていて、廃止するか延長するかが議論になっています。
田中瞳キャスター
今回の相続税や贈与税の見直しの議論について街の人や専門家はどのように見ているのでしょうか?

相続税は増税に向かう?
メリットが大きい贈与とは
11月29日、銀座の街で聞きました。
市民

税金のために一生件目ためておかないと。
市民
何でそんなに取られちゃうのかな。

相続税の課税強化に否定的な意見がある一方、亡くなる10年前の贈与分に遡って課税される可能性があるのであれば生前贈与を急ごうという意見も。
市民

私は自分が持っているもの(資産)を一覧表にして相続ノートみたいなものを書くようにしている。
生前贈与しないと、ちょっとずつでも息子に残さなくちゃと思った。
賛否分かれる相続税の見直し。相続の相談を多く受けている税理士に今後の影響を聞きました。
円満相続税理士法人
橘慶太代表税理士

改正直後はこれまでのメリットがなくなるので、贈与する人はいったん少なくなる。
ただ、生前贈与を受けると思わぬメリットが出てくることもあるといいます。
円満相続税理士法人
橘慶太代表税理士

不動産や株を先に贈与しておくと、上がる家賃や配当金は贈与を受けた人に帰属する。
時価が将来的に上がるものであれば先に贈与しておくと得になる。
どうなる?相続・贈与税
田中瞳キャスター
来年度の税制改正の議論はこれから本格化していくものとみられますが、相続税・贈与税の見直し、これはどうなりそうでしょうか?

財務相担当
石井真知子記者

現在3年となっている相続税の加算期間の延長についてはドイツが10年、フランスが15年となっていて、検討する際の目安とされています。
与党の税調幹部からは10年程度が適当ではないかという声も聞かれます。
税制改正で少子化対策に影響?
田中瞳キャスター
子育てや教育資金の非課税枠、これについては今後どうなりそうでしょうか?

財務相担当
石井真知子記者

特に子育て資金の贈与については利用件数が減ってきていることから廃止の方向で検討が進められています。
ただ、自民党の議員連盟は少子化対策の観点から誤ったメッセージになるとして、延長を要望するなど、廃止となるかはまだ見通せない状況です。
田中瞳キャスター
来年度の税制改正大綱は与党税調の議論を経て12月半ばに決定します。
