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[WBS] 「検証」経済対策の使い道は?倍率400倍で公務員に!

2019年12月5日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

政府が3年ぶりに取りまとめた経済対策の中身から見ていきます。

経済対策は景気が低迷したり、低迷するリスクが出てきたりしたときに策定するものです。その金額は13兆円。これは政府が閣議決定した財政支出の金額です。様々な課題の解決に使う狙いですが、私たちの生活にはどのような影響があるのでしょうか?

経済対策

今回の経済対策について安倍総理は12月5日、

この時期を逃さず、アベノミクスを加速し、課題の克服に取り組むべき。

柱のひとつが相次いだ大規模災害からの復旧・復興の加速。

堤防の強化や浸水対策など防災・減災を進めます。

この他、2020年のオリンピック後を見据えた対策なども盛り込み、今年度の補正予算と来年度予算案を組み合わせます。

財政支出はおよそ13兆円で3年前とほぼ同じ。民間支出も含めた事業規模は26兆円で実質GDPの押し上げ効果は1.4%程度を見込みます。

麻生財務大臣、

規模ありきで決めたわけではない。かなり実効性が高いと思ってもらって結構。

13兆円の主な使い道。

経済対策のポイントは景気の下振れリスクに対する備えです。海外経済が不透明なところとオリンピック後の景気、そこを政府は心配しています。

現在30代半ばから40代半ばのいわゆる就職氷河期世代に対する支援を強化します。その他、和牛や酪農の競争力強化にも取り組みといいます。

WBSではすでに動き出した現場を取材しました。

就職氷河期と和牛!?

宝塚市

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兵庫県・宝塚市役所。

1974年4月2日から1984年4月1日に生まれた就職氷河期世代の採用活動を8月からスタートしました。

エントリーシートにその特徴が…

かつての就職活動の時の苦労した経験を書く欄を設けたのです。

宝塚市の戸井俊介人材育成課長、

非正規アルバイトという、本人が望んでいない雇用形態で就職してきたという思いがたくさん書いてあった。

今回は4人を採用。

1,600人を超える受験者が殺到し、倍率は400倍以上になりました。

佐藤さん

厳しい倍率を勝ち抜いた一人が佐藤さん。現在44歳です。

新卒の時になかなか苦労して、面接に行っても次に呼ばれなかったりとかが数多くあった。

新卒採用の時は数十社応募したものの内定を得ることができず、卒業後はアルバイト生活を送っていました。

3年ほど前に労務管理などを専門とする社会保険労務士の資格を取得。その資格を生かして非常勤の公務員になりましたが、

自分自身も将来が不安。

やはり正社員・正職員で働くことは生きていくには重要かなと思う。

そこで応募したのが宝塚市役所の正規職員でした。

来年の1月から事務職として働きます。

就職氷河期世代でもしっかりやれるというところを仕事で示したい。

全国の市町村や県といった公的団体がたくさんあるので、そういった動きが広まっていくのが私たちの願い。

株式会社茨城県中央食肉公社

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一方こちらは農業支援の対象となる現場「茨城県中央食肉公社」。

12月5日、牛肉の競りが開かれていました。

出品されていたのは常陸牛。

県の指定生産者が育てた黒毛和牛の中から高品質な牛のみに名乗ることが許されるブランド牛肉で、きめ細かい肉質や柔らかな食感が特徴だといいます。

今回の経済対策に盛り込まれた和牛農家への支援。

飼っている牛の数が一定未満の中・小規模の農家が繁殖用の雌牛を導入した場合、1頭あたり最大20万円程度を補助する他、施設や機械の導入に対して補助金を受けやすくする方針です。

この支援策に対する反応は…

「支援策について?」

そんなに期待はできないかもしれない。

期待感は半々くらいじゃないですか。

増やすとなるとそれだけの資金がかかる。新たに土地と建物がいるので簡単ではない。

中村公徳さん

常陸牛を育てる畜産農家の一人、中村公徳さん。12月5日の競りでも常陸牛を出品していました。

中村さんの農場を訪ねると…

これが母親。

休んでいるのが生まれた子牛。

この農場では子牛を産ませて育てる繁殖を手がけています。

繁殖は種付け作業や出産時のケアなど牛の飼育の中でも特に手間がかかるといいます。

中小の繁殖農家は後継者不足に直面しているため、今回の支援策に期待を寄せます。

支援はあった方がいいと思う。

やる気ある農家が増えていけば国内の頭数も増えていく気がする。

未来への投資

続いていはもう一つの大きな柱、未来への投資です。

マイナンバーカード、マイナポイントです。マイナンバーカードの保有者を対象として25%のポイント還元。これを来年の9月から7ヶ月間行います。

また高齢ドライバーによる事故を防ぐために自動ブレーキなどを備えた車の購入も支援します。

さらにこちらもあります。

いま全国の公立学校ではパソコンの配備が5.4人に1台にとどまっています。それを小中学校では1人1台使える環境を整えるということです。

将来に向けて期待される分野ですが、現場の声を取材すると課題も見えてきました。

電子黒板は…今!?

渋谷区立長谷戸小学校

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東京・渋谷区にある長谷戸小学校。

こちらではすでに全ての児童がタブレットパソコンを使って授業を受けています。

パソコンだと写真を撮って載せるだけでわかりやすくなるから使いやすい。

ノート代わりに授業のメモや理科の実験動画などをパソコン上で共有。

こうした教育のIT化を推進するため今回の経済対策ではパソコンなどを1人1台配布するとしています。

しかし実は同じような政策が10年前にも行われていました。

それが電子黒板。

渋谷区立長谷戸小学校の佐藤公信校長、

空き教室の隅に電子黒板は保管しています。

書き込み、保存、印刷などができるものでした。

しかし導入後の調査ではこうしたデジタル機能をほとんど使いこなせていない学校が過半数に上りました。

校長先生に実際に使ってもらうと…

ここから先は私も使ったことがないので。

理由の多くは操作方法が難しく、活用の仕方がわからないというものでした。

重たいので持ち運びが非常に難しく、どうしても使う先生が限られてくる。

今回のパソコン1人1台の配布は教育現場でしっかりと生かされるのでしょうか?

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