
巣ごもり需要で売り上げが好調な冷凍食品ですが、大手百貨店ではデパ地下の強みを生かして全く新しいスタイルの冷凍食品を販売する試みが始まりました。
さらに食品メーカーも電子レンジのある特性を生かした意外な商品を開発しました。
一体どんなものなのでしょうか。

デパ地下丸ごと冷凍に! 惣菜もパンも 味そのまま!?
午前10時の横浜髙島屋。

地下の食品売り場、いわゆるデパ地下で2月4日から始まったのが冷凍食品の販売イベント。


横浜髙島屋の猿田文彦さん。
お惣菜は当日限りが多いが、冷凍にすることにより製造から約30日もつ。

好きなときに食べてもらえる。

しかし、この冷凍食品にはあるヒミツが…
実は普段同じフロアで売っている商品をそのまま凍らせて冷凍食品に変身させたのです。

このメロンパンは通常はベーカリー「ベーカリースクエア」で焼き立てで提供されているもの。


行列店のメニューを中心に普段と同じ価格でおよそ60種類が並びました。

テクニカンの津田谷英樹さん。
髙島屋の味をこれで冷凍すると作りたてをずっと味わえる。

デパ地下の人気商品の丸ごと冷凍食品化。それを可能にしたのが「凍眠」と名付けられたアルコール液を活用した急速冷凍技術です。

-30度のアルコール液体に浸していくと外側から白く凍っていく。

凍るスピードが普通の冷凍庫の20倍ぐらい速い。

早く凍ると食品へのダメージが少ないのでおいしさを損なわない。

その冷凍技術は今回、商品を提供していた店主たちからもお墨付きです。
尾島の小此木敬子店長。
冷凍食品どうなんだろうと不安もあったが、食べてみたらびっくりするぐらい全く変わらないことに驚いた。

商品は電子レンジで3分温めるだけ。

お皿に盛り付けるとどちらが冷凍か分からないほどです。

山崎修記者。
衣もサクサクして、非常にジューシー。

こちらのイベントは2月8日までですが、一部商品は継続して販売していく計画です。

手応え非常に良いです。

デパ地下グルメを時代に合わせて提供していくのがデパートの使命。

コロナ禍の巣篭もり需要などを追い風に売上を伸ばしている冷凍食品市場。今年も右肩上がりが続くとみられています。

レンチンしても冷たい!? "冷凍"冷やし中華の秘密は
競争激化の中、冷凍食品大手はあるサプライズ商品を仕掛けます。

この春、新たに47種類もの冷凍食品を投入するニチレイフーズ。

なかでも目玉商品が…
ニチレイフーズの蟹沢壮平さん。
冷凍の冷やし中華、電子レンジで調理する。

冷凍食品の冷やし中華。でも電子レンジで温めてしまったら冷たさが売りの冷やし中華にはならないのではないでしょうか。

峰村美穂記者。
かなりしっかり冷えています。麺もかなりツルッとかなりのどごしがいいです。

なんと、温めても麺が冷たい。その秘密は麺の上に乗っているいくつもの氷。

実はこの商品、電子レンジと氷のある特性を生かしているんです。
食品は温まり、氷は残るという性質を利用している。

なぜ氷は電子レンジにかけても溶けにくいのでしょうか。
試してみると水は湯気が出ていますが氷には変化がありません。

電子レンジはマイクロ波で水分子を振動させて温める仕組みです。ただ氷は水分子が結合していてほとんど振動しないため温まらないのです。

ニチレイフーズは5年かけて、この仕組みを応用した冷やし中華を開発。特許も申請中です。

冷凍食品を考えてきたわれわれだからできた発想。

古くから積み上げている知見を見つめ直して消費者にとって何が大事か、どんな役に立てるかというところに立ち返って商品を作っていく。
