株主総会シーズン真っ只中ですが、今年の株主総会で注目されている焦点のひとつが「相談役」や「顧問」といった役職の扱いについてです。
会長や社長の経験者に会社に残ってもらい必要に応じて助言を現経営陣にもらおうというものですが、実はこれは日本特有の制度です。
しかし企業によってはこの相談役の存在や待遇がまったく開示されず、いわばブラックボックスになっていて問題視されています。
さらに相談役の影響力が強過ぎて現役の経営陣の判断を縛るというケースもあるといいます。
東芝の場合、2015年に不正会計に明らかになったとき相談役と顧問が合計17人もいました。こうしたOBからの圧力が不正の背景にあったのではないかという声も聞かれています。
6月28日に開かれたある企業の株主総会では相談役の制度の是非というものが最大の争点となりました。
武田薬品工業株式会社
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大阪市内で開かれた武田薬品工業の株主総会。3,000人以上が参加。
株主の関心を集めていたのが、
相談役が一番気になっている。
武田薬品は長谷川閑史会長が退任した後、相談役になる人事を発表。しかし一部の株主が就任に反対する議案を提出しました。
相談役・顧問
経済産業省のアンケートによると「相談役・顧問」が存在する企業は約62%にのぼります。
経営者の先輩である相談役の意見が現職の社長に影響を与え、時には経営判断を誤らせるという指摘もあります。
相談役は専用の秘書や個室を持つことも多いですが取締役とは違い株主総会で選ばれていません。株主に解任されることも、訴訟などで経営責任に問われることもありません、
政府や企業に対して相談役などが果たす役割を明確にするように求めています。
安倍晋三総理は、
不透明な退任したトップの影響を払拭し果断な経営判断が行われるようにしていく。
2017年に入り、J・フロントリテイリングや阪急阪神ホールディングスなど相談役の制度自体を廃止する企業も相次いでいます。
しかし経済界のトップで東レの相談役最高顧問を務める経団連の榊原定征会長は、
非常にプラスになっている会社もあれば、そうでない会社もある。
株主総会
こうした中で開かれた武田薬品の株主総会。
ある株主が1枚の紙を見せてくれました。武田薬品が長谷川氏の相談役就任に理解を求める書面です。
「相談役について報酬は現在の12%程度。社用車や専任秘書はおかない」などと説明をしました。
株主は、
相談役は必要ないのではないか。権力を行使するだろうし、いらないことも言う。
就任反対の議案は結局否決されました。
長谷川会長自ら経営への影響を否定する場面もあったといいます。
しかし株主のあいだでは賛否が入り混じっていました。
長谷川会長は武田薬品に長年貢献してきた。相談役として残るのはいいと思う。
天下りじゃないが、ずっといるのは良くない気がする。