理想の材料を求めて町から町へとおよそ650kmを移動したシェフがいます。
最後に辿り着いた街で生み出す人気の一品とは一体どんなものなのでしょうか?
タルマーリー
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鳥取県の山奥、人口およそ7,000人の小さな町に大勢の人が…
目指す建物の中には長い行列が。
その先にあったのはパンです。
一見素朴なパンですが何がそんなに魅力なのか?
いろいろ食べてきたけどその中で一番おいしかった。
原始的な味がする。
原始的な味のパンとは一体?
その秘密は…
店の奥に大切に保管されたこの緑色のものに…カビ!?
パン
鳥取県智頭町にあるパン屋さん「タルマーリー」。
ちょっと懐かしさを感じるこの雰囲気。実は保育園だった場所を改装しました。
店は関西や四国から来るバスツアーの立ち寄り先になっていて、あっという間に30人ほどの行列ができます。
これが食パン、560円です。
それを1個。
あんパン1個と蜂蜜ブレッド1個。
人気商品の一つが生地にはちみつを加えたパン「蜂蜜ブレッド」。
ふんわりした生地と蜂蜜の甘味が絶妙なバランスを醸し出す。
こちらはゴーダチーズがたっぷり入ったボリューム満点の一品。
焼き立てはもちろん、冷めても美味しい。
店内のカフェでの一番人気はこちら。イノシシ肉を使ったハンバーガーです。
イノシシも小麦も野菜も地元で取れたもの。
この味を求めて遠くからお客様がやって来ます。
兵庫県の北部の方から車で2時間半くらい。
他で食べたことがない魅力があって1時間かけても来てしまう。
渡辺格さん
店主の渡辺格さんは5年前、夫婦でこの地に店を開きました。
実は渡辺さんは東京生まれで、最初の店を開いたのは千葉県。
なぜ鳥取の山奥に来たのかというと…
これが今年、米を置いていたら降ってきたこうじ菌。
パン作りの原点。
こうじ菌
これは冷凍保存された野生のこうじ菌です。
米屋麦に付いて増えるカビの仲間で、みそや酒造りには欠かせないもの。
夏に蒸した米を店の近くに置くと空気中に漂うこうじ菌が米に付着しこのようなきれいな緑色になるといいます。
このこうじ菌から作った酵母を生地に混ぜるとふっくらと膨らみ、日本人が好きなもっちりとしたパンになります。
バターなどを加えなくても小麦の豊かな味と香りが引き立ちます。
体になじむような味。
自然な味わい。
食べて余計な物が入ってないのが分かる。
こうじ菌に関しては千葉にいた頃は必死に空気中から採取を試みたが結局とれなかった。
「環境がきれいな田舎に行ってこうじ菌を採取しよう」と。
自然豊かな田舎のほうが理想のこうじ菌が取れると2011年、千葉から岡山県真庭市へ。さらにより良いこうじ菌が取れる環境を求めて、その4年後に智頭町に。その距離はおよそ650キロ。
ようやく出会った理想のこうじ菌ですが実はかなり気まぐれだといいます。
いつもいいパンができるわけではなく、時には失敗したり…
こうじ菌の状態によって生地が膨らむ時間が異なるため、焼いている間は片時も目を離すことができない。
かなり手間がかかるパン作りですが、
失敗する危険性が労働を面白くする。
パン作りが面白くなる。