[WBS] 約7兆円の巨額買収・・・武田薬品!株主総会で何が話された!?

ワールドビジネスサテライト(WBS)

武田薬品工業は12月5日、大阪市内で臨時の株主総会を開き、アイルランドの製薬大手シャイアーの買収を賛成多数で承認しました。

買収額はおよそ6兆8,000億円で、日本企業のM&Aとしては過去最高額となります。

来年1月にも買収は完了する予定で、売上高で世界トップ10に入る製薬メーカーが誕生することになります。

ただ、財務の悪化などを懸念する声もあるなか、巨額の買収に勝算はあるのでしょうか?

武田薬品工業株式会社

大阪市内で開かれた武田薬品の臨時株主総会。

議案は2つ。

シャイアーを買収するため新たに発行する株式の募集要項を取締役会に委任すること。

シャイアーの3人を武田薬品工業の社外取締役に迎え入れることです。

買収額はおよそ6兆8,000億円。

今回、4兆円を新株の発行で、残りの3兆円を現金などで賄うと説明しました。

武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長は、

シャイアーはわれわれの収益性をさらに高める。

これにより武田薬品は業界でより強いポジションを確立する。

ウェバー社長は武田薬品の成長にとってシャイアーがいかに重要か、収益性、相乗効果といった言葉を何度も使い株主に理解を求めました。

大事な点はシャイアーが収益性の高い企業だということ。

相乗効果も生まれる。

株主の反応

これに対し株主は、

社長はシナジー(相乗)効果で「今後期待してください」と。

「頑張ります」と言っていて、その通りなら良いですけど。

それが今後の患者や株主のために期待できるかは疑問。

実際、3月にシャイアーの買収検討を発表して以降、武田薬品の株価は25%下落。

買収に反対する武田薬品のOBは12月3日に会見を開き、リスクを訴えていました。

武田薬品のOB、武田和久氏は、

シャイアーの買収は財務的リスクが大きく、メリットは限定的だ。

こうした声にウェバー社長は今回、非中核事業を売却することで最大でおよそ1兆円の利益が出ると強調。

決議の結果、議案は9割近くの賛成により承認されました。

シャイアー側の株主総会でも認められれば日本企業として過去最高額となる買収が成立します。

株主は、

賽は投げられたからやらざるを得ない。

世界で売上高ベスト10に入る製薬会社ができるからいいかな。

グローバル企業として発展していくにはリスクをとらないと世界的に戦えない。

大和証券株式会社

7兆円に迫る巨額買収。

専門家はこの金額をどう見るのでしょうか?

大和証券のシニアアナリスト、橋口和明さんは、

高すぎるとは見ていない。妥当な金額。

研究開発の予算を大きくできるのが最大のメリット。

武田薬品工業は年間3,000億円ほどしか研究開発費が使えていない。

グローバルでは多いと言えない水準。

ウェバー社長は今日の臨時株主総会でシャイアー買収後、研究開発に年間4,000億円以上を投資すると発表。

海外のライバルと渡り合う環境を整える考えです。

一方、多額の負債を抱えるリスクについて聞くと、

借り入れは大きいが収益構造では幅広い品目から利益を上げられる。

これまで以上に収益を得られる柱の数は増えるので、特定の品目1つ2つで想定外の事態が起きても全体の業績がガラッと変わるリスクは相対的に小さい。

日本企業、海外企業の買収額ランキング

日本企業による海外企業の巨額買収を見てみます。

M&Aの助言を手掛けるレコフによると買収額ベスト5はいずれも1兆円を大きく超える規模になっています。

1位 ソフトバンクグループ 3兆3,000億円 イギリス
アーム・ホールディングス
電機
2016年
2位 日本たばこ産業(JT) 2兆2,500億円 イギリス
ギャラハー
食品
2006年
3位 ソフトバンク 1兆9,000億円 イギリス
ボーダフォン日本法人
通信・放送
2006年
4位 ソフトバンク 1兆8,000億円 アメリカ
スプリント・ネクステル
通信・放送
2012年
5位 サントリーホールディングス 1兆6,800億円 アメリカ
ビーム
食品
2014年

そして、今回の武田薬品のシャイアーの買収はこれまでの最高額の2倍以上の金額となり一気にトップに躍り出ました。

1位 武田薬品工業 6兆8,000億円 アイルランド
シャイアー
医薬品
2位 ソフトバンクグループ 3兆3,000億円 イギリス
アーム・ホールディングス
電機
2016年
3位 日本たばこ産業(JT) 2兆2,500億円 イギリス
ギャラハー
食品
2006年
4位 ソフトバンク 1兆9,000億円 イギリス
ボーダフォン日本法人
通信・放送
2006年
5位 ソフトバンク 1兆8,000億円 アメリカ
スプリント・ネクステル
通信・放送
2012年
6位 サントリーホールディングス 1兆6,800億円 アメリカ
ビーム
食品
2014年

しかし大切なのは買収の規模ではなく金額に見合った結果が得られたのか、得られなかったの部分です。

そこで番組が注目したのがこのベスト5に多数ランクインしている大型買収の常連、ソフトバンクグループです。

直近では2016年におよそ3兆3,000億円もの巨額を投じてイギリスで半導体の設計を手掛けるアーム・ホールディングスを買収しました。

超大型買収を通じてソフトバンクとアーム社は何を生み出そうとしているのでしょうか?

ソフトバンクグループ株式会社

イギリスの半導体設計大手、アーム・ホールディングス。

スマートフォン向けの半導体では世界の9割以上のシェアを持っています。

12月5日、都内ではアームが手掛ける新たなサービスの説明会が開かれ、150人の技術者などが集まりました。

アームのテクノロジー担当、太田一樹さんは、

アームペリオンというIoTのプラットフォームを提供している。

今後、IoTデバイスは2035年までに1兆個に達すると予測しており、アームはそこに半導体を提供するだけなく、IoTデバイスから収集したデータを効率よく活用できるプラットフォームを提供しようと、今年8月に新たなサービスを開始しました。

実はこのサービスこそがソフトバンクグループが2年前にアームを買収した最大の狙いなのです。

ソフトバンクグループの孫正義会長は、

アームの買収時点では一切触れなかった極秘にしていた戦略。

実現するとどれほどの価値を生んでいくのか。

アームはソフトバンクグループの完全小会社になったことで株式市場などに影響されず機動的な投資が可能になったといいます。

8月には6億ドルを投じ、アメリカのビッグデータの分析会社「トレジャーデータ」を買収。

この会社の技術で今回のサービスを実現することができました。

大規模な投資をかけ、次のプラットフォーマーになるための技術開発、投資、営業を仕掛けるフェーズにある。

アームとしては次の覇権を握るための勝負のタイミングと思っている。