これは何かというと判子ですね。
1月28日から通常国会が開かれて、およそ60本の法案が議論される予定ですが、その中でも注目されている法案がこちらです。
何かというと「デジタルファースト法案」です。
この法案にはんこに関わる内容が盛り込まれます。
将来、はんこが必要なくなるかもしれません。
はんこ
あなたははんこ持っていますか?
「はんこは持っている?」
持っている。
シャチハタと修正印と朱肉のもの。
なくて済むならない方がいい。
印鑑証明など取らされる。面倒くさい。
日本特有の文化であるはんこ。
使わないという声も聞かれましたが、自宅に数本は所持しているという人も多いのではないでしょうか。
だが近年、はんこ市場は縮小傾向にあります。
一般社団法人全国銀行協会
[blogcard url="https://www.zenginkyo.or.jp/"]
金融機関はインターネットバンキングや電子サインによる認証を広げるなどはんこを使わないサービスに力を入れています。
全国銀行協会の藤原弘治会長は、
印鑑レスのサービスに利用者の需要が高まれば、銀行取引においても印鑑によらない手続きを選択するお客様が増え、さらに利便性の向上や業務の効率化につながる。
立川印房
[blogcard url="http://www.tachikawa-inbou.com/"]
山梨県西部の山間の町、市川三郷町。
町の中にはどれも似たような形の大きな展示物が…
全国的に有名だから使うのではないか。
市川三郷町の六郷地区といえばはんこ。はんこの町。
実は山梨県は印鑑の本場。
この町では明治時代に近隣の山ではんこの材料となる水晶が採掘されていたことから一大産業になったといいます。
はんこ職人の立川正仁さん(68歳)はおよそ50年に渡り彫刻刀を握り、何万本ものはんこを掘ってきました。
私たちが心を込めて丁寧に掘るものと機械でただ「はんこです」というものでは何か味気ない、機械だと。
立川さんの弟、智さん(66歳)は父親の跡を継ぎ、山梨ではんこ販売店を営んでいます。
店に来る人が「はんこなくなるというじゃないか」と言う。
「いや、はんこはなくならないよ」と言うが「なんかそんなこと言ってたよ」と。
そういう風評が広がるのが一番怖い。
デジタルファースト法案
智さんが危惧しているもの、それは次の国会で審議が予定されているデジタルファースト法案です。
2018年1月、安倍総理は、
社会保障などに係る申請手続きを大胆に簡素化し、法人の設立登記はオンラインで24時間以内に完了するようにする。
政府肝いりの政策「デジタルファースト法案」。
行政サービスの100%デジタル化を目指す法案で、ペーパーレスや押印手続きの簡略化を促進することが法案の骨子となっています。
具体的には…
坂本圭記者、
こちらは法人を設立する際に届け出が必要な印鑑、会社印です。新しい法案ではこの会社印の届け出義務の廃止が盛り込まれる見込みとなっています。
目的は義務化されている届け出を任意化することで、法人を設立する際のハードルを下げようというもの。
だが、もし法人設立にはんこの届け出が必要なくれなれば、智さんの店では売上げが4分の1ほど減ってしまうといいます。
私たちは粛々と従うしかないのかな。ちょっと寂しいと感じた。
はんこは代理の方が使える。もし社長がいなくても社長の代わりに決済が進む。
そういうことがはんこの一番の特徴なのでは。
はんこ市場
日本で唯一のはんこ専門紙「現代印章」によると、はんこの市場規模は年間およそ1,700億円。
そのうち法人設立の際に必要なはんこの市場は12億円から30億円程度だといいます。
ただ今後、政府ははんこが必要となる場面を減らす方針です。
平井IT政策担当大臣は、
押印が民間の使用習慣においてただちになくなることはないと思います。
普段、いろいろな手続きをする上で委任状の三文判とか、どこでも売っているようなはんこを押さないといけないのは一体なんなんだ。
日本の印章制度、文化を守る議員連盟の会長を務める自民党の国会議員、竹本直一衆院議員は、
デジタルデバイド(情報格差)と言われるが、そうした人たちはなかなかなじめない。
「この法案ではんこはなくなるか?」
なくならない。残ると思う。
はんこ職人の立川正仁さんは、
少しははんこの良さというものを取っておいてほしい。
伝統の印章制度ということで、この制度を長く残してほしい。
強く、切に願っています。